2025年9月20日

神学校を卒業して間もない頃、当時のカンバーランド長老教会高座教会主任牧師・生島陸伸先生から「松本君、伝道集会は誰のためにあると思う？」と問われたことがありました。伝道集会ですから、未信者の救いが目的であることは当然ですが、先生は何か大切なことを伝えようとしておられました。私は答えに窮しました。しばらくして先生は「私たちのためにもあるんだよ」とお話しくださいました。 前回 https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/article-qrynjz14axq0ifvc/ あれから40年近くたちますが、時折、その言葉を思い出すことがあります。そしてそのたびに、心に思い浮かぶのが預言者ヨナに対する主なる神さまのお取り扱いです・・・ （次ページで、ヨナのストーリーと神の働きへの参与について、約1700字） ヨナ書は４章と短く、物語性もあり絵本の題材にもなります。「ヨナ書」と聞いただけで「よく知っている」と言われる方も多いでしょう。「立ってあの大きな都ニネベに行き、これに向かって叫べ。彼らの悪がわたしの前に上って来たからだ」―これがヨナ書の始まりです。 ところで、預言者とは神のそば近くに居て御言葉を預かり、民に語り伝える者、御言葉の「通り良き管」です。ところが「預言者ヨナ」は神の命令に背き、ニネベとは逆方向の西の果てに位置するタルシシュに逃亡を企てました。現代のように毎週何便も行きかうわけではありません。ヤッファの港には「渡りに船」とばかりに船が待っていました。その後の展開はご存じのとおりです。 神は逃亡するヨナをそのなすがままにはなさいません。嵐を起こし、大魚を送り、「悔い改め」へと導かれました（この後の展開を見ると、果たしてヨナが本当に悔い改めていたのかどうかは怪しいところですが…）。方向転換してやってきたヨナに再び御言葉が臨み、ニネベでの宣教が始まります。すると大リバイバルが起こりました。「めでたし、めでたし」でした。 ところがどうでしょう。「めでたし、めでたし」の出来事を伝える３章でヨナ書は閉じられていないのです。そこには「喜ぶ者と共に喜び、泣く者と共に泣け」ないヨナが独りとり残されています。４章を読むとき、それが明らかとされます。まるで幼児のように「すねた預言者」ヨナがそこにいました。 ヨナ書を読むたびに、私たちが信じ従う主なる神というお方は、宣教の前進はもちろんのこと、その働きに携わるヨナ自身のことを深く心に留めておられるお方であることを改めて知らされるのです。 特別伝道集会委員会では講師選びから始まり、どのように求道者に来ていただくのか、教会員へのアピールをどうするか、特伝が終わった後のフォローアップ等々、議題は山積みです。限られた時間のなか委員はみな真剣です。それゆえ、時には意見の対立が起こり、つまずく人も出たりします。こうしたことが奉仕の現場の実情なのではないでしょうか。 主イエスが弟子をお育てになるとき、ご自身を中心とした12人からなる交わり（コイノニア）の中に彼らを置かれたのを思い出します。そこにはペテロとヨハネ、取税人マタイと熱心党員シモンなど、性格や考え方が合わない人たちが集められています。ユダまで「仲間入り」しています。主イエスは彼らに福音宣教を託すと同時に、主イエスを中心とする交わりの中で「和解の福音」を自らが味わうことを求められたのだと思います。 子どもが幼い頃、食事づくりのお手伝いをしたいと妻を困らせることがありました。忍耐強く手伝わせると、「お母さんのお手伝いができた！」とあふれるばかりの笑みを見せてくれました。 実際に「お手伝い」になったかどうかあやしいところです。むしろ逆でしょう。「お手伝い」が実現するには、手伝わせる側の忍耐、何よりも子どもたちへの深い愛がなければ不可能なことです。でも大好きなお母さんの食事づくりのお手伝いができた満足は、満面の笑みを見ればわかります。役に立てた喜び、やり終えた満足で心がいっぱいだったからです。 主イエスも私たちを「神のお手伝い」に招かれます。イエスさま単独でしてしまえば、もっとスムーズに、もっとスマートに成し遂げることができます。しかしその尊い働きに参与するように私たちを招き、忍耐と愛とをもって私たちを導き、その働きを通してしか味わうことのできない喜びで私たちの心を満たし、キリストに似た私たちへと成長させようとしてくださるのです。そして満たされた私たちの笑顔をご覧になり、イエスさまも喜び満足されるはずです。 「わたしの喜びがあなたがたのうちにあり、あなたがたが喜びで満ちあふれるようになるために、わたしはこれらのことをあなたがたに話しました」（ヨハネ 15・11）。 私たちの信じ従う神さまは、働きが実を結び、祝福されることと共に、働きに参与する私たちがキリストに似た者へと成長すること――この二つのことを求めておられます。 生島牧師は、主イエスの働きに参与することを通していただく深い喜びに、私を気づかせてくださったのです。関連記事 https://xn--pckuay0l6a7c1910dfvzb.com/tag/%e7%a7%81%e3%81%ae%e7%89%a7%e4%bc%9a%e3%82%b9%e3%83%88%e3%83%bc%e3%83%aa%e3%83%bc/

日	月	火	水	木	金	土
	1	2	3	4	5	6
7	8	9	10	11	12	13
14	15	16	17	18	19	20
21	22	23	24	25	26	27
28	29	30

神がお求めになる二つのこと 連載 私の牧会ストーリー④松本雅弘

神がお求めになる二つのこと　連載　私の牧会ストーリー④松本雅弘