《特集フォーカス・オン》いのちに向き合う③最終回

無力でも共に〝居る〟ことからすべてが始まる

 2月15日号の第1回では、現代社会における死のリアリティーの希薄化と、死をある意味で直視する自殺予防の取り組みを扱い、4月19日号の第2回では、死の最も身近な現場である葬儀を通じて、故人の歩みを丁寧に見つめ直す営みとその意義を探った。
 シリーズの締めくくりとなる今回は、死に直面する人の痛みに真に寄り添うとはどういうことか、その核心に迫る。
 死を前にしての安易な励ましは、時に当事者の孤独をかえって深めてしまう。しかし、死の圧倒的な理不尽さや痛みを共に受け止め、共に立ち尽くすことからしか始まらない寄り添いがある。ホスピスの現場、そして未曾有の災禍における弔いのリアリティーを見つめる中で、キリスト教のバックボーンが真に生かされる瞬間とはどこにあるのだろうか。クリスチャンは死に勝利したイエスを信じる者として、死にゆく人にどのように関わりうるのだろうか。現場の声から探る。

《特集フォーカス・オン》いのちに向き合う③―(1)死を前にした患者に向き合うということ 緩和ケアの現場から  ホスピス医 嘉藤 茂 氏

《特集フォーカス・オン》いのちに向き合う③―(2)故人を最後まで独りにせず見送る  未曽有の災害で死者の弔いに協働 牧師 川上直哉氏

終わりに

 数年前、思いがけず重い病を得て、死が身近な瞬間を体験した。長年、クリスチャン子弟として「イエスを信じれば死んでも天国に行けるから死は怖くない」と聞いてきたが、「だから死んでも大丈夫」とは全く思えず、死の得体の知れなさ、全てが断絶する無念さを感じるばかりだった。私自身を含め、キリスト者はなんと死を知らず、言葉を持たず、無力なのだろうかと痛感し、その思いが企画の原点になっている。
 全三回の特集を終えた今、「無力でいい」ということを覚えさせられている。圧倒的な不条理を前に人は等しく無力だが、だからこそ、絶望する人の隣に、イエスによって居続けることができる。そこにしか、宗教・信仰の可能性はないのではないかと学ばされた。(企画・取材=編集部)

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