「働きは微力でも無力ではない」 能登地震災害支援のための集い
能登半島地震発災直後から、被災地で支援活動を継続してきた能登ヘルプ(能登地震キリスト災害支援会)=岡田仰代表=は、キリスト全国災害ネット(全キ災)=北野献慈世話人代表=との共催で、「能登地震災害支援のための集い2025『ここまで』と『これから』」を1月23、24日、石川県河北郡内灘町の聖書教会連盟・内灘聖書教会で開催した。初日は代表者の集いと懇談会が行われ、2日目は参加希望者による被災地の支援活動視察と被災教会への慰問が行われた。【中田 朗】
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初日の代表者の集いでは、岡田代表による挨拶と能登ヘルプ副代表の酒井信也氏(内灘聖書教会牧師)の開会礼拝メッセージ、被災支援教会や支援団体からの報告などがあった。
酒井氏は、「あなたがたの間で良い働きを始められた方は、キリスト・イエスの日が来るまでにそれを完成させてくださる」(ピリピ1・6)を引用し、奥能登での宣教の歴史を振り返った。「いちばん古いのが日本基督教団輪島教会。1954年にクリフォード・レナード宣教師夫妻が奥能登に来られ、十字架を掲げて宣教を始められた。そして今、多くのクリスチャンたちが奥能登に足を運び、福音の証しがされている」
「私たちは仮設の働きを通し、『私も昔、日曜学校に通っていた』と語る方が何人かいることに励まされている。自分たちの労苦は決して無駄ではない。元旦礼拝のタイトルは『希望』。今年は主にあって希望を持ち続けていくことを願っている」と語った。
被災支援教会からは、荒川康司氏(聖書教会連盟・輪島聖書教会牧師)、永井仁志氏(同・羽咋聖書教会牧師)が報告。荒川氏は、重機隊による輪島塗の貴重品や神社仏閣からの文化財取り出し作業について報告した上で、「仮設には全壊、半壊のみで準半壊の人は入れない。入った時点で援助が切れ、火事の心配で灯油が使えず、住民の間に不満が出ている。これから長い時間をかけ、一軒一軒、何度も通うつもりで、全戸訪問の準備をしている。私たちの働きは小さいが、大きな意味、勇気、希望を与えている。祈り続けてほしい」と要請した。
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永井氏は、「私の中に、なぜ神は能登の地に震災を許されたのか、との思いがあった。だが、震災2日目から、キリスト教関係の人たちが水、灯油、ストーブなどを次々に届け、ボランティアも駆けつけてくれた。本当に涙が出た。『闇の中を歩んでいた民は大きな光を見る』(イザヤ9・2)とあるが、まさに暗闇の中に偉大な光を見させるためだったのでは。そのために仕えられるのは何という恵みか」と話した。
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支援団体からは市來雅伸氏(能登ヘルプ支援リーダー)、天野真信氏(NPО法人LOVE EAST共同代表)、などが登壇した。
市來氏は「被災地教会支援・社会的支援を掲げ、各団体と共に活動を進めてきた。それぞれの賜物を生かした支援体制が構築できたのではないか。教会が支援のハブとなり地域に喜ばれた。仮設での支援活動も形になりつつある」と報告。「イベントなどをからめつつ戸別訪問の仕組みを作りたい。各団体とも連携し、行政・社協などの活動の妨げにならないよう注意しつつ、取り組みやすい働きを一緒にしていきたい」と抱負を語った。
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天野氏は、昨年末から今年にかけて燃え尽きも経験したと明かした。「1年間走り続け、結果を見た時に、本当に微力に感じた。でも、神様は『微力は無力ではない』との思いをくださった。神の業はわずかなところから始まり、大きなところへとつながっていると信じ、これからも皆様と協力して復興に携わっていきたい」と述べた。
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そのほか、佐味健志氏(ハンガーゼロ災害支援部巡回牧師)、ベック・サイモン氏(ОM宣教師)、石原靖大氏(いのりんジャパン代表)が登壇。オンラインでは、オペレーション・ブレッシング・ジャパン(ОBJ)、救世軍、ワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)から支援報告があった。
最後に岡田氏は、能登ヘルプの今後の方向性として、▽仮設支援、見守り支援の継続によって、被災者に関わり続ける、▽奥能登、穴水に、ベースとしてクリスチャンセンターを建設する、▽社会的弱者、行政からもれた人たちに手を差し伸べる、などを挙げた。
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最後に船田肖二氏(日本イエス・白河栄光教会牧師)が代表し、「あなたが私たちを愛してくださったように隣人を愛し続けることができますように」と祈りをささげ、数グループに分かれて祈りの時を持った。(懇談会、被災地視察の内容は次号以降で)
(2025年02月09・16日号 01面掲載記事)