米国とイスラエルがイランを先制攻撃し最高指導者ハメネイ師らを殺害したことに端を発した戦闘状態のさなか、イランのキリスト教会とクリスチャンはどうしているのか―1970年代末のイスラム革命以後、迫害化にあるイラン国内外のクリスチャンを支援している「エラム・ミニストリーズ」の総主事デビッド・イェグナザール氏が、本紙提携の米福音派誌クリスチャニティ・トゥデイ(4月10日配信)にレポートを寄稿した。停戦協議は4月12日決裂し和平への道筋が不透明ななか、イェグナザール氏はイラン国内の地下教会(家庭教会)のクリスチャンらが、傷つき困窮した隣人たちを助けイエスを証ししている状況とともに、何のために祈るべきかを伝えている。
以下、そのレポート。

イランの教会は今も
エラムミニストリーズ総主事 デビッド・イェグナザール
戦争の最中、一部のクリスチャンは伝道活動を行い、近隣住民のために食事を用意するなど、様々な形で親切な行いを示している。
ヤヒヤについてお話ししましょう。彼の安全のため、本名は伏せさせていただきます。彼はイランの家庭教会運動の指導者であり、イスラム教徒の家庭出身のクリスチャンで、幼い子どもを持つ夫であり父親でもあります。他の多くのイランのクリスチャンと同様に、ヤヒヤもイスラム政権下で信仰を貫くことで様々な苦難を経験してきました。尋問を受け、拘束され、虐待を受け、キリスト教の宣教活動を理由に、近いうちに長期の懲役刑に処される可能性さえあります。そして今、イランの9300万人の国民と同様に、彼は戦争状態にある国の国民なのです。
「人生は辛(つら)い」と、ヤヒヤは先日、インターネット接続が悪く途切れ途切れになった音声メッセージで、私たちのチームと私に語りました。「でも、私たちは歩みを続けています。そして、主は御自身の栄光を現しておられます。」
これは単なる空虚な言葉ではありませんでした。多くのイラン人が国内旅行を恐れている時期に、ヤヒヤは人里離れた村々を巡る旅から戻ってきたばかりです。彼はそこで貧しい人々を助け、福音を伝え、好奇心旺盛な住民にペルシャ語の新約聖書を配りました。数日のうちに5人がキリストを信じるようになりました。
他にも多くの信者が、4月8日から2週間の不安定な停戦によってほぼ停止した戦争の中で、キリストの光を輝かせようとしています。私は、イラン国内外の教会を支援する団体であるエラム・ミニストリーズで日々活動する中で、こうした信者たちの話を耳にします。恐怖、混乱、そして不確実性に満ちたこの時代にあっても、イランのクリスチャンは、不屈の精神、勇気、そして希望を持ち続けています。そして、彼らの話を聞くたびに、感謝の祈りが私の口からこぼれます。
イランの教会は、数々の試練を乗り越えてきたからこそ、この瞬間に備えてきたのです。1979年のイスラム革命以来、イスラム教徒の背教は、イランの支配的な聖職者にとって忌まわしいものとされてきました。彼らは、イスラム教徒の背景を持つイラン人がキリスト教の教えに触れるべきではないと主張しています。政権は、イランの古くからのクリスチャンコミュニティー、すなわちアルメニア人とアッシリア人が、それぞれの少数言語で礼拝することを許可しています。しかし、ペルシャ語を話す教会は、特に多くの信者がイスラム教からの改宗者であることから、ますます迫害を受けています。
イラン革命後の数十年間に、当局は8人の主要なキリスト教指導者を殉教させました。ペルシャ語の礼拝を行う教会は脅迫され、最終的には閉鎖されました。1990年代には、政権はイラン聖書協会を追放しました。そして今日、聖書のペルシャ語訳を販売したり使用したりすることは違法です。
地下に追いやられたペルシャ語を話すクリスチャンは、現在では家庭教会でしか集会を開くことができず、家宅捜索、逮捕、尋問、拷問、そしてしばしば投獄につながる訴追の絶え間ない脅威にさらされています。それでもなお、多くの人々がキリストに従うことを選んでいます。
ヤヒヤのように、投獄を宣告されながらも宣教活動を続ける勇気は、決して珍しいことではありません。数え切れないほどの兄弟姉妹が、迫害を受けながらも、迫害者のために祈り、証しをしながら、揺るぎない信仰を貫いてきました。ある夫婦に、なぜキリストのために苦難に耐える覚悟があるのか、と尋ねたところ、「私たちはすでに味わい、そして見てきたからです」と答えてくれました。
多くのイラン人クリスチャンは、近年の様々な苦難の中でも、この勇気の伝統を示してきました。まず2025年6月、イスラエル(そして米国)との短期間ながらも激しい戦争が勃発しました。この間、地下教会は一般市民と同様に、大きな衝撃と恐怖に襲われました。それでも、多くの人々が礼拝のために集まり続け、中には大都市から避難してきた人々を自宅に受け入れた人もいました。爆弾が降り注ぐ中で、街を歩きながら祈りを捧げた人もいました。12日間の戦争の中で信仰を見出した人もいました。
そして今年初め、イランは暗黒の時代を迎えました。政府軍が数千人もの非武装のイラン人を殺害したのです。この弾圧によって、数え切れないほどの人々が負傷し、深い心の傷を負いました。クリスチャンたちは病院を訪れ、負傷者と共に祈りを捧げました。悲しみに暮れる隣人を訪ね、慰めを与え、可能な限りイエスのメッセージを伝えました。
今、戦争のさなか、私たちは同じ光景を目にしています。政府の検問所が増え、捜索や逮捕のリスクが高まっているにもかかわらず、インターネットの遮断の合間を縫って、多くの家庭教会が今も集会を続けているという話を聞きます。最近、チームメンバーの一人が、混乱と暴力の中で集会を続けている9人のクリスチャンのグループについて話してくれました。友人や家族はクリスチャンたちの心の平安に気づき、もっと知りたいと思い、グループに加わりました。グループは21人にまで成長し、イランの教会を世界で最も急速に成長しているキリスト教運動の一つに押し上げた伝道活動の成果を示しています。
勇気はしばしば行動で表されます。私たちの団体が現地で目にする親切はその一例です。この戦争が始まって間もない頃、比較的最近改宗した男性が牧師に連絡を取り、自分の十分の一献金を他の都市の貧しいクリスチャンに捧げたいと伝えました。牧師は、遠く離れた都市で障害のある祖父の世話をしている貧しい家族にお金を送ることを提案しました。
数日後、別の家庭教会のメンバーがそれぞれ独自に同じ街へ福音を伝えに行き、その家族の家を訪れました。教会メンバーによると、家族は「お金が全くなくなってしまったのですが、まさに一番必要としていた時に助けが届いたのです」と話したそうです。
家庭教会のリーダーたち、例えばパルビンとその夫アミール(仮名)にも、聖霊に導かれた前向きの姿勢が見られます。夫妻は激しい爆撃を受けた地域に住んでいます。私たちのチームがより安全な場所への移住を提案したところ、彼らは丁重に断りました。「私たちはここに留まり、人々を助けたいのです」とパルビンは説明しました。「そして、状況が許せば、福音も伝えたいと思っています。」
戦争が始まって以来、パルビンは近所の家族のために基本的な食料品の詰め合わせを用意してきました。すでに壊滅的な状況にある経済の中で物価は急騰しており、多くの人々が生活に苦しんでいます。ある詰め合わせは、障害のある子どもを育てているシングルマザーに届けられました。その女性は月末までどうやってお金をやりくりするかと不安に思っていました。「神が彼女に恵みを与えてくださったのを見て、彼女は泣き出した」とパルビンは語りました。
イランの教会は勇気があり、親切で、証しへの献身を通して成長しています。これは教会が完璧であるという意味でも、すべてのイラン人クリスチャンが常に完全に、あるいは常に勇気があり、寛大で、大胆であるという意味でもありません。イランの信者は私たちと同じように、堕落した人間であり、神の御子の姿に似た者となるために、日々神の恵みに頼らなければなりません。さらに、教会は、秩序の維持、説明責任、正統性の確保など、急速に成長するキリスト教運動と同様の課題に直面しています。迫害という新たな課題は、信者の離散や孤立を招くこともあります。
イランにはより困難な日々が訪れるかもしれません。そして、これまで以上に、イランの人々は、キリストの愛を体現する証人として教会が輝くことを必要としています。多くの不確実性が待ち受けています。イランの人々にとってより大きな自由がもたらされる可能性がある一方で、多くの暗い可能性も存在するのです。
政権は傷つきながらも権力にしがみつき、さらに抑圧的になる可能性があります。クリスチャンをはじめとする少数派に対する凄惨な迫害が続く恐れがあります。イランはここ数十年、地下教会を迫害してきましたが、国際社会の監視もあり、背教罪による大規模な処刑は避けてきました。しかし、状況は変わるかもしれません。
イスラム共和国が存続すれば、内部の敵とみなす人々を標的にするでしょう。政権がすでに誤って「シオニスト」とレッテルを貼っている家庭教会のクリスチャンは、格好の標的となります。レザ・パフラヴィーのような著名なクリスチャンのディアスポラ指導者の中には、政権反対派に公然と加担した者もおり、クリスチャンが危険な敵と見なされる可能性もあります。歴史を振り返ると、フランス革命、ロシア革命、中国共産党革命など、激動の時代には信者が国家の敵として処刑されてきました。イランも同様の道を辿るかもしれません。
世界の教会は、このような事態にならないよう祈り、イランにいる兄弟姉妹を支援する準備をすべきです。私たちがどのように対応できるか、以下に述べます。
まず、地政学的な問題から目を離し、教会に目を向けるべきだと考えます。ワシントンやテヘラン、そして刻々と変化する権力構造に気を取られがちですが、聖書は常に私たちの注意を別の方向へと導いています。福音書、使徒書簡、そして黙示録において、神はキリストと教会を通して、最も力強く御自身の目的を成就されます。
イラン国内の多くのクリスチャンは、この視点を持ち続けています。この戦争の結果がどうであれ、ヤヒヤのような人々は、イランが最も必要としているのは神の国だと信じています。彼らのアイデンティティーと忠誠心は、地上の王国の興亡ではなく、天の永遠の王国に結びついています。彼らは私たち自身のキリストとの歩みを問いかけます。私たちのアイデンティティーと忠誠心は、天の市民権にしっかりと根ざしているでしょうか?
第二に、私たちは継続的、かつしっかりとした情報に基づいた祈りに専念すべきです。イランの信徒たちの保護、勇気、一致、そして継続的な成長のために祈ることは、これから待ち受けるどんな困難にも共に立ち向かうための最も意義深い方法の一つです。
第三に、私たちはイラン教会を強化するための実際的な取り組みを支援すべきです。これには、聖書の提供、指導者養成、牧会支援などが含まれます。これらは、信徒たちが困難に耐え、成長していくための、穏やかで忠実な投資です。このような困難な時代にあっても、イランには希望が残されています。なぜなら、ヤヒヤが静かな確信をもって私にこう語ったからです。
「イランの教会は生きている」と。
デビッド・イェグナザールは、エラム・ミニストリーズの総主事。イラン生まれで、家族は3世代にわたりイラン教会に仕えてきた。
クリスチャニティ・トゥデイの記事。許可を得て翻訳しています。クリスチャントゥデイの日本語版記事(
※)はすべてこちらでご覧いただけます。※主に日本関係の記事
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