【インタビュー】牧師と語り合った闘病記 峰岸さん、大嶋さん『祈られて、がんと生きる』刊行前後談

 「人生の中に牧師がいるとはどういうことか」。3人の子をかかえ、働き盛りの44歳でがんを発症したクリスチャン男性と牧師の往復書簡『祈られて、がんと生きる ボクと牧師の24の往復書簡』(峰岸大介・大嶋重德共著、いのちのことば社)が10月に刊行された。闘病記でありつつ、〝牧会学の教科書〟となることを意識して書かれた本書には、執筆時から思わぬ展開があった。【高橋良知】

『祈られて、がんと生きる』と峰岸賞トロフィーを手にする大介さんの妻・裕子さん

 共著者大介さんの妻裕子さんと、大介さんが通った埼玉県川口市の鳩ケ谷福音自由教会主任牧師で、共著者の大嶋さんに話を聞いた。


 裕子さんは、夫が文章を書くと聞き、初めは「無理だろう」と思った。「ビジネス書か新聞以外はほとんど読まない人だった」と話す。最初の声掛けから数年たち、出版企画が本格化したのは昨年秋。最初に大介さんが書いた文章は、時系列と出来事を細かに記した、言わば「ビジネス文書」だった。そこから「心の言葉」になるまでには、しばらくかかった。大嶋さんが問いを投げかけて、大介さんも応答しながら書き足していった。「娘さんたちのことを書き始めて変わってきた」と大嶋さんは言う。


 本書は、大介さんのがん告知から、人生、仕事、家族を振り返り、闘病の中で生まれる問いとともに、牧会を考える内容となっている。大嶋さんは、「本書を読んだクリスチャンではない方から『人生に牧師がいるというのはとても素晴らしいことですね』と言われた」と語る。


 大嶋さんは神学校で牧会学の教鞭(べん)を執っていた時に、「具体的な一人の人に『魂の配慮』をするとはどういうことか、牧師に牧会されるとはどういうことか、を教えてくれる教科書が見当たらなかった」という問題意識があった。


 大介さんも、自分の経験を人のために役立てたい、という強い思いがあった。副作用に苦しみながらも様々ながんの治験を試し、患者や専門家の対話の場「メディカルカフェ」を教会で定期的に実施していた。執筆中に緩和ケアへ移行し、「書くこと」を最後の使命とした・・・

(次ページで、「弱さ」について、刊行前後の展開、などについて)