イラン紛争を「イスラム教対キリスト教」と見る危険 隣人を愛する信教の自由と「キリスト教ナショナリズム」の違い

作者: FreeBackPhoto Photo AC

イランとの停戦が不透明な状況に伴い、米国社会の分断があたかも「キリスト教対イスラム教」間の対立であるかのような言説が広がっている。

そうした中で5月初旬に、「キリスト教と公共生活センター(Center for Christianity & Public Life)」のキリスト教市民形成ディレクターを務めるクリス・バトラー牧師が、「すべてがキリスト教ナショナリズムではない」と題して米福音派誌クリスチャニティトゥデイに寄稿した。同記事は、トランプ陣営がイランとの戦いに聖書的な表現を使ってイスラム教を敵視するレトリックの影響が社会に高まる中で、警戒すべき「キリスト教ナショナリズム」と、宗教観の差異を正当に峻別することの違いを強調した。

すべてがキリスト教ナショナリズムではない

イスラム教やその他の問題について疑問を呈する信者に対して、ただちにこのような非難を浴びせるのは、知的怠慢である。

クリス・バトラー

米下院議員のチップ・ロイ氏は最近、「マムダニ法」と呼ばれる法案を提出した。この法案の名称は、ムスリムで民主社会主義者であるニューヨーク市長ゾーラン・マムダニ氏を皮肉って付けられたものだ。同法案は、社会主義、共産主義、マルクス主義、あるいは「イスラム原理主義」を「擁護」する移民に対し、国外退去、市民権剥奪、または入国拒否を行うことを提案している。その文言は極めて広範であり、こうしたイデオロギーを支持する文書を配布、回覧、印刷、掲示、所持、または出版する者を標的としている。

ロイ議員の法案は、米国の戦争や紛争を「キリスト教対イスラム教」という明確な構図で捉える宗教的レトリックが全米で高まる中で提出された。

ドナルド・トランプ大統領とその支持者たちは、現在不安定な停戦状態にある不人気なイラン戦争への福音派の支持を集めるため、聖書的な表現をますます多用している。一部の保守派指導者は、この紛争を善と悪の戦いとして位置づけ、イスラエルに関する聖書の預言を強調し、イランを精神的脅威として描いている。ピート・ヘグセス国防長官は、ペンタゴンでの礼拝で「慈悲に値しない者たちに対する圧倒的な武力行使」を祈願し、墜落した米空軍兵士の救出をイースターの奇跡にたとえた。

(次ページで、「キリスト教ナショナリズム」についてどう語るべきか、レッテル貼りをこえて、など約2500字)

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