世界観の「ずれ」に気づく 『すごい物理学講義』 牧師編 第7回 鎌野直人 普段着の読書

『すごい物理学講義』カルロ・ロヴェッリ著、竹内薫監訳、栗原俊秀訳、河出文庫、河出書房新社、千78円税込、文庫判、2019年

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 物理学者が相対性理論や量子力学のポイントをまとめたページをSNSで見つけてフォローし、私の現代物理学の勉強が始まった。それなら、と現代物理学の本(素人向け)を読むことにした。それが今月の一冊。ちなみに、著者のカルロ・ロヴェッリはイタリア人で、「超ひも理論」と並ぶ量子重力論の候補、「ループ量子重力理論」の第一人者だ。現代物理学の最前線を走りつつ、素人のために自身の研究内容を一般書として発信している。

 普通の人の世界観は
 19世紀の科学まで

 私たちの普通の感覚による世界観は、19世紀までの科学に依存している。
 まず、世界は空間とそこに満ちている原子からできている。紀元前5世紀のミレトスの哲学者デモクリトスから始まったこの発想では、世界の最小単位を原子とする。彼の後継者の一人であるエピクロスの思想は、ルクレティウスの『事物の本質について』という詩作品で展開された。その書が15世紀初頭に再発見され、その後の科学に大きな影響を与えた。


 次に、世界にはモノとモノが引き合ったり反発したりする力が働いている。17世紀になってニュートンは重力を発見し、モノが互いに引き合う力(万有引力)を想定して古典物理学を創始した。世界は、互いに引き合うモノが時間の流れの中で空間を動き回っている。さらに、モノとモノに働く力には電磁気力もある。19世紀には、磁石が引き合う力などに焦点を当て、ファラデーやマクスウェルが「場」という概念を提唱し始めた。空間には電磁「場」があり、そこから力を受けることで引き合ったり反発し合ったりする・・・

(次ページ[下部にログインボタン]で、生活感覚をこえる20世紀の物理学聖書を読む際の姿勢にも示唆、など)

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