新型コロナウイルスがまん延し始めた二〇二〇年春、当時、日本基督教団立川教会の牧会に就かれていた飯島信牧師が青年たちに呼びかけました。青年たち自身が語り、その内容をめぐる懇談の時をもつ「青年の夕べ」という会を始めようと。月に一度のこの会は、その後、十八回開催され、のべ二百五十八人が参加するという驚喜となりました。本書はその時に紡がれた青年たちの心からの言葉と想いが収録された一冊です。閉塞的になりつつある今だからこそ、ぜひ、多くの方に手に取っていただき、熟読し傾聴していただきたいと思います。

本書のタイトルについての意見交換(百八十頁以降)がとても印象的です。『いのちの言葉を交わすとき』このタイトルを巡って次のような言葉が交わされたそうです。「青年の夕べは、聞いてもらえるという安心感がベースにあって、話すことができた場所。同様に、そのような場所だからこそ、聞く側として、心を開こうと祈れる場所でもあったように思います。」(百八十二頁)。

語り手が立ち、切実な真剣な言葉が放たれる。そしてそれを真摯に受け止める聞き手がいる。この空間と時間において言葉にいのちが吹き込まれ、そのいのちが参加者の間で交わされて出来事になった。本書はその証しをわたしたちに提供しています。わたしたち誰もが必要としているこのような「いのちの言葉」の交わりの場を実現させた証言がここにたくさん記されているのです。

本書の最後には、飯島信牧師の説教が収録されています。以前、飯島牧師の通訳をさせていただいた時に私も感じた熱意を思い出させるような言葉です。元教員として、また現在は小高伝道所と浪江伝道所を兼務される牧師として、常に青年たちの感性豊かな言葉に傾聴し続ける飯島牧師に、主が与えてくださっている想いが伝わってくると思います。

わたしたちも聞く者として、本書にある「いのちの言葉」にあずかりたいと切に願います。
(評・飯田仰=日本同盟基督教団国外宣教総主事)

『いのちの言葉を交わすとき「青年の夕べ」感話集』
飯島信編、ヨベル、1,540円税込、四六判

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