
長谷敏司 著
ハヤカワ文庫JA、432頁、1,078円税込
本作は、私たちに「福音なき世界の救われなさ」を保証してくれる小説である。
主人公のサマンサ・ウォーカーは若き成功者だ。自身の研究により富と名声、大企業の重役のポストを得た彼女は、ある日、病に倒れ余命宣告を受ける。「延命治療をしたとしても半年から一年の命」であると告げられた彼女の、死に至るまでの日々、そこに描かれる葛藤と思索が本作の主なストーリーラインである。
本作をSFとして成立させている要素として「ITP」という技術が登場する。これは疑似神経を形成するナノマシンを制御する言語である。他者の脳内の神経細胞(ニューロン)を調べ、それを疑似神経で再現することにより、人間の経験や技術、はては人格そのものまでも、コピーして、他人に移植することができるユニークな技術である。「人間を記述する言語」とも言われるこの技術によって、サマンサの葛藤はより深く、哲学的な様相を帯びていく・・・
(次ページ[下部ボタンから]で、クリスチャンであった母の死、人工知能との対話、など約1700字)
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