ジェームズ・フーストン2016上野の森キリスト教会セミナー キリストの霊性の継承〜クリスチャンの関係性を見直す〜② 福音が浸透するために文化、文脈に注目する

 5月3日から5日まで、東京・台東区東上野の上野の森キリスト教会で開かれた「ジェームズ・フーストン2016上野の森キリスト教会セミナー」(同事務局主催)で、リージェントカレッジ初代学長のジェームズ・フーストン氏が「キリストの霊性の継承〜クリスチャンの関係性を見直す〜」をテーマに6回の講義を行った。今回は初日の講演の続き。

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 フーストン氏は「今朝のテーマは、日本文化に深く福音をもって携えていくこと」だとし、マルコの福音書14章の種まきのたとえ話を挙げる。「種がまかれる土地の一つが浅い所がある。中東では、麦、大麦の種をまくことが想定されている。しかし、土の層は浅い。今、日本は田植えの時期で、米の苗を水田に植えているところだが、中東では日本の水田以上に注意して植えないと苗は生長しない。まかれた種は、茨や岩地という障害を突き抜けないといけない。同じく、福音の種が文化という壁や障害を通って、人々の心に浸透していく。このことを種まきのたとえと重ね合わせてみると、非常に重要なテーマだ。日本の文化の中で福音をいかに届けていくか。そのために日本の歴史、日本人のものの考え方について勉強させていただいています」

 「すべての国が何らかの文化を持っている。日なたに立つと影が映る。その影を取り除くことは困難なのと同様に、文化の影響を取り除くことは難しい」とフーストン氏。それゆえに、互いの異なる文化について学ぶ必要があると語る。「私たちは21世紀をグローバリゼーションの世紀と呼んでいるように、新しい時代に住んでいる。数時間飛行機に乗れば、全く異なる地域に行くことができる。様々な異なる文化や地域に行く経験を通して、ますます自分が過ごしている文化に関する意識や知識を知る。また、すべての文化に有益な価値があることも知る。私たちはみなキリストの体の一部だ。異なる文化を持つクリスチャンを互いに必要としています」

 象徴的な出来事がペンテコステだと言う。「聖霊が下った時、多様な文化の人々がそこにいて、イエスの名前を、それぞれの文化の名前で呼んだ。皆さんに注目していただきたいことは、私たちが神様の似姿として創造されたという事実だ。人間であるゆえに、歪め合ったり、誤った考え方が起きてくるが、にも関わらず、基本的に善い人たちだ。寛容で、憐れみを持ち、偽りでなく真実でありたいと願っている。半面、悪の誘惑を受ける時もある。善悪に関して何らかの知識を持っている。これを船にたとえれば、この船の舵をどうやって取って正しい方向に進めればいいのか、ということ。そのために文化、文脈に注目するということです」

 「ここで日本人の人間学、人間像について考えてみたい」と話す。「私は他の文化や国々の人々に比べて、日本人であること、その歴史やあり様を非常に深く関心を持って調べている。西欧の人たちの行動様式、生活様式と比べても、日本人のエチケット、もてなし、生活態度には非常に学ぶべきものが多くある。だが、こういう一面もある。ビジネスマンの方々と毎週水曜日の朝、朝食祈り会を持っているが、その中に製材パルプ業を起業した人がいた。彼は『日本について知らなかった』と話してくれた。彼は日本の大手パルプ製材メーカーから招待され、彼らのために盛大な宴会を催してくれることになった。かれは自分の妻も連れて行った。ところが、宴会に行ってみると、そこには芸者さんがいて、芸者さんがホステスの役割をしていた」

 フーストン氏は、「日本の文化には、岩地のような部分がある。この実利主義(プラグマティズム)には微妙なものがあり、教会の説教にも忍び込んでくる。日本人の皆さんは、きたる10年間、ある意味気をつけたほうがいい」と注意を促す。「この10年間に、コンピューターのレベルも躍進し、ロボットがもっと浸透してくる。今まで以上に人工知能が幅をきかせ、包括的な知識を得られる人工知能と人間の知能が真っ向から対立する時代が到来するだろう。この実利主義というものは、利益を生むため、お金をつくるためのものなのです」
(つづく)【中田 朗】

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