気が滅入る一か月の中で、聖書の証し広がる ウクライナ船越宣教師レポート
米国大統領との間で揺れるウクライナ。現地の船越真人・美貴宣教師のレポートを一部編集して伝える。
いつもウクライナのことを覚え、祈り続けてくださっていること、そしてオデッサにおける私たちの働きを祈り支え続けて下さっていることに心から感謝をしています。
ご存知のようにこの1か月間は、特にウクライナにいる者にとって、心が騒ぐことがあまりにも多い1か月となりました。
まず、アメリカのトランプ大統領がウクライナを非難する発言を続け、2月28日のホワイトハウスにおけるトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談は決裂に終わり、そのニュースはウクライナ中を衝撃と落胆で覆いました。
その後も、アメリカによるウクライナへの武器支援の一時停止や軍事情報提供の停止、さらにクルスク方面からのウクライナ軍の撤退など、かなり気が滅入るニュースが続いてきました。
停戦交渉までにできるだけ戦果をあげておきたいロシア軍の猛攻が続いており、オデッサにも激しい空爆が行われ、停電が続いています。
3月18日にはトランプ大統領とプーチン氏の電話会談が行われ、ロシアとウクライナの両国がそれぞれのエネルギー施設への攻撃を30日間停止するということは合意には至ったとされていますが、その他にどのような交渉がなされているのかは不明であり、ウクライナの人々の不安を強くしています。
その中で、プーチン氏はオデッサの明け渡しを(トランプ大統領に)要求しているという情報があり、トランプ大統領がそれに応じた場合、一体オデッサはどうなるのか、人々はその不安と恐怖との戦いを今、強いられています。
停戦交渉が始まり、事態がそれに向かって動き始めたことは良いことですが、どのような形で停戦・終戦が実現するのかがウクライナにとっては何よりも重要です。先述のオデッサの件や南東部四州の帰属問題もそうですが、今まで、自分たちの祖国と家族を守るために命の危険を冒して戦ってきた兵士たちの犠牲の意味が、停戦の形によって大きく変わることになります。
また、停戦後にロシアが再侵攻しないことが保証される形での停戦でなければ、それはさらに悲惨な戦争のリスクを将来に先送りすることにしかならないため(過去の痛い経験から、ウクライナの人々は、ロシアは必ず停戦協定を破って再び攻めてくると信じ切っています)、停戦の意味がなくなってしまいます。
この状況の中で、主がウクライナをどのように平和へ導かれ、ウクライナの上にあわれみを注いでくださるのか、主を信頼しつつ、そのなり行きを見守っています。みなさまの忍耐強いお祈りに本当に心から感謝しています。
私たちのオデッサ教会では、日曜礼拝において、もう一度「イエス・キリストの福音の意味と力」を確かめる学びをしています。約40分の説教の後、8つのグループにわかれ、そこで約1時間、説教の内容をリーダーたちの導きのもとで咀嚼(そしゃく)する形で学びをしています。学びの前の週には、それぞれのグループ・リーダーたちと私たちで学び会を行い、祈りつつ準備をして日曜日の学びに臨んでいます。
そして5月4日にバプテスマ式を予定しています。この時までに、イエス・キリストを自分の救い主として心から信じ、キリストの弟子としての歩みを始めたいと願ってバプテスマを受ける人々が一人でも多く起こされることを強く願っています。続けてお祈りください。
4月の日曜礼拝でも引き続き「福音とは何かシリーズ」を続けますが、4月20日にはイースター特別礼拝を行います。ぜひ、祝福をお祈りください。
水曜集会では、引き続きダニエル書を学んでいます。3月は4章(ネブカドネザル王の高慢と試練、その結果)について学びました。一人一人、多くのことを教えられました。4月は5章(ベルシャツァル王とバビロン帝国の滅亡)を学びます。
また、引き続き、子ども日曜学校、ママ会、婦人会、「ネットを作る会」も継続しています。
HOPEニコラエフの働きも継続しています。現在は食料配布よりも、現地の教会と協力しながら村々におけるホーム聖書学び会とユース活動に力を入れています。
また、HOPEヘルソン(ヘルソン教会を通しての食料支援)も月に一度のペースで継続しています(350の食料パッケージをオデッサからヘルソンに運んでいます)。この働きは、危険な状態が続いているヘルソンに残っている人々にとって本当に大きな励ましであり、実際的な助けとなっています。3月は6日に行いました。4月は22日を予定しており、ヘルソン教会(オレグ牧師)、ポサド・ポクロフスケ教会(アンドレイ・アーニャ)に行きます。
そしてHOPEソルジャーズの活動も継続しています。この厳しい戦況の中で、心も体も傷だらけの兵士たちを訪問し、やはり励ましや慰めの言葉さえ出てこないことが多いのが実情ですが、その中で、なんとかして、イエス・キリストにある神の愛を彼らに伝えたいという一心で、チーム(アルチョム、ミーシャ、レーナ、ローラ、勇貴、サーシャ、真人、美貴)でこの働きを継続しています。どうか、続けてこの働きが祝福され、私たちが主の御手の中にある励ましの器として用いられるようにお祈りください。また、私たちの教会から兵役についている兄弟たち(イリヤ、サーシャ、バディム、バーニャ)のためにも続けてお祈りください。
ユース・ミニストリー(勇貴がリーダー)も祝福されています。お祈りに感謝します。現在、教会の敷地に隣接する市の土地を借りて、そこにプレハブを建てています。そこが今後のユースの活動の場所になっていきます。続けてユースの祝福をお祈りください。
勇貴は2月の末から3月中旬まで、アメリカのある教会での宣教カンファレンスに呼んでいただき、そこで奉仕することができました。ちょうど、勇貴がアメリカにいるときに、トランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談が行われました。アメリカの福音派の教会にはトランプ支持者が多く、ウクライナに対する考え方が否定的になっている人々も少なくありません。
その中で、ウクライナの現状や、そこにある教会の使命についてアメリカのクリスチャンたちに証し、さまざまな質問に答える機会が与えられ、タイムリーな形で用いられたことを感謝しています。私たちは心から、このウクライナの地で、主の栄光が表されること(おそらく私たちの予想を超える形で)だけを主に期待しています。
ウクライナのために、オデッサでの私たちの働きのために祈り、支え続けてくださっているみなさまに心から感謝をしています。みなさまの上に主の祝福が豊かにありますように、心からオデッサで祈っています。
船越真人・美貴
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