「信仰と日常とにギャップを感じているあなた、本書を手に取って読んでみませんか」。そう呼びかけたくなるスゴい本です。読みやすいだけでなく、深みがあります。まずは本書の一部分を紹介します。
「アルフレッド・ヒッチコックは、映画とは『人生から退屈な瞬間を取り除いたものである』と言いました。カーチェイスやファーストキス、興味深い筋書きや楽しい会話。しかし主人公が散歩したり、交通渋滞で動けなくなったり、歯を磨いたりする姿に興味はありません。少なくとも、そういう場面が長く続いたり、良いサウンドトラックなしで見せられたりするのはごめんです。私たちは、クリスチャン生活も『退屈な瞬間を取り除いたもの』であることを求める傾向があります。しかし神は、休息したり、仕事をしたり、遊んだり、自分の身体や家族や隣人や家庭をケアしたりしながら、毎日を過ごすようにと私たちを造られました。このような退屈な部分がどれも神にとって大切であるとしたらどうでしょうか? 自分にとってはささいで、大したこともなく過ぎていく毎日に実は重要な意味があり、それこそ神が私たちのために用意しておられる豊かな人生になくてはならないものだとしたら?」(本書19~20頁)
現代のネット社会は多大な情報をやりとりし続けることによって、退屈な瞬間をどんどん取り除いてくれます。しかし、本書はそんな退屈な部分がどれも神にとって大切であるのに、わたしたちはそんな素晴らしい恵みを見過ごして生きていないかと問うのです。
目覚める、ベッドを整える、歯を磨く、鍵をなくす、夫と喧嘩(けんか)する、お茶を飲む、眠る等、わたしたちの日常で起こりがちなことの中に、神との出会いがあることを教えます。あるものはあって当たり前と思い、感謝を忘れてしまいます。苦悩は自分の至らなさを思い知らせ、神の憐(あわれ)みを慕い求める謙遜さに至る恵みとの接点なのに、ネット等から手軽に手に入る気休めによって恵みに気づけないことがあるのです。そのように日常は神の恵みと出会う接点だと本書は告げています。
本書の骨格は次の言葉にあるでしょう。
「私たちは消費者として、つまりスリルや快感を求める民へと形づくられているのではないか心配になります。私たちに必要なのは、悔い改めと信仰のリズムによって、日々私たちを変容させるようなこの世でのあり方を学ぶことなのです」(本書37~38頁)。
日常の中にある恵みを再発見したい自分自身へ、また友人へぜひ本書をプレゼントしていただけたらと願います。
(評・久保木聡=日本ナザレン教団桃谷キリスト教会牧師)
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