倉沢正則 – クリスチャン新聞

２０２５年11月17日から19日まで、東京豊島区の中央聖書神学校を会場に開かれた「アジアンアクセス・ジャパン（Ａ２Ｊ）」の全国大会。17日は「戦後80年 日本宣教の変遷」をテーマに倉沢正則氏（東京基督教大学名誉教授）、18日は「ビジョンとは何か」をテーマにスリランカの教会開拓運動「キトゥ・セヴァナ・ミニストリーズ」創設者のエイドリアン・デヴィッサー氏が講演した。倉沢、デヴィッサー両氏の講演の一部を紹介する。 倉沢氏（左）とデヴィッサー氏 宣教協力、包括的宣教、信徒活用 など回顧 Ｚ／α世代への宣教展望 倉沢氏 倉沢氏は、①１９４５年から60年代、②70～80年代、③90～２０００年代の日本の宣教を振り返り、⑴当時の日本の教会と宣教の動向、⑵そこに横たわる神学と宣教理解、の点から日本宣教の変遷をたどり、④２０３０～50年を見据えるこれからの日本宣教、を展望した。 ①では、戦後の日本の福音派の形成と宣教協力、68年の日本福音同盟（ＪＥＡ）の成立の経緯やビリー・グラハム伝道大会との関係に触れ、「聖書的エキュメニズムと伝道協力が始まった」と語った。また、60年代に始まる主流派の「社会変革こそ今日の『神の宣教（missio Dei）』」という理解と、福音派の「伝道こそ社会を変革するもの」という理解との対峙を指摘。福音派は前者に対峙する聖書的エキュメニズムを求め、「伝道を最優先事項とする福音派の宣教観とアイデンティティーが構築された」と語った・・・ （次ページで、世界宣教の潮流、教会成長運動から小グループ運動への展開、デヴィッサー氏の講演など、約２千字） ②では、ＪＥＡの成立が74年の「第１回日本伝道会議」開催へとつながり日本伝道への教派・教団／教会の協力を促すことになったこと、ジョン・ストットやグラハムとの関係からローザンヌ運動との連携が図られたこと、伝道一辺倒から包括的な宣教へと視点を広げ、教会成長運動との兼ね合いから宣教における教会の役割を再認識したことを挙げた。またカリスマ運動にも触れ、福音派陣営でも80年代フラー神学校に始まる「第三の波」運動が起こり、「力の伝道：しるしと不思議なわざ」が教会成長論と相まって強調されたと語った。 ③では、教職者中心から信徒の活用へ（家の教会運動、小グループ活動など）、チャーチスクールや高齢者福祉（地域の必要に応える）、インターネット活用による伝道、大規模災害における支援が地域の宣教ネットワークとして協働する動き、などを挙げた。特に小グループ活動に関しては、(a)小グループを地域教会の組織の中に位置づける、(b)小グループ主体で教会を組織する、(c)小グループそのものが教会、の三種類あり、日本では(a)、(b)がよく用いられていると語った。 ④では、少子高齢化に伴う牧師や信徒の高齢化、無牧教会の増加と教会閉鎖、災害多発列島への対応、パンデミックや科学技術の進歩による弊害などの課題を挙げ、「今後は80周年期で起こると言われる『新たな文明』という視座を注視することが求められる」とした。デジタル世代の生活様式とそこにある教会の姿を見据えた有りように取り組む必要性も語った。その上で、Ａ２Ｊの役割としてディアスポラ宣教、Ｚ／α（デジタル）世代への宣教などを挙げ、「今や世界宣教は日本の足元にある」、「30～50年を担うＺ／α世代にどんな仕方で福音を届けるかを見定め、年配者のサポートや世代間連携が期待される」と語った。 最後に、「『あらゆる国々の人々』の姿がどう模様替えするか踏まえつつ、『すべての国の人々をキリストの弟子とする』使命について祈り合い、ビジョン形成と具体的な方策を主イエスから示していただく機会としたい」と結んだ。 神様が託してくださったビジョンは必ず実現する デヴィッサー氏 デヴィッサー氏は、「この方以外には、だれによっても救いはありません。天の下でこの御名のほかに、私たちが救われるべき名は人間に与えられていないからです」（使徒４・12）を引用し、こう語った。「もしそれが本当なら、何百万人、何千万人の人々がキリストなき永遠の滅びに向かって歩んでいることになる。だが、今日の悲劇は、この失われた人に対して私たちが宣教するのでなく、教会の内側での活動に時間を費やしていることだ。だが、聖霊が私たちの上に臨む時、この世に変化をもたらす霊の力が、ビジョンが与えられる」、「アジア地域の人口は48、49億人と言われている。世界人口の約60％だ。だがクリスチャン人口はアジアの全人口の８％。92％が滅びに向かっている。だから、教会は宣教によって存在する。宣教のないところに、教会も信仰もない。私はすべてのキリスト者が主の御前に座し、神の幻（ビジョン）をいただくべきだと信じる」 また、出エジプト記３章のモーセの召命、使徒９章のパウロの召命の個所を挙げ、「ビジョンは主との出会いから始まる」と強調。「もし皆さんが神様からビジョンをいただき、そのビジョンを実行したいと願うなら、その時からあなたと主との時間だ。私は貧しい国、未伝の人々の中に住んでいる。だが、その中で私は選ばれた者、価値ある者、この世界に変化をもたらすことができる者だと信じ、宣言する。神様のビジョンをいただいた者には、父なる神がいつも一緒にいてくださる。そして、貧しさや困難さ、自分自身の欠けに目を止めるのではなく、私を召してくださった方に目を止める」 ビジョンを行う時の障壁についても触れた。「第一は、サタンが私たちの心の中に築く要塞だ。それはゾウの足につけられた鎖のようなものだ。その鎖は簡単には壊せないと思いこまされている。だが、神様はその要塞を壊すことができる」 「第二は、信仰の欠如だ。ビジョンを達成するためには、信仰の一歩を踏み出す必要がある。一歩を踏み出し、従順に歩むことによって、ビジョンは成就される」 「私は神に、五つの家族に恵みを注いでくださいと祈り、仕える。その五つの家族が次の五つの家族に仕えていく。そうしていくことによって、首都コロンボ市を教会にする。コロンボ市の中に教会を建てるのでなく、市そのものが教会になる。これが私のビジョンであり夢だ。神様が託してくださったビジョンは、必ず実現する」と結んだ。 § § § その他、17、18日にはパネルディスカッションやワークショップが実施され、19日にはコーチング、宣教協力、ビジョン作成、Ｚ世代の育成などのテーマで分科会が設けられ、最後に高見澤栄子氏（元トーチトリニティ神学大学院宣教学教授）、播義也氏（Ａ２Ｊナショナルディレクター）が全体をまとめた。 こちらの記事もオススメです https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-5s3aake4xhdiwsmz/ https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-sxhcwva8r1kyq5bp/

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