アートで、小さなもの、エコシステム、正義に目 マコトフジムラさんらが展示、トーク

日本画を専門とする米国人アーティストのマコトフジムラさんが、都内で展示とトークイベントなどを開催する。

花、冬鳥、踏み絵

展示は、杉並区西荻北の表具額装・ギャラリー「数寄和(すきわ)」で4月10日に始まった。20日まで(13~19時)。花、冬鳥、踏み絵などをモチーフにした新作の絵画12点を、趣ある額装・表具に納め、展示している。写真では表しがたいが、至近距離でみると、繊細で多層的な色づかい、特製の和紙、額装・表具の質感が伝わってくる。

ギャラリーの入り口近くの藍色と朱色の掛け軸は、「踏み絵」。薄い紙の表面には、踏み絵の輪郭がおぼろげに見え、紙の裏から貼った金箔、銀箔が背景に見える。踏み絵はフジムラ氏がスペシャルアドバイザーを務めたマーテン・スコセッシ監督の映画「沈黙ーサイレンス」にも使われた小道具を擦ったものとのことだ。

続いて、アイリスと、チューリップの花の絵が交互に飾られる。アイリスは何種類かの紺色が基調、チューリップは赤が基調だが、緑や黄色など、複雑な色合いが見える。それぞれ茎の中心部に金紛がある。金は、西洋画ではイエス・キリストを想起させる。フジムラ氏の信仰をうかがえる。

ヒスイ色の鳥たちの小さな絵画も並ぶ。フジムラ氏が暮らす米国プリンストンでは、「雪の予感がすると必ず訪れる」鳥だそうだ。また4月のこの時期は、「大雪の下積みになって根っこを伸ばしたチューリップ」がたくさん咲くのだという。

フジムラ氏は、今回の展示解説で、「世界が混乱して色々な亀裂やバイオレンスが生まれてきた今、小さなものに眼を向けること、その冷たい風に震えている生命を見つめることが大切」と趣旨を説明する。

今回の絵画連作は、昨年10月出版の著書”Art Is: A Journey into the Light”(『アートとは ー 光を追って』エール大学出版)刊行時にイメージし描いていたものだという。

文化戦争と異なる「文化ケア」

絵画そのものとともに、和紙、額装・表具にも目を向けたい。フジムラ氏出身の東京藝術大学や国内外の美術館、寺社などと取引をする「数寄和」は、織物や和紙を中心に、職人の後継者不足や需要の減少に危機感を覚え、約30年前に設立されたという。 

フジムラ氏もその働きに、共鳴し、今回も「日本の伝統文化を励ます様な働きができれば」との思いで展示を企画した。フジムラ氏は、創造と再創造の聖書的価値観から、「文化ケア」(Culture Care)を活動の理念にし、「文化のエコシステム」にも目を向けている。

「文化ケア」は、保守か、リベラルか、といった「文化戦争」とは別の文化の向き合い方として、フジムラ氏が実践しているものでもある。今回の絵画も繊細な色合いを通して、写実か抽象か、伝統か革新か、と単純化できないありようを表現しているように見えた。しかし、先の金粉のように何らかの希望が示されているようにも思える。

フジムラ氏は先述の『アートとは』で「色と色は依存しつつ、独立した、相互依存の関係にある」と、色の相補関係について指摘する。この視点はいわゆる「芸術作品」にとどまらず、世界の複雑な諸相を見極めることにもつながる。リンカーンやキング牧師の例を挙げて、「私たちには、〝相補関係〟の管理に熟達した〝アーティスト〟のリーダーシップが必要」と述べている。

16日夕方にフジムラ氏らが在廊の予定。

美と正義を美術家・弁護士夫妻でトーク

マコト氏は妻で弁護士のヘジン氏とともに、4月7日に『Beauty and Justice(美と正義)』Brazos Pressを刊行した。17日19時30分から、東京・千代田区のお茶の水クリスチャン・センターでトークイベント(コミュニティアーツ東京主催)を開催する。「感謝と寛大さを通して考える正義」、「正義とともにある美の大切さ」について夫妻が話す。

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