沖縄米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設が最大の争点となった沖縄県知事選挙は、16日投票が行われ、無所属新人で前那覇市長の翁長雄志氏(64)が当選した。翁長氏は移設反対を全面に打ち出し、昨年県知事として辺野古埋め立てを承認し、普天間の5年以内の運用停止を掲げて移設推進を唱えた現職の仲井真弘多氏(75)に、10万票近い差を付けて票を集めた。政府は昨年の埋め立て承認を受け、今年8月から辺野古の海底ボーリング調査を開始しており、今後翁長氏がこれにどう対応し、移設阻止を実現させるかが注目される。基地問題を巡っては、沖縄の教会の長年にわたる反対運動とともに、それに連帯しようとする共感の輪が全国に広がっている。今回の選挙結果について、現地教会の牧師の声を聞いた。 【髙橋昌彦】
沖縄バプ連盟・普天間バプテスト教会牧師の神谷武宏氏は、「今回の結果は民意が届いた、と考えている。保守も革新も一致した『オール沖縄』で戦ったことが大きかった」と語る。「基地は沖縄県民にとって本当に身近なこと。信徒の祈りの中にも常に出てくる。私たちの教会は普天間基地のすぐそばにあるが、基地がよそに移れば済むというようなことではない」
「世界的に見て、危険で不法な基地があること自体が問題で、なぜ政府はそのことをアメリカに言わないのか。翁長氏には辺野古埋め立て承認を覆せるよう、頑張って欲しい。私たちも基地が無くなるまで、反対運動を続ける。今は流れが来ているので、それを機会としていきたい」と力を込めて語った。
沖縄天久神の教会アークチャペル牧師の折田政博氏は、「私も翁長氏を支持していた。県民の75%は基地に反対している。民主主義の日本社会にあって、いい加減に沖縄のことは沖縄県民に決めさせて欲しい、という気持ちだ」と話す。「普天間基地の代替地だからといって、美しい辺野古を破壊することを県民は望んでいない。基地問題のたびに政府が莫大な金をばらまくことに県民は辟易している。日本の米軍基地の7割が沖縄にあること自体が問題だ」
「もう冷戦時代ではない。基地跡地に出来た那覇新都心地区では、基地時代の何十倍もの経済効果が生まれている。私はアメリカ人の4家族に招かれて宣教師として沖縄に来たが、今では宣教師でも基地の有用性を認める人はいなくなってきている」と言う。
ワールドミッション沖縄ベタニヤチャーチ牧師の山内昌良氏は、「翁長氏のために祈っていた。信徒ともよく話をする。その候補者の政策が聖書的かどうかが重要だ」と話す。「『剣を鋤に、槍を鎌に』(イザヤ2・4)とあるように、私たちは軍事基地そのものに反対する。海を埋め立てるのは人間が自分で地境を作ること。それを基地のためになどしてはならない」
「翁長氏はカジノ誘致にも反対していた。他の3人の候補は、全員賛成だった。普段からギャンブル依存の人に多く接しているが、この問題も大きい」、「基地は移転では済まない。沖縄に基地がある限り、かつて戦争の最前線だった時と同じことが起きてしまう。安倍首相は『国民の生命と財産を守る』と言うが、今まで国が国民を守ったためしなどない」とも指摘。「翁長氏には、一括交付金3千億円のカットなど、今後国から相当の圧力がかかるだろう。『建白書(*)』に名を連ねた議員たちに圧力をかけて、新基地容認に転じさせたのと同じことを、今度も政府はやりかねない。ますます祈りをもって応援していく」と力を込めた。
*普天間基地の撤去、県内移設断念などを求めた「建白書」。2013年1月、県内の全市町村長、議長、県議会各会派代表、などが連名で安倍晋三首相に提出した。
