北朝鮮で逮捕され、死刑判決を受けた韓国系カナダ人ヒョンス・リム牧師。949日間の収監と奇跡的な解放をつづった手記が昨年12月に邦訳出版された。リム氏の来日にあわせて開催された「『だれを私は恐れよう』出版記念 北朝鮮宣教フォーラム」(同実行委員会主催)から、当日参加した北朝鮮「脱北者」の証しを紹介する。

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涙の祈りでリバイバルを待ち望む

 

50代のF氏は韓国北部で開拓伝道をしながら、北朝鮮宣教へ備えている。
―34歳で中国の寧辺(ヨンビョン)へ逃れました。目標も希望もなく霊的に死んでいた時、神様は恵みで私を捕らえ、命を吹き込んでくださいました。

脱北者は心が落ち着かず、宗教は麻薬だと言う主体思想の洗脳が抜けず、福音が心に染(し)み通っていきません。私も賛美は好きでしたが、説教になると聖書を閉じ「神などどこにいる」と思って寝ていました。しかし自分なりの頑張りで生きていても、実が結ばれないのです。

ある時『神様の大使』という本に出会い、吸い込まれるように読みました。霊的に貧しくなり、心が神様に砕かれ、神様が私に出会ってくれた瞬間でした。神様さえ共におられるなら、私だけでなく家族も、周りの脱北者も北朝鮮の同胞もみな救われる、神様を伝えるために韓国で学ばなければ、と思いました。

13年に渡韓した後、22年1月に神学校の修士課程を終えました。今は南江原道(みなみカンウォンド)で北朝鮮宣教への備えをしています。北朝鮮に属する北江原道と元は一つであった、分断の痛みがある地です。

苦難の行軍(※)で脱北者が増えてから、北朝鮮の地下教会の存在が世界に知られるようになりました。北朝鮮に居た時はむしろ接することができなかった実情を、韓国に来てから聞きました。

家族で誰か一人が信仰者だと知られた場合、全員が処罰されます。しかも、金日成こそ神だと洗脳され忠誠心にあふれる人は、親や子をも密告します。ですから信仰継承が非常に困難です。それを乗り越えている地下教会のことを覚えてください。脱北者の中には5代目クリスチャンもいます。迫害ワースト1位の国で、世代を超えて伝えられている信仰は、どれほど尊いものでしょうか。

南北統一後に教会の基礎を造ってゆくのは、今の地下教会の人々です、、、、、、

2023年04月09日号 11面掲載記事)