【特集】世俗権力で目的達成できるか 米仏の宗教と政治 寄稿=渡辺聡(宗教社会学) 信教の自由特集①

2月15日号で信仰の自由特集<国家との距離―他国に学ぶ「信教の自由」と政治と宗教>を掲載します。

仏ライシテ法の宗教排除

 信教の自由は歴史的産物として18世紀のフランス革命期にもたらされました。王権神授説に基づく王政が廃止され、国民は自由に自分の宗教を信じることができるようになったのです。フランスでは1905年にライシテ法が制定され政治と宗教の分離が確立しました。フランスのライシテに特徴的なのは、社会の公共分野からあらゆる宗教を排除しようとする傾向です。ライシテにおいては政教分離にとどまらず、国家の非宗教性や世俗化といった価値観も強調されています。そこにはカトリックの教権を国家から排除しようとした反教権主義的な共和派の意向が反映されていますし、その思想の中には近代的人文主義的な人間中心的価値観が見いだされます。


 2004年には公立学校において宗教的象徴の着用を禁止する法律が施行されました。フランスの政教分離では、国家が宗教を国民に強要するということだけではなく、国民が公共の場に宗教を持ち込むことも禁止されるのです。 しかし、これは行き過ぎると異なる文化的価値観を持つ少数者を排除するために用いられる可能性も出てきます。グローバル化が進む今日、以前はフランスにいなかったイスラム教徒がコミュニティーに加わり始めました。イスラム教徒の女生徒たちはヒジャブを身につけて学校に行きました。そしてそれが法律によって禁止されたのです。このようにライシテに基づく政教分離は少数者に自分自身の文化を否定させるという圧力ともなりうるのです。

 国家に自由保障の義務

 これに対して政教分離を世界に先駆けて国是としたのはアメリカ合衆国です・・・

(次ページ[下部ボタンから]で、米国の信仰の自由、政治に意見を反映させる時の注意点、など)

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