「どう生きるか」原爆は問う 流川教会、原爆供養塔前で集会、被爆証言

8月6日の午後、日本基督教団・流川教会では、「8・6 キリスト者平和の祈り」が行われた。交読による祈り、マタイ6章25〜34節の聖書朗読、賛美、祝福と派遣など、礼拝の形式で行われた。被爆者代表、被爆二世代表、若者代表、子どもの代表の4人が順に、被爆して残存した「平和の鐘」を点鐘した。

会堂内に設置された「平和の鐘」が点鐘された

 「一滴の水が集まり大海となり世界を繋ぐ」と題して、小倉桂子さんが被爆証言をした。桂子さんは8歳のとき、爆心地から2・4キロ地点で被爆した。のちに広島女学院大学英文学部を卒業。米国生まれで平和記念資料館館長などを務めた夫の馨さんの亡き後は、桂子さんが海外から広島への訪問者の通訳を請け負う。84年に「平和のためのヒロシマ通訳者グループ」を設立。G7広島サミット(2023年)や、日本被団協ノーベル平和賞受賞記念フォーラム(24年)などで、英語による被爆証言やスピーチを行ってきた。
 海外からの訪問者を迎える時、「広島は、何か話を聞きに来るだけの場所ではなく、これからどう生きるのかを一人ひとりに問いかける場所」だと思うという。
 「自分が何をできるかということを、いろんな方とお分かちになって、新しい明日を、亡くなった方のことを思いながら、生きていっていただければと思います」と結んだ。

小倉さん

 平和記念公園の原爆供養塔前では5日から6日にかけ、神社庁と仏教各宗派がそれぞれ慰霊行事を行う。キリスト教は、5日夜にはカトリック・聖公会・ルーテルの合同集会が、6日の夜には広島市キリスト教会連盟主催の「キリスト者平和の集い」が行われた。

原爆供養塔の前に集まった人たち

 6日夜には小林貴子(あつこ)さんが被爆証言した。小林さんは1歳7か月のとき、爆心地から2・8キロの三篠町の自宅の軒下で母と共に被爆。現在は、在日大韓キリスト教会・広島教会会員で、県被団協相談所の相談員としてボランティア活動を行っている。
 自身の被爆体験が母からの伝聞であること、家族全員が生存したことから、「被爆者として語ってよいものなのだろうか」と後ろめたさを抱え生きてきた。しかし、生後9か月で被爆した広島県被団協理事長の佐久間さんが被爆証言し、その時に「被爆の後、どう生きてきたのかを聞きたい」という感想をもらっていたことを知り、「被爆者として生きてきたことを話せばいいんだ」と気付いた。
 結婚するとき、被爆していない相手に「健康のことで思いがけないことが起きるかもしれないね。でも一緒に頑張ろうね」と言われ、「私一人の心配が私たち二人の問題になることが申し訳ない」と泣き、自分が被爆者であることをそのとき強く意識した。同時に、「この人は信頼できる人だ」と思ったという。
 「私に相談員という使命を与えてくださった神様に感謝します」と結んだ。

小林さん

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