東日本大震災から14年目を控えた3月4日、「3・11記念集会」(福島県キリスト教連絡会〔FCC〕主催)が、福島県須賀川市の須賀川シオンの丘を会場に、オンライン併用で開催された。

最初に、福島県内で震災に遭った牧師や信徒たち、県外で体験したがその後支援活動で足繁く福島に通うようになった牧師や伝道団体スタッフらが、14年前の3月11日の体験を分かち合った。
その中で、石原俊一氏(ミッション東北・福島聖書教会伝道師)は、「当時は小学校の教頭で、地震があった時、子どもたちを体育館に避難させた。いちばんは子どもたちの安全確保だった」、長谷川恭子氏(東洋ローアキリスト教会福島伝道所会員)は「三春町で震災を体験したが、当日よりも、放射能の影響で子どもたちが外に出られない、公園で遊べない、学校に行けないなど、後のほうが大変だった」と体験を話した。

震災当時の体験を分かち合う参加者

続いて、木田惠嗣氏(ミッション東北・郡山キリスト教会牧師)が「震災後、福島県放送伝道を支える会の委員会で各先生方が、自分たちが経験したことを語りながら、福島県全体の支援グループを立ち上げる必要があるという機運が高まり、その年の11月にFCCが設立され、活動が始まった」と、FCC設立の敬意を説明。「翌年、『福島のあの日、あの時を語る』という集まりをこの場所でさせていただき、それが本になって出版された。またいろんなところから支援をいただいた。船田肖二先生(日本イエス・白河栄光教会牧師)は、須賀川シオンの丘を支援拠点としてフル活用させてくださった。その後、7年ほどは活発に活動し、テレビを見、新聞を読む時間もないほど普通でない生活を過ごした。FCCの他の先生方も同じく、皆走り続けた」と振り返った。

木田惠嗣氏

外から福島に通い続ける牧師らも分かち合った。阿部信夫氏(ECC・相模原グレース・チャペル牧師)は、「私たちにできることがあれば、ということで行かせていただいた。説教応援をさせてもらったり、私の教会のメンバーが伊豆に別荘を持っていたので、そこで福島の先生方に休んでいただいたこともあった」、沼澤克己氏(京浜キリスト教会牧師)は「もう14年になるが、年に一、二回でも来ないと、という思いがある」と語った。
FCCが主催する放射能問題学習会について、木田氏から報告。「2、3か月に1回、十数人で学びを10年近く続けている。これまで五十数冊、課題図書を読み、読むだけでなく何か所か見学にも行った。DVDを見て学習会もした。私たちのねらいは、そういう学びをしてきた内容をどこかでまとめて、皆さんにお話しできる機会があるとうれしい、といったことが話題になっている」と語った。
高橋拓男氏(ミッション東北・会津聖書教会牧師)は、会津に避難してきた大熊町の避難者の現状について報告。「ここは自分の居場所なのだろうかと、どこかふわふわとした感覚を持ちながら生活していることを、何げない会話で感じる」と話した。
木田氏は、「今、甲状腺がんと診断され手術を受けた子どもが293人(第54回県民健康調査検討委員会での発表)、自宅に戻れない人が2万人以上いる。だが、今日本の国は原発再稼働に舵を切っている。日本が良い舵取りをするためにも、痛みを経験した者が祈らなければならないと思っている」と感想を述べた。
最後に、参加者一同で、心合わせて祈りを捧げた。

2025年03月16日号 01面掲載記事)