日中交流振り返る展示15日から18日 李徳全のキリスト教慈愛の精神

日中関係の緊張が解けない中、民間の草の根のつながりに可能性を見出す取り組みがある。

馮玉祥と李徳全について「夫妻はクリスチャン」と紹介

戦後千人の日本人捕虜を無償で返還した中国の李徳全に学ぼうとする人たちが中心となり、日中交流の歴史を振り返る展示会が「李徳全女史訪日70周年 戦後80周年 日中平和友好記念プロジェクト『平和のバトン』」として、12月15〜18日に東京・文京区の日中友好会館美術館で開催される。

13日は開幕式、内覧会が開かれた。開幕式は被爆者を含む各界の代表からの挨拶、日中の子どもたちのダンスや歌の披露があった。

日中の子どもたちと。両脇に伊東氏、羅氏

主催は、70-80日中平和友好記念プロジェクト運営委員会。李徳全にキリスト教背景があったことから、共鳴して参加するクリスチャンのメンバーらもいる。李徳全の孫の羅悠真氏と中国帰国者家族で元衆議院議員の伊東秀子氏が共同で委員長、牧師の五十嵐義隆氏が事務局長を務める。

展示では、パネルで、1867年明治維新以後の日中関係をパネルで詳しく紹介。捕虜の名簿をもって李徳全が来日した際、連日報道された記事などで、当時の注目度が伝わる。日本人捕虜の供述によって戦中の様子も知ることが出来る。広島、長崎での原爆投下や、北朝鮮による拉致事件についても触れる。

クリスチャン家庭で生まれた李徳全は、クリスチャン将軍として知られ、後にTIME誌の表紙も飾った馮玉祥と結婚。社会福祉事業に尽力し、中華人民共和国が成立すると、衛生大臣(衛生部長)、中国赤十字(紅十字)総会会長に就任した。1954年、千人に上るB、C級戦犯の無罪解放、3万人の中国残留邦人の無償帰国などに尽力した。2017年には評伝が発行、李徳全研究会などが立ち上がり、孫の羅氏が日本留学経験があり、実業家であることから、日中の企業交流を支援する「一般社団法人日中同・草・路センター」が立ち上がるなど、民間の草の根交流を進めてきた。

今回、馮玉祥の遺書など貴重な文献も羅氏が持参し展示している。会期中以下のようなトークイベントも予定。

15日13時~「日中戦争の実態と中国が行った職後処理、日本の戦犯たちのその後」伊東秀子、15時~ 「日本の戦犯処遇における李徳全女史の働き」羅悠真、16日13時~戦争経験者の体験談、15時~敗戦までの日本の取り組み、17日 11時~ 李徳全研究会「李徳全研究会の活動と今後」14時30分~対談「中国との友好における今後の課題」羅悠真・伊東秀子。

後日詳細

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