《神学》反知性的で好戦的な「福音派」イメージの背景 ファンダメンタリズムの起源と歴史

 トランプ政権との関連で、反知性的で好戦的な「福音派」という報道が多く見られる。「福音主義」「ファンダメンタリズム」「福音派」が混同されがちだが、区別する必要がある。「クリスチャン新聞」からの依頼により、『ファンダメンタリズム』に記した拙文「訳者あとがき」を改めて整理し紹介したい。

解説・藤原淳賀
青山学院大学宗教主任・地球社会共生学部教授。日本バプテスト連盟恵約宣教伝道所牧師。米国・ゴールデンゲートバプテスト神学校(神学修士)、英国・ダラム大学(神学博士)。

『ファンダメンタリズム 神学は語る』
ピーター・A・ハフ著
藤原淳賀、豊川慎訳
日本基督教団出版局、A5判266頁、4,070円税込

近代主義への偏狭な反動と 袂を分かった福音派

本書の特徴と全体構成

 本書の最大の特徴は、著者が宗教学の専門家として、プロテスタント福音主義およびカトリックに対する深い理解に基づき、ファンダメンタリズムの起源、歴史、性質、多様性、さらに研究史に至るまでを広範囲にわたり提示している点にある。
 第1章から第3章では、ファンダメンタリズムの本質に関する議論を丁寧に追い、それが近代化に対する危機意識から生じたリアクションであることを明らかにしている。この現象はアメリカのプロテスタントにおいて始まったが、他の宗教伝統にも見られる。第4章では第二バチカン公会議に対するカトリック教会の反応とファンダメンタリズム的現象を考察し、第5章ではイスラム教における同様の現象を論じている。西洋社会における近代化をキリスト教会が全面的に拒否しなかったのとは異なり、イスラム世界にとって近代化は西洋帝国主義的な外来現象として受け止められた。第6章では、ユダヤ教およびその他の宗教に見られる現象が紹介されている。

近代化へのリアクションとしてのファンダメンタリズム

 「ファンダメンタリズム」という語は、しばしばテロリズムや反知性主義と結び付けられ、侮蔑的なニュアンスを伴う。しかしその本質は、かつて社会で広く受け入れられていた自らの宗教的伝統が、近代化によって破壊されつつあることへの強い危機感から生じた、宗教的・社会的抵抗である・・・・・・

(次ページ[下部ボタンから]で、バイブルベルト福音派の興り背景の米国社会、などについて。約2400字)

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