「福音派」は過激な極右ではない 欧州福音同盟が声明 多様な価値を尊重、党派的な政治利用に反対

「福音派」という用語が過激な右派政治と結びつけられることがますます増えているとして、欧州福音同盟(EEA)が「公共生活におけるヨーロッパ福音派」のアイデンティティーと貢献を知ってほしいと声明を発表した。背景には、米国で「福音派」が政治的レッテルとなり、メディア報道などで排他的なナショナリズムとキリスト教が結び付けられる、日本における一般報道と同様の動きがあるという。

 声明は、ヨーロッパのメディアや政治家が、福音派と過激な右派とを区別できていないとして、EEAは、ヨーロッパの福音派はどのような存在であり、どのように公共生活に関与しているのかを明確に説明したい、としている。

声明の構成は、「わたしたちは良い知らせの民」「人間の尊厳:神のかたち」「社会への貢献」「福音派は政治をどう考えるか」「キリスト教ナショナリズムと信仰の乱用」「福音派は公共生活にどう参与するか」「メディアと公的なリーダーに向けて」の7節。各種資料のリンクをつけている。

 ヨーロッパの福音派は2千年にわたるキリスト教の伝統の一部であり、プロテスタント宗教改革やその後の数世紀にわたる福音主義の復興を通じて形成されてきた歴史を紹介。「福音派の信者はあらゆるプロテスタントの教派に存在する」として、1846年に福音同盟が設立されたことに端を発し、現在ヨーロッパ全土に2千万から2千500万人の福音は信徒がいることを説明した。

「ヨーロッパの福音派信徒は、イエス・キリストの福音と、神と隣人を愛するという召命によって結ばれています。イエスの『良き知らせ(福音)』を他の人々と分かち合うことは、私たちにとっての栄誉であり、情熱であり、クリスチャンとしての義務です。私たちは聖書の基盤に根ざしており、とりわけイエスの生涯、模範、教えに献身しています。私たちの運動は多様で多民族的であり、世界中に広がる共同体の一部です。私たちは、福音派教会の家族の中に存在する文化や背景の豊かさを称えます」と、福音派アイデンティティーの多様性を示した。

 そして、イエスの愛・希望・救いの力を分かち合い、正義・平和・真理・和解を促進し、公共の利益と社会および環境の繁栄に貢献することを目指す、包括的な宣教を信じていることを表明。識字率の向上、教育、医療、女性の尊厳を含む多くの社会改革が福音派の信徒によって確立されてきたとして、赤十字の創設者アンリ・デュナン、チェコの先駆的教育者ヨハン・アモス・コメニウス、女性の搾取に反対した英国のジョセフィン・バトラー、ノルウェーの社会改革者ハンス・ニールセン・ハウゲ、オランダの首相アブラハム・カイパー、英国の刑務所改革者エリザベス・フライ、ドイツの信用組合の先駆者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ライファイゼンなどの例を挙げた。

 そして「福音派は今もなお、自らの信仰が地上の生活と密接に関連していると信じています。私たちは社会のあらゆる分野に関わり、実践的な貢献を行いたい」とし、「聖書的な価値観が、人々の幸福、経済、環境、社会をより良くし、強めることができると信じている」が、「政治的な特権や特別扱いを求めることはありません」と明言。「私たちは、説得と奉仕を通じて公益に貢献することを目指しています。あらゆる世界観が、互いに敬意を払いながら自由に表明されるのです。意見の相違は、直ちに過激主義を意味するものではありません。相違は民主主義的な多元主義の自然な一部なのです」と、福音派の多くが共有する考え方を述べた。

 「歴史は、教会と政治が過度に密接に結びつくことの危険性を、ヨーロッパの福音派に教えてきました。私たちの究極の忠誠の対象は神であり、いかなる政治的指導者、政党、あるいは国家でもありません」として、「キリスト教ナショナリズム」が支配、強制、押し付け、不寛容、排除を意味したり、キリスト教が特定のイデオロギーと結びついたりする信仰の誤用を拒絶した。

 「私たちは福音派を含むキリスト教が党派的な政治目的のために利用されることに心を痛めます。さらに悪いのは、信仰がナショナリズム、外国人排斥、あるいは軍国主義的な意図のために取り込まれてしまうことです。イエスの生涯、模範、そして教えに反する行動を正当化するために聖書が使われるようなことは、決してあってはなりません」

声明文全文はこちら

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