「抱えた重荷 どう取り扱う?」精神衛生医師グラント・マレン氏講演 OBJ 主催「こころの解放」セミナー①
特定非営利活動法人オペレーション・ブレッシング・ジャパン(ドナルド・トムソン代表)は9月24日、カナダ人の精神衛生医師グラント・マレン氏を講師に、無料オンライン・セミナー「『こころの解放』クリスチャン医師と共に考える心の問題」を開いた。テーマは「こころの解放のための三つの鍵」。マレン氏の講演内容のエッセンスを、数回に分けて紹介する。
◇ ◆ ◇
私は麻酔科の医師だったが、働いていた病院が小さかったため、内科の仕事にも当たっていた。内科では、患者の話を聞く必要があった。私は肉体的な痛みを治療する訓練は受けていたが、心の痛みに対する治療は分からなかった。病院には多くのクリスチャンの患者も訪れるが、まさかクリスチャンが心の痛みを持つなんて思ってもみなかった。私はそういう人たちをどう助けられるかに興味を持ち、やがて麻酔科、内科の仕事を辞め、精神衛生専門のクリニックを持つようになった。
私たちの働きのテーマ聖句は、「心を新たにすることで、自分を変えていただきなさい」(ローマ12・2)。そこで、自分の思考を変えるための方法を説明したい。
テサロニケ人への手紙第一には「霊、たましい、からだのすべてが(中略)保たれていますように」(5・23)とある。この霊、魂、身体という三つの領域は、人間関係、思考、自分の気持ち以上に影響を与える。
私たちの人格は、過去に起きた記憶、その出来事に対して出した自分の結論に影響を受ける。二人が全く同じ経験をしても、全く違う解釈、結論を持つことがよくある。そして、過去に苦しい、傷つけられた経験があるなら、その出来事に対して出した結論が、人間関係に影響を与えることになる。それは、ちょうど大きな袋を持った人のようだ。その袋の中には、悲しいことがいっぱい入っている。たぶん自信があまりなく、自分に対する評価も低い。私が育った教会では、自分の気持ち、感情、心の重荷について全く話し合われなかった。クリスチャンになると、霊は神に属するものになるが、クリスチャンになっても身体、魂は変わらず、荷物は抱えたままだ。
このような荷物があるかどうか、簡単にテストする方法がある。①ある状況に過剰に反応してしまうことはあるか、➁何かのことに対し反応すべきなのに何の反応もしないか(無感情)。
私たちは誰でも、何らかの形で苦しみ、傷ついている。自分に対してマイナスの思いを持っている。私たちがこの荷物を取り扱わなければ、勝利ある生活に歩み出せない。
私たちには聖書がある。だが、自分の苦しみから解放されるための聖書、霊的武具をどのように使ったらいいか分からない。そのようなクリスチャンには、悪魔はびくともしない。一方、これらの荷物を全部処理し、自分の賜物、召し、油注ぎを理解して、しっかり歩んでいるクリスチャンは、悪魔にとってとても都合の悪い存在だ。悪魔は、これらの荷物を取り扱わないでほしい、弱いままのクリスチャンでいてほしい、と願っている。
教会では、次のように教えられているかもしれない。「自分の重荷は、自分の十字架として担ぎなさい。苦しい過去については、天国にたどりつくまで我慢しなさい」。しかし、すべての重荷をイエス様に取り除いてもらうという道もある。荷物を降ろすという選択、すなわち、イエス様がこの荷物を取り除くことを、イエス様ご自身に許可してもらうのだ。(つづく)