<犯罪被害者、加害者双方を救援><社会的弱者に手を延べるPFIJ><通り魔犯救えなかった><自らの責任と受けとめ>
キリスト教の博愛精神を活動の指針として、犯罪被害者とその家族への救援、犯罪当事者と犯罪経験者の更正支援などを実施する「Prison Fellowship International Japan」(社会的弱者救援機構=PFIJ=山田亘理事長、鈴木啓之チェアマン)が正式に発足し、10月22日、東京都内で発足記念式典が開催された。犯罪発生率上昇が深刻化する日本で、PFIJの今後の活動に期待が集まる。
「私の兄は今、薬物使用で服役中です。彼には家族の支えがなければなりません」。記念式典にゲスト出演したゴスペルシンガーのKiKiさん(インターナショナル・クリスチャン・フェローシップ教会員)は、会場に向かって語った。KiKiさんもPFIJのこれからに注目する1人だ。「犯罪者と家族を支援するのは簡単なことではありません。私も信仰がなかったらあきらめていました。PFIJには具体的な働きを期待します」とKiKiさんは語る。
記念式典でチェアマンの鈴木啓之さんは、「犯罪者の救援というと、おしかりを受けるかもしれない。しかし、犯罪者は罪を犯す少し前まで被害者だったという現実をこれまで見てきた」と語る。鈴木さんは元ヤクザの伝道集団「ミッションバラバ」代表で、単立・シロアムキリスト教会の牧師。自身2回の服役経験がある。
99年、鈴木さんにとってショッキングな事件が起こった。海外から帰国中の飛行機内で、東京・池袋で3人を殺傷する通り魔事件発生のニュースを知る。帰宅して犯人の青年を知った鈴木さんはがく然とした。以前アメリカで伝道旅行をした鈴木さんは、現地で生きる自信を失っていたその日本人青年と出会い、話を聞き励ましていた。「日本に帰ったら連絡してほしい」と言って別れたが、その後、音信は不通。その青年が殺人事件を起こした現実に、「犯行を自らの責任と受けとめ、『何とかしなければ』と思いました」と鈴木さんは話す。「ひとつひとつのことを神様に祈り、行きついたのがPFIJの働き。被害者から加害者となってしまう前に救済していきたい」と語った。
国際的な組織PFI(Prison Fellowship International)は世界105か国に活動拠点を置き、10万人以上のボランティア、約3千人の弁護士、5千人の医師団によって構成されており、国連経済社会理事会に諮問資格をもっている。シンガポール、ブラジルなどでは、PFIの実施するプログラムによって再犯率が激減するなどの実績があるという。
PFIJでは①犯罪被害者とその家族への救援②受刑前・起訴前の容疑者やその家族への救援③未成年者・薬物犯罪への対応と犯罪予防のための啓蒙④出所者の再犯防止のための支援活動を実施するとともに、広い意味での社会的弱者として、医療ミス被害者とその家族への救援、路上生活者自立支援活動も行う。
記念式典であいさつしたPFI代表のロナルド・ニッケルさんは、「犯罪は地域社会の問題でもある。地域社会全体が、被害者と加害者の救済に取り組まなければならない」と呼びかけた。このことばは、日本の実情を示すとともに、地域に根ざす日本の教会への大きなチャレンジともなろう。 【藤川 義】
PFIJのURLはhttp://www.pfijapan.jp/
