日本スピリチュアルケア学会が会員牧師を除名 聖路加チャプレン性暴力事件判決確定受け
聖路加国際病院(東京・中央区)で2017年に起きた、元チャプレンによる性暴力事件に対する損害賠償裁判の判決確定を受け、一般社団法人日本スピリチュアルケア学会(島薗進理事長)は、同裁判被告で同学会正会員の柴田実氏を除名処分とした。7月11日、同会ホームページに「学会からのお知らせ」として発表した。柴田氏は日本基督教団無任所教師で、事件当時は横浜市内にある単立教会の副牧師も務めていた。
聖路加国際病院のチャプレンだった柴田氏と同病院を運営する聖路加国際大学を被告とした裁判で、東京地裁は昨年12月、柴田氏のわいせつ行為を認め、110万円の賠償を命じた。その後、原告と被告双方が控訴しなかったため、判決が確定していた。7月2日の臨時代議員総会において決議された除名処分につき、同学会は「この判決確定を受け、本法人の定める所定の手続きに則り、裁判記録はじめ同人からの聴き取りなどに基づく調査および懲戒審査を踏まえたもの」としている。また、同学会が柴田氏に認定していた「指導スピリチュアルケア師資格」に関しては、「2023年4月10日臨時理事会において、同日付の資格の取消を決議」した、としている。この資格は、同学会「資格認定方針」によれば「スピリチュアルケア師の臨床教育に貢献できる実践力及びコミュニケーション能力を備えている」とされる。
この事件を巡っては、東京地裁判決後に聖路加国際病院と関連のある日本聖公会主教と同東京教区主教が連名で謝罪を表明、日本基督教団は総会議長と総幹事名で「謝罪声明」を出していた。また同教団神奈川教区では、被害に遭った女性からのハラスメントの申し立てを受理し、現在調査を進めている。