「第27回断食祈祷聖会」(同実行委員会主催)が1月13、14日、東京・港区赤坂の赤坂教会で開かれた。テーマは「キリスト教界の危機と希望」。講演Ⅲでは、参議院議員の金子道仁氏=写真=が「高齢化と少子化の時代」と題して語った。

前回

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最初に、主題を思い巡らす中で「コモンセンス(常識)」という言葉を思い出させられたと語った。「〝コモンセンス〟とは、アメリカの革命思想家トマス・ペインが1776年1月に発行したパンフレットのタイトル。アメリカが独立戦争で二分される中、独立の必要性を世論に説いたパンフレットで、イギリス政治を批判、自国民の支持なき王の神聖性を否定した。自由貿易経済に立てば、イギリスから経済離脱しても、経済は成り立つと説いた。それは、聖書の常識に立ち返るものだった」

「当時、王を立てず、選挙によってリーダーを決める共和制の国が成り立つのか、と言われた。だが、その共和制はアメリカから始まり、広がって、今ではスタンダードになっている。非常に大胆な信仰のチャレンジだった」

「少子化についても、聖書の常識に立って分かち合いたい」と問いかける。「子育てにかかる費用は、最低でも一人3千万円かかると言われる。子育て費用と親の不安は比例する。教会は『これがあれば子育てができる』ということを、聖書を土台にしつつ、社会に訴えていく必要がある。今の社会政策の潮流は居場所づくりだ。居場所とは、まさに教会ではないか。教会こそが、時代、歴史を超えて、つらい状況にある人たちのために活動し、居場所となってきた」

「少子化とは、廃墟が広がってきているような状況だ。この国には、あちこちで廃墟が広がっている。それは、東京の中にもあるのではないか。でも神様は、昔の廃墟を建て直し、市街を住めるように回復する(イザヤ58・12参照)、と約束されている」

廃墟を立て直すために、霊的な破れのためには祈りであり断食祈祷が大切だと強調。具体的な破れに対しては、貧困対策、高齢者介護、草の根教育、フリースクール、子ども食堂、無料塾などの家庭支援を挙げた。「主が私たちに廃墟を建て直すようにと使命を与えておられるのであれば、私たちは不信仰のくびきを砕かないといけない。主はどの時代にも答えを持っておられる。少子化に光を当て、きっかけを与えてくださる。そのことを信じて祈り、実践する時、主が働かれる」

「こんなことで廃墟を建て直せるのか。こんな小さなことにインパクトがあるのか、と思うが、主はそうではない」とも力を込める。「働きの大きさ、小ささはどうでもいい。〝主がしてくださった〟、それだけを吟味しながら、この地でさせていただきたい。少子化の時代のなかで、主の御心はどこにあるのか、ぜひ受け取っていきたい」

イスラエルのベングリオン元大統領の「ネゲブこそイスラエルの希望」というビジョンから、雨の降らないネゲブの地が緑に変わった例を上げ、「ビジョンが国を動かす」と強調。「ビジョンは共同体の〝血液〟で、家庭、教会、学校、会社、自治体などで共有すべきもの。私も政治家として、交通手段が限られ、食料事情も悪い限界集落の人たちが、知恵を使い、協力しながら生活できる手だてを考えている。価値がないと言われる場所で、教育が行われ、医療があり、生活の糧が得られれば、人の住める場所になる。安心があれば少子化の地域が変わっていく。その時に、主からのビジョンが支えになる」(つづく)

2025年02月23日号 07面掲載記事)