【詳報】殺傷武器輸出の監視・阻止 市民の手で 宗教者が院内集会

 

講演した杉原氏。右下はコメントした金性済氏

「輸出した日本製の殺傷武器が、ジェノサイドに使用されている可能性がある…」。「『死の商人国家』に堕落する日本~殺傷武器輸出解禁後の市民の課題~」と題して宗教者・市民集会が7月9日、東京・千代田区の参議院議員会館会議室で開催した。主催は平和をつくり出す宗教者ネット、協賛は平和を実現するキリスト者ネット、日本カトリックいのち・平和・人権委員会ほか。武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表の杉原浩司氏が講演した。

 最初に、5月28日に自治体議員有志による「殺傷武器輸出拡大に反対する要望書」(賛同者202人)を提出した時の、国家安全保障局(NSS)の企画官とのやり取りを紹介した。

「『米国とイスラエルによるイラン侵略戦争は国連憲章や国際法に違反している』と要望書提出側の議員が語ると、企画官は『誰がそんなことを言っているのか』と答えてきた。驚いた。先制攻撃は国際法違反だ。さらに民間人や民間施設を攻撃し、3千人以上殺されている。米国の国際法学者も連名で声明を出している。そういう中で同盟国、同志国には武器輸出する。では『イスラエルは同志国に含まれるか』と議員が質問すると、『除外されない。同志国に定義はない』との返答だった。これが国家中枢の認識だ。イスラエルが同志国に含まれるということは、イスラエルに武器を輸出できるということ。防衛装備品協定は結んでいないが、結べばできるということを印象付けるやり取りだった」

 政府は4月21日、「防衛装備移転三原則」及びその運用指針を改正。国産完成品の移転に制約をかけていた5類型(救難・輸送・警戒・監視・掃海)を撤廃し、殺傷武器であっても政府の一存で輸出できるようになった。「これは歴史的な大転換になる。しかも、国会議員に紙切れで事後通知するという、国会を完全にスルーした独裁的な決定プロセスだった」と憤る。「『防衛装備品・技術移転協定』を結んでいるのは17か国で、カナダとは署名済みスペインとフィンランドは交渉中だ。政府の判断のみでいくらでも追加できる。国家安全保障会議での審査は追認にすぎず、モニタリングにも限界がある。さらに『特段の事情』があれば、現に『戦闘が行われていると判断される国』への輸出も可能だ」

 「特段の事情」の想定例としては、「戦闘中の米国に、インド太平洋地域での体制を維持するために必要な武器を輸出する場合」を挙げた。だが、「『輸出先を国連憲章に適合した使用を義務付ける国際約束の締結国に限る』との政府との前提に反する。国際法違反の米国は武器輸出対象から外すべきなのは明らか」と指摘。「メイドインジャパンの武器が国際法違反の形で使用され、他国の人々を殺傷するリスクが最も高い。日本政府はイスラエルのジェノサイドやアメリカのイラン侵略戦争の法的評価を避けている。国際法・国連憲章違反を判断できない政府に武器輸出は論外だ」

 政府のフィリピンへの武器輸出にも触れた。「政府は中古護衛艦のあぶくま型を、無償または安価で輸出を検討している。また、88式地対艦誘導弾三菱電機製指揮統制システム防空ミサイルの輸出も検討中だ。フィリピン国軍は4月19日、国軍がネグロス島で民間人9人を殺害している。今のフィリピンの人権状況を見れば、武器輸出対象から外すべきなのだが、武器輸出だけでなく、OSA(政府安全保障能力強化支援)の重点対象国として、3年連続で武器を無償供与している」

 「軍需産業をめぐる光景も一変してしまった」とも語る・・・



(次ページ[下部ログインボタン]で、軍需産業、防衛装備品産業の変化、世論、宗教者の声など、)

定期購読で宣教情報を着実に<電子版、紙面版>≫

分断した世界でこそ、異なる働きを知り、理解し、出会うきっかけに

牧会・宣教に役立つ情報、
    多様な連載を掲載!
紙面、ウェブを刷新し、さらに充実しました。

無料公開は一部。定期購読で、着実に情報を得られます。

また購読で発行をお支えください。購読はこちら