3月29日、日本基督教団室町教会(京都市上京区)で教区宣教セミナーがありました。今回のセミナーは宣教部と「教会と社会」特設委員会の共催で行われ、映画「それでも私は」の上映会と長塚洋監督のトークセッションという企画でした。15時開場、18時半終了という長丁場でしたが、87人の参加者が集いました。
映画は、1995年の地下鉄サリン事件を首謀したとして死刑判決を受け刑を執行された、オウム真理教元代表、松本智津夫元死刑囚の三女麗華(りか)さんの人生を描いたドキュメンタリー映画です。事件当時11歳だった麗華さんは今年42歳。この30年間、「加害者家族」として社会から差別されながらも、前を向いて生きる姿を描いています。映画は昨年、韓国のEBS国際ドキュメンタリー映画祭で特別表彰を受け、高く評価されました。
“麻原彰晃の娘”ということで、就学も就職も銀行口座開設も拒否されてきた麗華さん。「個人に差別されたら、そこから離れたらいいけど、国家が相手だと、巨大すぎて・・・」といった意味の独白を映画の中でされていた麗華さんの言葉が忘れられません。
そんな麗華さんに適度な距離感をとって取材し続けた監督はとても柔らかな芯のある人でした。「内山田洋(ひろし)とクールファイブの最後のシングルが発表され、俳優の大泉洋(よう)がデビューしたのが1995年です。そしてこの映画を撮ったのが長塚洋(よう)です」といった軽妙な自己紹介からトークは始まりました。監督は「社会の中にある分断に気づいてほしい」とお話しされていました。

映画会、監督のトーク、参加者との分かち合い、の3部構成で会はすすめられました。実行委員会には、この問題に関心を寄せる学生さんも加わり行き届いた会の運営が会をより有意義なものにしていました。長塚洋監督が「僕はクリスチャンではないけれど、福音書をよく読みます。イエスが殺された意味を考えます。彼は分断をなんとかしようとして殺されたんです」というお話が胸にささりました。(レポート・鳥井新平=日本基督教団近江平安教会牧師)
