信教の自由

「断食祈祷聖会２０２１」（同実行委員会主催）が１月11、12日に開催。今年はコロナ禍のためオンラインで開かれ、「開拓伝道」、「児童虐待と家庭形成」、「海外宣教」、「ラディカル・リベラリズム」の四つの講演が行われた。２日目の講演Ⅲでは、ＯＭＦインターナショナル日本委員会総主事の佐味湖幸氏が「海外宣教」をテーマに講演。今回はその続き。【中田 朗】 ◇ ◆ ◇ 宣教のゴールについて、教会が宣教のビジョンを持つことの大切さなどについて語った後、現在の世界宣教の状況について説明した。「20世紀後半から中南米、アフリカで宣教の業が進んだ。現在、アフリカ大陸、特にサハラ砂漠の南では、本当に多くのクリスチャンがおり、世界の福音派の３分の１はアフリカ大陸にいると言われている。中南米やアフリカの国々は宣教師を受け入れる国々だったのが、送り出す国々に変わりました」 「一方、福音が十分に伝えられていない未伝の国や地域も多くある。ジョシュアプロジェクトという団体は、未伝の地を▽全く福音が伝えられていない、▽自らのグループ・民族内で福音宣教のため外からの助けが必要、と定義している。宣教学的には、福音的なクリスチャン人口が全体の２％以下、クリスチャンだという人が５％以下なら未伝地域だ。日本民族は世界で２番目に未伝人口の大きな民族だと言われている。世界には１万７千以上のピープルグループがあり、うち７千400以上で福音宣教が十分になされていない状況だ。特に北緯10～40度の地域で宣教が急務だと言われています」 「特にアジアは福音宣教が遅れている」と指摘。「アジアでは10人のクリスチャンでない人が集まったら、クリスチャンを知っている人は一人しかいないが、中南米や他の地域では10人集まれば８人が『友人や家族にクリスチャンがいる』と言う。その差は歴然としている。ＯＭＦが活動している東アジアでは、６億６千700万人が福音を聞けずにいると言われています」 「殉教者の声」という団体の地図をもとに、宣教の難しい地域も挙げた。「法律によってキリスト教の宣教が許されていない地域は共産主義やイスラム教の国々が多い。法律で認められていても非常に迫害が激しい国々もある。このような国々と未伝地域とはほぼ重なります」 宣教団体「オープン・ドアーズ」が出しているデータも紹介した。「２０２０年度版によると、世界で２億６千万人ものクリスチャンがひどい迫害に苦しんでいる。その数字は前年より１千500万人増えている。アジアのクリスチャンの５人に２人はひどい迫害に遭っており、この比率は前年に比べて高くなっている。迫害が年々激しくなっており、現在、世界で毎日８人のクリスチャンが信仰のために殺され、182の教会やキリスト教系の建物が襲撃され、309人のクリスチャンが不当に収監させられていると言われています」 実際にあったことも紹介した。「あるクリスチャンワーカーは当局に捕まり、コンピューター、携帯電話が没収され、厳しい尋問や脅しの末、暗証番号を無理やり言わされて、関係者などの洗い出しがなされ、その上で国外追放となった。ある国では、教会に幾つもの政府の監視カメラが据え付けられ、誰が出席しているのかなど厳しく監視されている。警察が突然礼拝に押し入り、聖書を押収したり、人々を連行したりした。またある国では日曜学校中に自爆テロの人が押し入り、そのことによって多くの負傷者が出た。その日はイースター（復活祭）だった」 一方、迫害が時に福音宣教にチャンスを与えるケースもあるとし、「中近東の非常に宣教の厳しいイスラム教の国で、何百何千もの人々が一度に洗礼を受けるという出来事も起きている」と報告。 世界宣教に携わる六つの方法として、①まず学ぶ・知る、②祈る、③他の人を励まし、巻き込む、④歓迎する、⑤送り出す、⑥出ていく、を挙げた。 最後に①教会が神の宣教を理解し世界宣教の召しに忠実に歩めるように、②さらに働き人が与えられるように（ａ．神様から召しを受け、遣わされていく人が起こされるように、ｂ．教会が喜んで働き人を送り出し、支えることができるように）、③未伝の民族、部族、言語の人々への働きの前進のために（ａ．クリエイティブな宣教戦略、ｂ．統合的宣教、ｃ．日本国内での異文化宣教）、④宣教の規制や迫害下にある教会のために、⑤各自が積極的に世界宣教に携わっていけるように、など祈りの課題を挙げた。

日	月	火	水	木	金	土
	1	2	3	4	5	6
7	8	9	10	11	12	13
14	15	16	17	18	19	20
21	22	23	24	25	26	27
28	29	30	31

講演Ⅲ「海外宣教」佐味氏（下） 激しくなる迫害下で宣教は進む 第23回断食祈祷聖会2021⑤

講演Ⅲ「海外宣教」佐味氏（下）激しくなる迫害下で宣教は進む　第23回断食祈祷聖会2021⑤