戦後80年特別連載
前回
⑧日本の教会とアジア侵略
山口陽一 東京基督教大学特別教授
日清戦争で台湾を植民地とし、日露戦争で関東州(旅順・大連)を租借地とした日本は、1910年に朝鮮を併合し、32年には傀儡(かいらい)の満州国を建国した。41年12月8日、日本はマレー半島コタバルに上陸、真珠湾を奇襲攻撃し、フィリピンヘの空襲によって連合国と開戦し「大東亜戦争」に突入した。「大東亜共栄圏」をめざす戦争で日本人310万人、「共栄圏」で2千万人が死に、大日本帝国は敗れた。
戦後22年の67年の復活節に、日本基督教団は総会議長鈴木正久名において「第二次大戦下における日本基督教団の責任についての告白」が出された・・・
応答 侵略の傷の「跡」 木田友子(米国エモリー大学博士課程)
ノースカロライナ、ボストンと、それぞれに奴隷制度や人種隔離政策、先住民族の土地を奪った入植の歴史の地での留学では、日本の教会が加担した、「特殊国なる観念」に基づく植民地支配を自然と振り返った。隣人を、神のかたちを傷付けることへのまひは何が生んだのだろう。同和問題や在日朝鮮人、アイヌ民族、福島の震災後のお母さんたちの経験を研究する人たちと出会い、対外的関係性と共に、日本国内の構造的抑圧を考えることも、戦争の文脈にあると思った・・・
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【お知らせ】本連載を加筆し、『戦時下の教会を知ろう』が刊行されました。
