「北朝鮮宣教フォーラム」脱北者の証し④ 父の言葉に神の愛を見、国境へ イエスの愛無しに統一は不可能
北朝鮮で逮捕され、死刑判決を受けた韓国系カナダ人ヒョンス・リム牧師。「『だれを私は恐れよう』出版記念 北朝鮮宣教フォーラム」(同実行委員会主催)から、当日参加した北朝鮮「脱北者」の証しを紹介する。
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北朝鮮は、朝鮮労働党による一党独裁体制であり、最高指導者は金日成、金正日、金正恩と3代にわたって世襲が続けられてきた。7年前に脱北して、現在は韓国の神学校に学ぶC氏は、金正恩を直接護衛する特殊部隊で勤務していた。
―私の父は金正日の親衛隊で、階級の高い家柄だった。北朝鮮は徹頭徹尾階級社会であり、出身階級の高い人間だけが地位を得る。私は幼い時から、金日成首領を崇めることを徹底的に教育された。
14歳で選抜されて、英才教育を受けた。私が目指した部隊は、有名な特殊部隊で、日本人の拉致被害を始め、特殊工作に関わっている。3年かけて徹底的なチェックを受け、17歳で正式に入隊した。入隊時には秘密厳守の誓約をする。「もし破った場合には、いのちを失っても文句はありません」。
入隊後も私は模範生であり、5年目で選抜され、金一家のヨットや別荘などの警護をする部隊に配属された。ヨットは豪華なもので、平時はもちろん遊覧などに使われるが、有事の際には、金一家をロシアや中国に脱出させ、亡命させる重要な役割がある。私は出世コースを昇っていた。
そんな私を試練が襲った。その日も忠実に任務に仕えていたが深夜に担当地区で火災が発生した。建物の出入り口のところから火が出ていたので、中の人たちが出て来られない状態だった。「助けてくれ」と悲鳴が聞こえたが、私は彼らの命よりも、中にある金一家の肖像画をいかに守るかを先に考えていた。
北朝鮮ではすべての家にその肖像画があり、それは金首領そのもの。自分や家族の命よりも大事にしろと教育されている。私は全身に水をかぶって火の中に飛び込み、一つの部屋から肖像画をひっぱり出したが、全身にひどいやけどを負った。7か月の間に40回以上にわたる手術を受け、それは2度自殺を図るほどの苦しみだった。
私の功績は表彰されることになったが、それを伝えた上官から300ドルの賄賂を要求された。北朝鮮の上級公務員の月給は日本円で50円くらい。彼らはみなそうやって私腹をこやしている。反発した私をその上官は口汚く罵った。私はあまりの悔しさに、、、、、、、
(2023年03月12日号 07面掲載記事)
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