歴史の中に埋もれていた事実が、一つの発見をきっかけに明らかになることがある。新刊『もうひとつの「若草物語」』には、まさにそのような物語が記されている。
始まりは、3人の女性が写った「一枚の写真」。そこに記された「『若草物語』を初めて日本語に訳した3人の女性たち」という説明から、長い間知られてこなかった『小婦人』(『若草物語』の初邦訳のタイトル)の訳者「北田秋圃」の存在があらためて注目される。本書は、その「謎の翻訳者」の足跡をたどる一冊である。
アメリカで大ヒットした『Little Women』を、なぜ無名の女性が翻訳したのか。最初から『若草物語』というタイトルではなかったのか。物語を訳した女性たちは誰だったのか。さまざまな疑問を紐(ひも)解いていく中で、『若草物語』を取り巻くクリスチャンたちの存在が浮かび上がる。『若草物語』を切り口に、明治期のキリスト教文学や女性たちの歩みに触れられるだけでなく、キリスト者たちが文学や翻訳を通して社会と関わった足跡を知ることができる興味深い一冊。
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