東京聖書学院

教職者、神学生らが集まった 日本ホーリネス教団の人権対策室とセクシャルハラスメント防止相談室は2025年11月10日、東京聖書学院（東京・東村山市）で、「宗教２世とクリスチャン家庭」を主題に公開研修会を行った。講師の森島豊氏（青山学院大学宗教主任）は、「信仰継承」という言葉にある問題の提起、「教会のカルト化」への警告や、新しいカテキズム教育の提言をした。 森島氏は「宗教２世」という言葉について次のように論じた。「メディアが作った言葉、流行語、世俗の考え方を基準にした言葉を使うと、私たちが大事にしているものを失う。私たちは『宗教２世』を以前どう表現していたか。今まで使っていた言葉を無くす必要はない」「社会学者の論理は有益だが、それをそのまま教会に当てはめると、子どもたちを教会から引き離してしまう。教会を外から分析する視点と、教会の内に生きる者としての責任は、混同せず、神学的にとらえ直すべき」 （次ページで、「宗教２世」「信仰継承」、「教会のカルト化」について） また、「宗教２世」と「カルト２世」が同じ次元で扱われるので、問題の本質が見えなくなっていると指摘。宗教２世は「あらゆる信仰共同体の家族の子ども」、カルト２世は「カルト化した信仰共同体の家族の子ども」と定義。その上で、世に言われる「宗教２世」問題の核心は「カルト化」している点にある、と分析。具体的には、「良い宗教」は考える力を与える。 「危険な宗教」は考える力を奪う。カルト化とは後者の立場で、通常否定できない概念によって、思考を停止させ、他者の人権を侵害すること。それは「正義」「民主主義」「世界平和」「米国」「景気」「安保」「就活」「コロナ対策」などを「～のために」と迫ることで、いかなる領域でも生じ得る、と用語を整理した。 これらを踏まえて、「信仰継承」の用語を問題提起。「信仰」は財産や身分のように親から継承するもの（血縁関係）ではなく、聖書が証しする神との出会いの出来事（人格関係）によって与えられ、創造される恵み。プロテスタント教会はこれを大事にしてきたはず。 ところが、1990年に『日本基督教団教団新報』で「信仰継承」が初出。背景には受洗者数の減少と、少子高齢化による教会存続への危機意識があった。そこでカトリック教会の影響を受けて「帰属的な信仰を取り入れていく」ことを求め、「信仰継承」が頻繁に主張された。こうして主体的な信仰を重んじるプロテスタントの要素を喪失したのではないか、と問うた。 ここで「教会のカルト化」の可能性を指摘した。天地創造と進化論、なぜ十字架により罪が贖えるのか、といった信仰の根幹の問いを信徒に問わせない姿勢が、先述のような「思考を停止させる」カルト化と共通していると指摘。 以上を踏まえて、新しいカテキズム教育を提言。①問いを問わせて、皆でその問いに向き合い、この時代の信仰問答を教会が作る。②ただ暗記するのではなく、すぐに答えを見つけなくても良いから、そのテーマでいろいろな教会の信仰者の言葉に耳を傾ける。③疑い深い存在を大事にする。復活のイエスと再会した弟子たちの中には疑う者もいた。しかし主イエスはそんな弟子を伝道に派遣した。信仰の内容は伝道する中で確かにされていく。 最後に、「問題の本質は、問わないこと、問わせないことにある。考えること、問うことをやめないで」と勧めた。 こちらの記事もオススメです https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-9lt5cquujzxhqjrr/ https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-sxhcwva8r1kyq5bp/ 【さらに充実したリニューアル紙面・電子版は定期購読がお得です】 電子版：速報（無料）・詳報（有料）を随時掲載、紙面ビューアー ※バックナンバー閲覧可能紙版：月2回発行 ■購読料紙版（送料込）月額1,226円(税込)（オンライン申込限定、クレジットカード支払いのみ）6か月6,756円(税込) ※本紙代が10％お得です年額13,512円(税込) ※本紙代が10％お得です 電子版月額900円(税込)年額10,300円(税込) ※毎月払いより約5％お得です 紙・電子併読版（紙版の年額＋2500円で電子版併読が可能です）月額1,400円(税込)年額16,000円(税込) ※毎月払いより約5％お得です ■新ご注文受付サイトhttps://クリスチャン新聞.com/start-checkout/

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教会のカルト化？ 森島豊氏講演「信仰継承」より「問い」重んじて

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