５月10～12日の３日間、韓国から北朝鮮脱北者の支援活動を展開しているイー・フィリップ氏（統一希望宣教会牧師）を迎えて、沖縄初の北朝鮮セミナーが開催された。

北朝鮮で脱北者の捜索、取り締まりにあたっていたイー氏だが、自身２度の脱北と投獄を経験。中国で主に出会い、韓国の神学大学を卒業した後、２００９年に統一希望宣教会を設立した。氏によれば、脱北者の80％が女性で、その多くは性奴隷として中国で人身売買され理不尽な扱いを受けている。現在、その生まれた子どもたちの養育や、環境、文化の違う韓国で脱北者が守られ定住できるようにＮＧＯ「南北愛ネットワーク」を立ち上げ、物心両面からサポートしている。また、彼らを、キリストの弟子としてみことばで養育し、訓練して、近い将来、北朝鮮が崩れた時に、いち早く、キリストの福音を携えて、北に入って行くキリストの戦士として立て上げている。


講演するイー・フィリップ氏（右）

イー氏は講演で自らの体験を証しした。

――私は１９９９年、26歳の時に北から脱出した。当時中国にはすでに、30万人くらいの脱北者がいた。91年のソ連崩壊以降、ヨーロッパの共産圏の国々が解放されてから、北朝鮮で大きな出来事が起こった。94年の金日成の死後、300万人もの人が飢えで死んだのだ。人々は自分の家族や親戚が餓死していくのを自分の目で見た。なぜ、それほどの餓死者を出すほどの飢きんが北朝鮮に起きたのか。それは神様が天の窓を閉じたから。「神はいない」と神様に反逆し、神様を呪う人たちが沢山いるこの国は、すでに呪われていたのだ。
そんな時に、私は自分の任務のために、中国に行くことになった。そこで、初めてわかったことは、今まで、自分が学んだ歴史が、全部うそだったということだ。それを知った時、私の心の中にあった金日成に対する忠誠心が崩れてしまった。そしてその時、私は、北朝鮮が生きるためには、解放がなければならないと思った。それで、私は脱北を決意した。
知人が、「中国にいくなら、教会に行ってみなさい。そこには、西洋や韓国にいくために、脱北した人たちが沢山集まっているから」と話していたのを思い出して、中国の教会に行った。そこで、聖書をもらったが、最初はイエス様を信じたくなかった。なぜなら、幼い時から「宗教はアヘンだ」と教育をうけていたからだ。ところが、教会の執事たちが私のために、３日間、何も食べず、家にも帰らず、真剣に祈ってくれていたことが分かった。それによって、私の心が開かれてイエス様を信じるように導かれた。――

今回のセミナー準備の段階でイー氏は「北朝鮮が開かれるためにはどうしても日本、韓国、中国が一緒に協力して祈る必要がある。日本でぜひカンファレンスを開きたい」と熱く語った。その「北朝鮮カンファレンス」が、来年６月５日から７日に開催される。イー氏のほか、脱北者とともに、北朝鮮の刑務所に投獄された経験をまとめた『だれを私は恐れよう』の著者ヒョンス・リム氏が来日予定。

（レポート・大城節子＝沖縄バプテスト連盟ジョイチャペル牧師）

（2023年06月25日号 04面掲載記事）

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