戦争で息子を失ったお母さんたちのため「母の日礼拝」 ウクライナ船越宣教師ら

ウクライナでの戦争は、世界情勢に翻弄され、引き続き先が見えない。戦争で息子を失ったお母さんたちを意識した「母の日礼拝」など、細やかな支援を続けるウクライナ宣教師の船越夫妻から5月20日にレポートが届いた。以下。

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いつもウクライナのことを覚え、オデッサでの私たちの宣教の働きのためにお祈りくださり、ご支援くださっていることに、心から感謝をしています。

5月9日、ロシアでは対独戦勝記念式典と軍事パレードが行われました。この対独戦勝記念日は、ロシアにとって一年の中で最も重要な国家的記念日です。特に2022年にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以来、この日は単に80前の過去におけるナチス・ドイツに対する勝利を記念する日ではなく、現在進行中のウクライナ戦争におけるロシアの「勝利」を象徴する日として、特別な意味づけがなされてきました。

昨年は中国の習近平氏も出席し、ロシアの力と威信を国内外に示すような演出がなされました。
しかし、今年の軍事パレードは一転し、20年ぶりに戦車部隊などが参加しない、異例とも言える小規模なものとなりました。このことから、ロシアが軍事的にも経済的にもかなり厳しい状況に置かれているのではないかと報道されています。実際、東部戦線においてもロシア軍の前進は各地で阻まれ、一部の地域ではウクライナ軍による領土の奪還も見られています。

しかし、それは決してウクライナが優勢になったことを意味するものではありません。ウクライナもまた、今なお非常に厳しい状況の中に置かれ続けています。オデッサをはじめ、ウクライナ各地の都市に対するロシア軍の空爆は連日のように続いています。5月14日に行われたキーウへの空爆では、24名の一般市民が犠牲となりました。ロシアが戦争終結に向けて動き出したとはとても言えない状況が続いています。

また、東部戦線でのウクライナ兵の死傷者も増え続けています。
私たちの教会のアルチョム兄と勇貴は、チャプレンとして、地元の徴兵委員会からの要請に応じ、戦没兵のご家族に、夫や息子が戦死したことを告知する徴兵委員会員を補佐する働きをしています。時には、一週間のうちに何件もの告知に同行しなければならず、その知らせを受けたご家族の深い悲しみ、混乱、言葉にならない叫びを、そばで受け止めなければなりません。そこには、言葉では語ることのできない戦争の現実があります。また、戦争が長引く中で兵士不足も深刻化し、徴兵はさらに厳しくなっています。多くの男性たちは外出することを恐れて家にとどまっている状態も多くあります。また、違法に国外へ脱出しようとする男性たちも後を絶ちません。先日も、私たちの知人の家族である45歳の男性が国外脱出を試み、その途中で命を落としました。その葬儀に立ち会ったご家族の心境は、本当に複雑で、言葉に尽くせないものでした。

このような状況の中で、ウクライナ社会全体はますます暗く、重くなっています。人々の心には、疲れ、不安、怒り、失望が積み重なっています。そのような中で、教会がこの地において果たすべき使命は本当に大きいことを痛感しています。暗闇が深いからこそ、キリストの福音の光が必要とされています。私たちの教会が、恐れに支配されることなく、愛と勇気をもって人々に福音を伝えることができるように、そして、この戦争の暗闇のただ中で、イエス・キリストにある希望の光を輝かせることができますように、続けてお祈りください。

5月10日(日)の礼拝では、『母の日礼拝』を行いました。私たち一人ひとりに母を与えてくださった主に感謝し、また母親たちの上に、主の慰めと祝福が豊かに注がれるように、心を合わせて祈るときとなりました。
この礼拝には、戦争で息子を失ったお母さんたち、また夫を失い、今は一人で子どもを育てているお母さんたちも参加しました。母の日は、本来、感謝と喜びに満ちた日です。しかし、今のウクライナでは、その喜びの中にも深い悲しみや痛みが重なります。それぞれのお母さんたちの歩みを覚えながら、主がその心を支え、日々必要な力を与えてくださるように祈りました。
礼拝後には、教会でバザーを行いました。姉妹たちが腕を振るって作った料理やお菓子が並び、みんなが盛り上がりました。戦争の緊張と不安が続く日々の中で、共に食べ、語り合い、笑顔を分かち合う時間は、大きな憩いと励ましのときとなりました。

日曜礼拝では、引き続き「聖書が教える赦しについて」というシリーズでみことばを学んでいます。現在進行形で侵略を受け、家族や友人を失い続けているウクライナの人々に向かって、「赦し」について語ることには大きな難しさを覚えます。赦しという言葉は、痛みの中にいる人にとって、あまりにも重く、簡単には受け止めることのできない言葉だと思います。しかし同時に、赦しは聖書が避けて通らない大切なテーマです。赦しは、決して悪を軽く見ることではありません。不正義を見逃すことでも、傷つけた相手を安易に信頼することでもありません。むしろ、正義の主にさばきをゆだねながら、憎しみに心を支配されないために、神が私たちを導いてくださる恵みの道であることを私たちは学びたいと願っています。この学びを通して、私たち自身、キリストの十字架に現された神の赦しの深さと、神の正義と恵みの力を、より深く理解することができるように願っています。

水曜集会では、引き続き「ローマ人への手紙」を学んでいます。これまで9〜11章を学び終え、これから12章に入っていきます。福音は、私たちの救いの教理にとどまらず、日々の生活、人間関係、奉仕、社会での役割、苦しみの受け止め方、そして教会の歩み全体を造り変える力であることを学びたいと願っています。この学びを通して、私たちが生活のすべての領域で働く福音の力をさらに深く理解し、実際に体験していくことができるように、どうぞお祈りください。

HOPEニコライエフ、HOPEヘルソン(ポサド・ポクロフスケ)、ウシンスキ大学での日本語授業の働きも継続しています。さまざまな出会いの中で、主が福音の種をまき続けてくださっていることを感謝しています。

前線にいる兵士たちへの支援も続けています。私たちは6月初旬に、ハリコフ方面の部隊を訪問する予定です。必要な物資を届け、兵士たちに主にある励ましと祈りを届けることができるように、また移動と訪問のすべてが守られるように、お祈りください。

皆さまの尊いお祈りとご支援に心から感謝いたします。愛する皆さまの上に、主の豊かな祝福と平安がありますように、心からお祈りいたします。

船越真人・美貴

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