【初回無料 新連載】被造物ケアを生活に 神学から実践へ 第一回

 「なぜ」被造物ケアに取り組むのか ~その聖書的根拠~

右は遠藤潔氏=日本長老教会 蓮沼キリスト教会牧師
『被造物ケアの福音』読書会世話人

 温暖化、森林減少など、環境悪化が進む中、聖書が語る創造と、神の国建設のための「被造物ケア」への視点が注目される。日本でも様々な被造物ケアへの取り組みが始まっており、2024年には神学から実践までを解説した『被造物ケアの福音―創世記から黙示録のエコロジー』(デイブ・ブックレス著、石原謙治・石原香織訳、いのちのことば社)=写真左=が刊行された。

現在同書の読書会が「聖書的環境コンソーシアム」で継続しており、参加者の知見は牧会伝道、科学、企業活動、倫理学、農業、市民活動など多岐にわたる。本連載では同読書会参加者の知見を紹介し、教会、生活、社会での「被造物ケア」の実践を考える。初回は同読書会世話人の遠藤潔さん。


    §  §

  「聖書的環境コンソーシアム」(URLcreationcare.jp)では、活動の一環として、2か月に一度、オンラインで読書会をしています。21年7月から3年かけて、教皇フランシスコの『回勅 ラウダート・シ ――ともに暮らす家を大切に』(2015年、邦訳2016年)を読みました。24年9月からは『被造物ケアの福音』を読んでいます。著者はケンブリッジ大学で聖書神学と生物多様性保全の博士号を取得し、国際的なクリスチャンの環境保護ネットワーク「ア・ロシャ」の神学ディレクターを務めています。


 本書は原題が『プラネット ワイズ ――神の世界をケアする』で、神が創造した「地球」(プラネット)の環境を守るために、「賢く」(ワイズ)責任ある選択と生活をすることを促します。「ケアする」は被造物に愛をもって寄り添い、大切に世話していくというイメージです。本書は創世記から黙示録に至る聖書全体を通して、「被造物に対する神の目的」と「私たちが取るべき応答」を明らかにします。前半では、私たちが「なぜ」被造物ケアに取り組むべきなのかを考察し、後半では、「どのように」被造物ケアに取り組むのか、その方法を著者の実践をふまえて具体的に分かち合っています。


 「なぜ」被造物ケアに取り組むのか。その聖書的、神学的根拠をしっかり押さえることが大事だと思います。私が本書から再認識させられたことを以下に記します。


 「宇宙が相互依存的であるのは、関係性を大事にする神によって造られたからです。すべての被造物(もちろん私たちも含まれます)は、共同創造主である父、子、聖霊の三位一体の間に存在した愛から生まれています。…私たちは神と関わり、互いに関わり、自然界と関わるように造られています」(45~46頁)。人間は被造物の一部でありながら、神のかたちとして創造され、神や隣人との愛に満ちた関係性を喜び楽しみ、被造物を世話し、聖い歴史と文化を築くために特別に召されています(創世1・26~28、2・15)。


 しかし、アダムが罪を犯して神に逆らった結果、「神と人間との関係性」が壊れ、神、人間、被造物の関係性のトライアングルの一辺が壊れたことによって、「人間と被造物との関係性」も「神と被造物との関係性」も、さらには「人間同士の関係性」も壊れてしまいました(創世3・17~19)。堕落のために「地」すなわち、地球そのものが呪われ、虚無に服し、また、地球と私たち人間の関係も呪われてしまいました。しかし、神は被造物を見捨ててはいません。被造物も、私たちキリスト者も、私たちの内なる聖霊もうめいていますが(ローマ8・18~27)、イエス・キリストにあって救いと解放の希望があります。


 コロサイ1・15~20は、イエスの想像を絶する偉大な役割に目を開いてくれます。まず、イエスは「被造物の源」(16節「万物は御子によって造られ」)であり、「被造物の支え主」(17節「万物は御子にあって成り立っています」)でもあります。被造物全体はイエスによって造られ、「イエスのために(for)」(16節)造られているので、配慮と畏敬(いけい)の念をもって扱われるべきものです。さらに、イエスは「被造物の救い主」(20節「十字架の血によって平和をもたらし、…地にあるものも天にあるものも、御子によって和解させる」)です。

「イエスが十字架で死なれたのは、堕落によって壊れてしまったすべての関係性を回復するためでした。神は御子を通して、歴史の中ですべての被造物にわたって解き放たれた悪と利己主義の代償をすべて負われました。創造主が十字架につけられたのは、愛によって造られ、支えられている被造物全体を、ご自身との回復された関係性に戻すためでした」(126頁)。イエスの十字架のみわざによって、神と人間、神と被造物、人間と被造物の関係性の一つひとつは回復することができるのです。


 イエスは十字架で死んで、三日目にからだをもって復活なさいました。このイエスの復活のからだは、物質的な宇宙に対する希望の保証です。復活したキリストは、彼を信じる者が栄光のからだによみがえらされることを保証するとともに、やがて被造物全体が再生され、新しくされることを保証しています。「わたしはすべてを新しくする」(黙示21・5)。三位一体の神は被造物全体を維持し、ケアし、新たにすることに全力を注いでおられ、そのみわざを必ずや完成されます。ですから、私たちはこの神のご計画とみわざに信頼しながら、どんなに危機的な状況にあろうとも絶望することなく、私たちに与えられた被造物ケアの召しに応え、今ここで自分にできる小さなことを喜ばしく継続していくのです。
 (読書会への問い合わせはMail:hasukiri(@)sky.pl
ala.or.jp ※(@)を@に。遠藤まで)   

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