日本福音主義神学会西部部会秋季研究会

福音主義神学会西部部会の2023年度秋季研究会が11月20日、神戸市の神戸ルーテル神学校で開催された。テーマは「旧約聖書からの説教」。新約に比べ、説教箇所として取り上げられることの少ない旧約聖書をどのように語るかについて、2本の基調講演と応答講演を中心に考察が展開した。【山口暁生】

大西良嗣氏(改革派・宝塚教会牧師、神戸改革派神学校常勤講師)

基調講演2 現代人の心に届くか

―旧約に注目した月刊誌「百万人の福音」2023年7月号特集の導入文にも見られるように、福音主義教会においては旧約に親しむことが少なく、理解されていないだけでなく、敬遠や誤解すらされている。

旧約からの説教が避けられてしまうのは、「ジャンルの多様性」「イエス・キリストへの言及の難しさ」といった、その固有性や難しさにある。一方で、旧約から説教を語る意義として、特に「多様な現代的課題に多くの材料を提供する」「力強い心理描写(特に詩文)」の2点が挙げられよう。具体例として、旧約に寄留者の保護が語られている視点を、在留外国人の課題や、異教社会に生きるクリスチャンに適用できるのではないか。また、詩篇や預言書などに見られる捕囚の民の嘆きについて、トラウマを解釈のレンズとして用いる方法があり、現代人の心とつなげられるのではないか、、、、、

2024年01月07・14日号   04面掲載記事)