「全員帰国まで解決はない」と横田早紀江さん--北朝鮮による拉致被害者の再調査開始

 7月1日に開かれた日本と北朝鮮の協議で、北朝鮮による日本人拉致被害者の再調査特別委員会が協議された。調査結果は秋までに回答されるという。そのような中、娘めぐみさんを北朝鮮に拉致された横田早紀江さんとともに開かれる月例の祈祷会、第143回「横田早紀江さんを囲む祈り会」が7月17日、東京・中野区のいのちのことば社チャペルで開かれた。
 横田さんは、めぐみさんが1976年に失踪してからの苦しみを、北朝鮮情勢に詳しい西岡力氏は、慎重な見通しを語った。
 横田さんは「最近は声を出すにも、おなかに力をこめないと」と疲労感を吐露した。
 さらに国と国との駆け引きで、どこまで北朝鮮が誠実に、人道的な思いで拉致問題に取り組むのかという不信感も抱く。
「多くの被害者家族は高齢化で、入院されている人や、あきらめて、被害者の名前を呼ばなくなった人もいる。むしろ意識あるほうが苦しいかもしれない、神様を信じてても弱い。『なんでいつまで苦しむのでしょうか』、と神様に祈ることもある。しかし最後まで、ここまで、みちびいた神様に祈り、拉致被害者たち全員が無事に戻れるよう、希望をいだきたい」
 西岡氏は、拉致被害者の再調査について、「様々な情報を総合すると、残念ながら北朝鮮が、人道的問題として、再調査を決断した証拠情報はない」と言う。
 さらに国家主導の特別調査委員会の在り方にも不安を持つ。「国会より上位にある朝鮮労働党を指導できず、党中央委員会に所属する工作機関に調査を動員できない。また調査委委員の関係機関には、保健省が入っていることも懸念。拉致被害者リストが出された2002年の日朝会談時の調査では、捏造された死亡診断書が出された。今回も偽文書が作られる可能性があります」と注意を払った。
 「日本の政治家、外務省の動きも深い所で、どのような交渉をしているか分からない。ここで、帰れる拉致被害者と、帰れない人が選別されたら、次のチャンスはいつ来るのか。一人でも帰国できない人が残れば交渉は成功したことにならない」と話した。【髙橋良知】