【詳細】「あなたは英霊になりますか?」在日・合祀拒否の視点から植民地支配の歴史問う

崔善愛さん

 戦後80年たっても過去の植民地支配は清算されていないと、政教分離の侵害を監視する全国会議(星出卓也事務局長)主催の公開学習会が5月23日、新宿区の日本基督教団四谷新生教会で開かれた。「在日の視点から」在日韓国人4世のピアニスト崔善愛(チェ・ソンエ)さんが、「ノー!ハプサ(NO!合祀)訴訟の視点から」同訴訟担当弁護士の井堀哲(いぼり・あきら)さんが講演した。


 崔さんは1981年、指紋押捺を拒否して罰金を払わず起訴された。裁判は89年に恩赦となったが拒否。その経験を、「天皇という存在が自分の前に現れて『赦してやる』と言われた。植民地支配の道具としての指紋押捺の責任を問う拒否だったが、私たち『外国人』もまた天皇制からのがれられない」と語った。


 99年に指紋押捺制度は廃止されたが、国旗国歌法が成立。娘の小学校で君が代の問題と闘うことに。そうした体験をつづった新刊『私の「風速計」』(いのちのことば社)から、「日本で暮らしていくのに歴史認識で救われた」という数人を取り上げ、広島の被爆者で詩人の栗原貞子さん、君が代不起立で処分された東京都の教員で処分取消訴訟に勝訴した根津公子さん、明治学院大学学長として学生たちに天皇制問題を考える授業を続けた歴史学者森井真さんらの言葉と生き方を紹介した。


 最後に国家の暴力に取り込まれる動きを警告し、「キリスト教会は何をしているのか」と問うた。


 井堀さんは、戦死者を「英霊」とする靖国神社が植民地支配下の朝鮮人戦死者の合祀取り下げに応じない実態を、「英霊という虚像の中に押し込んで離そうとしない」と表現。憲法改正、自衛官の靖国公式参拝、インテリジェンス法案、国旗損壊罪などの動きの背後にあるのは「ニッポンナショナリズムなのか」と問い、高市政権が中国包囲網を設定しての「自衛戦争」を想定する現在の状況を「太平洋戦争前夜と酷似している」として、「Z世代は『英霊』になるのか」と問題提起した。  【根田祥一】

崔善愛さんと井堀哲さんが講演した後、「政教分離の会」代表幹事の稲正樹さん(憲法学者)らを交えてパネルディスカッションをした。右下は崔さんの新刊『私の「風速計」』

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