世界に「重荷」ある人へ対話の勧め 鈴木光 対話と宣教の視点 憲法特集①

 鈴木光(日本基督教団 勝田教会牧師)

 国民主権、基本的人権の尊重、平和主義。小学校で学んだ時、よく理解していたかと問われれば怪しいものですが、日本はこれを大切な原則にしているのだと聞いて、子ども心に誇らしく感じました。日本国憲法の前文は名文だと思います。理想を掲げて、それを生きようとすることは本当に価値のあることです。


 特に私は個人的に「平和」ということに思い入れが強く、今ある憲法の「平和主義」は、あまりにも大きな犠牲を払わせ、払ってきた末に、与えられた賜物だと感じています。現実的でないという意見も聞きますが、それはそうでしょう。人の世の罪の現実は、殺し合い、奪い合うのですから。「あなたがたは、欲しても得られず、人を殺します。また、熱望しても手に入れることができず、争ったり戦ったりします」(ヤコブ4・2、新共同訳以下同)と言われているとおりです。


 だからと言って、現実に合わせていった結果を再び見ることを私は望みません。むしろ、くしくも与えられた幻を高く掲げることこそ世界に冠たる国のあり方だと思います。「幻がなければ民は堕落する」(箴言29・18)ものです。どこを目指すべきかが既に与えられているのは幸いなことです。むしろ考えるべきは、与えられた幻をどのように現実のものにしていけば良いのか、でしょう。


 多くのキリスト者は今、日本や世界の、おそらく決して良い結末にはならないであろう方向に進む姿を見て、責任を感じ、同時に小さくて何も抗(あらが)うことのできない自分にいらだちを覚え、そのいらだちを少なからず周りに転嫁したいとすら感じて、苦しんでいるのではないでしょうか。


 私たちは世界を勝手に背負っています。周りから見たら分不相応に悩むピエロのようかもしれません。しかし、イエス様もそのように扱われていたので、その方についていく者としてはあながち間違っていないでしょう。そんな〝勝手に世界を背負っちゃってる同志たち〟に自分なりの考え方をいくつか分かち合い、勧めます。


 
 忍耐強く祈りましょう


 世の動きを見ると諦めたくなる気持ちが出てきますが、そのように感じている若干上から目線の私たちも含めて、本来なら諦めたくなるような罪人を、イエス様は決して諦めずに祈ってくださっているのです。実際は世界を背負っているのは主であり、イエス様なので、私たちの軛(くびき)は軽いものです。

 自分の考えを分かち合いましょう


 話すことでも、書くことでも、デモなどの行動でも、伝えるのが上手くても下手でも構いません。福音を証しし、伝える時と同様に、反応は様々でしょうけど、伝えなければ伝わりません。受け取り方は相手にゆだねましょう

 謙遜に主に期待しましょう  

イエス様は「何が人間の心の中にあるかをよく知っておられ」(ヨハネ2・25)ました。勝手に世界を背負っていると、自分の考えが正しいと思い込みがちです。そんなことはないので、自分を含めて、人間に期待をかけるのではなくて、謙遜に主にのみ期待をかけていくのが良いでしょう。福音も、自分の考えも謙遜にお伝えする時、はじめて届きます。

憲法特集を5月3日号で掲載 →各記事はこちら(リンク予定)

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