講演するシゲマツ氏

 

『もう、自分を隠さない 恥を癒やす大いなる恵み』いのちのことば社刊、1,980円税込

 

カナダ・バンクーバー市にあるテンス教会主任牧師のケン・シゲマツ氏による新著『もう、自分を隠さない 恥を癒やす大いなる恵み』の出版を記念して、7月にシゲマツ氏来日講演会「恥から解放されて 本当の自分を生きる」が東京、大阪で開催された。大阪では、関西牧会塾主催で、教職者や信徒リーダーを対象にした同じテーマのセミナーも開催された。

シゲマツ氏は、自分は不十分な存在であり、人と比べて足りていないと感じることを「恥」「恐れ」だと前置き。「その感情は委縮や虚勢を招き、神に作られた本当の自分ではなく、偽りの自分を生きることになる」と指摘した。

「本当の自分を生きるには、神の愛を深く経験すること。恥から解放され、軽やかに豊かに生きて行けるようになります。そのために、神の無条件の愛を求める霊的習慣が大切です」

そのための習慣として、黙想の祈りや、自分を愛してくれる人を思い浮かべて感謝する、罪や恥を信頼できる人に告白する、自然や芸術作品に触れて美を通して神の愛を経験する、などを紹介。人と比べることで抱く妬みに打ち勝つために、与えられていることで満足することの大切さも説いた。

「神の愛を経験することは、自身が健全な人生を送るためだけではなく、周りの人々に愛を分かち合うため。それはクリスチャンの義務と言える。本書を書いたのは、一人一人が恥から解放され、より豊かになって、周囲の人に神の愛を分かち合うことでこの世に貢献したいから。どうか、神の御前で失敗しないように委縮したり、認めてもらうために大きく見せようとせず、広く長く高く深い神の愛を経験してください。そうして、大胆に美しい人生を送ってほしい。皆さまが神の手足となり、顔となって、この世に仕えていかれることを願う」とまとめた。

「牧会と恥」をテーマにしたディスカッションでは、教会内に自分の弱さを話しやすい環境を作ることの大切さが話し合われた。シゲマツ氏は、昨今SNSなどで人と比較することが増え、カナダ、アメリカでは自殺者が増加しており、「恥」の問題は社会問題にもなっていると語って、「人と比べることは、現代の大きな罪」だと状況を危惧。その中で、教会と牧師の働きに言及した。

「牧師はこの世的に力がないと感じることもあるでしょう。しかし、神ともっとも近い所で働いている牧師は、我々が思うより大きな力を神からいただいています。教会でも大きな影響力がある。私たちは常に、人を神の創られた傑作品と思って接し、大胆に神の愛を分かち合っていこう」と勧めた。【藤原とみこ】

2024年07月28日号 01面掲載記事)