【訃報】ジェームズ・フーストン氏103歳で逝去 福音派に「霊性の神学」普及した先駆者

2016年の来日時、上野の森キリスト教会で行ったセミナーで話すフーストン氏

 福音派に「霊性の神学」をいち早く紹介・普及し、カナダのリージェントカレッジを創設して初代学長を務めたジェームズ・マッキントッシュ・フーストン氏が3月15日、同大のあるバンクーバーのケアホームで死去、103歳だった。リージェントカレッジは16日、ウェブサイトで訃報記事を掲載した。

 1922年スコットランドのエディンバラに宣教師の子として生まれ、プレマス・ブレザレンの環境で育ち、若い頃から信徒奉仕に情熱を注いだ。1944年エディンバラ大学、オックスフォード大学で地理学を専攻(博士)。オックスフォード大学でJ.I.パッカーと友人になり、同大教授となってからはC.S.ルイスのほか、カトリック、東方教会、英国国教会の霊的指導者らと交流して霊性探究の影響を受けた。その頃から妻のリタと共に自宅で信徒のための聖書研究を主宰した。

 1970年カナダに移住し、ブリティッシュコロンビア大学キャンパス内にリージェントカレッジを創設し、初代学長に就任。信徒にキリスト教信仰の教育をすることに重点を置いた。同大のニュースリリースによると、フーストン氏が目指したのは「リージェント大学が、学生たちが信仰において思慮深く有能であると同時に、人格形成を深め、最終的な目標が専門知識の習得ではなく、人格の変容となるような場所になること」。よく、「神学は決して抽象化できるものではない。生き方を通して実践されなければならない。受肉した神は、信徒たちに受肉した信仰を求める」と話していたという。

 1970年代後半までに、フーストン氏の研究は「キリスト教的霊性」の認識の必要性に焦点を当てるようになり、著作と教育において霊性神学の発展に主導的な役割を果たした。友人で現在フーストン霊性神学講座の教授であるブレーズ・ヒンドマーシュ氏は、「ジム・フーストンは、ポストモダニズムという言葉が使われるずっと前から、次世代がキリスト教霊性を、キリスト者として全人的に神とその恵みに応答する一部として捉える必要があることを認識していた」と述べている。

 世界各地の教会や会議、神学校で講演し、ワシントンDCにあるC.S.ルイス研究所の共同創設者として長年にわたり上級研究員を務めた。カトリックの修道会やピューリタンなどの霊性の先駆者たちの知恵を紹介することに力を注ぎ、ヘンリ・ナウエン、ジャック・エリュール、セーレン・キルケゴールらの思想が福音派の間で広く知られるようになる前から学生たちに紹介した。その中で、学生たちの心に耳を傾け、彼らの信仰を励まそうと努めたという。

 30冊以上の著作があり、『キリストのうちにある生活』、『神との友情』、『心の渇望』、『喜びの旅路』(各いのちのことば社)が邦訳されている。2016年に来日した際には上野の森キリスト教会でセミナーを開き、DVD「上野の森の3日間」に講演の様子が残されている。クリスチャン新聞では全11回の連載で内容を紹介した。

 学者としての影響力は、環境倫理、キリスト教精神、霊性神学にとどまらず、教父学、三位一体論、神学的人間学にまで及ぶ。95歳になる2018年まで夏期講座の講師を務め、「キリスト教精神」「子ども神学」「21世紀の神学的人間学」といった講座は、近年特に人気があったという。2000年に霊性神学教授を退任したが、生涯にわたり学生やその他多くの人々のキリスト教信仰、職業生活、私生活を育み励まし続け、亡くなる直前まで精力的に活動を続けた。

 「熱心に忠実であろうと決意したビジョンに突き動かされ、信仰共同体を形作ろうとする彼の決意は、100歳の誕生日を過ぎてもなお揺るがなかった。ジムは亡くなる前にも、キリスト教における感情や、神学的考察における子どもの役割など、幅広いテーマに関するプロジェクトに取り組んでいた」と伝えられる。

 埋葬は家族のみで行われ、リージェント大学共催による追悼式が5月2日13時(現地時間)、バンクーバーのファースト・バプテスト教会で執り行われる。式の様子はライブ配信される予定(詳しくは同大のウェブサイト https://www.regent-college.edu に掲載)。

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