マコトフジムラ氏ら絵画・音楽・神学のコラボを広島で 芸術が与える回復に意義

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日本画を専門とするアーティストで、世界的なアート・ネットワークを主宰する米国人マコトフジムラ氏の呼びかけによる、絵画、音楽、神学の混合ユニット「QU4RTETS」(カルテッツ)が、絵画展示とコンサートを、平和や癒しの思いを込めて、2015年10月〜11月に、戦後70年の広島市で開いた。【高橋良知】

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公演、作品は、詩人T・S・エリオットの詩「四つの四重奏」(FOUR QUARTETS)から着想を得もの。詩は、第二次世界大戦の戦火の中で書かれた。

フジムラ氏は01年ニューヨークの9・11テロに直面し大きなショックを受けた。現場は自宅から3ブロック離れた場所だった。友人で、同時期に自身の絵画を焼失した体験を持つ、画家のブルース・ハーマン氏(ゴードン大学教授)とともにエリオットの詩から回復を経験したという。詩が音楽的、絵画的、神学的な内容と形式を持つことから、今回の混合ユニットが生まれた。

フジムラ氏、ハーマン氏による絵画展示と、クリストファー・セオフィニーデス氏(イェール大学講師)作曲の「At the Still Point」の演奏、ジェレミー・ベグミー氏(デューク大学、神学博士、ピアニスト)らによる講演、現地のアーティストらとの共演などからなる。12年から、米国、香港、英国の大学や美術館など11か所で開催してきた。

フジムラ氏は、現代の文化・社会に対する、芸術家、信仰者の使命として「文化ケア」(Culture Care)を提唱している。このコンセプトは米国のフラー神学校にも採用され、15年にフジムラ氏は、同神学校ブレーム・センターのディレクターに就任した。

広島開催には、フジムラ氏の友人の画家で、広島市立大学准教授の諏訪敦氏が協力。諏訪研究室を中心に同大学芸術学部油絵専攻の学生らが、展示設営、運営を担当。世界的な芸術家と共同する教育機会にもなったと言う。コンサートは11月12日に開かれ、広島交響楽団メンバーらが演奏。タップダンサー、アンドリュー・ネマー氏も特別出演し、ロジャー・ラウザー氏(コミュニティーアーツ東京代表)のオルガンに合わせ踊った。

15日は東京の教会で、フジムラ氏は、直前に起きた、レバノンやパリでの同時多発テロに触れ、9・11の体験を振り返り、芸術家の役割、想像力の重要性を語った。

公演の詳細、「文化ケア」、信仰と芸術、教育などについて、後日、数回に分けて紹介する。

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