
北半球から南半球へ。世界のクリスチャン人口の比重が移っていることは、様々な統計データで指摘されてきたことだ。では、そのデータが計上している「クリスチャン」の実像はどのようなものか。
『世界キリスト教百科事典(World Christian Encyclopedia)』共著者で、ハーバード神学大学院世界キリスト教研究上級研究員・講師のジーナ・A・ザーロ氏がアジア訪問の折に来日し、3月13日に懇談会(日本ローザンヌ委員会主催)が実現した。世界のデータを概観し、日本の専門家とも対話しながら、クリスチャン像の移り変わりと、宣教の焦点を考えた。
ザーロ氏の講演に続き、応答者として、日本福音同盟宣教委員会宣教研究部門研究員、第七回日本伝道会議の基礎資料『宣教ガイド2023』の編集責任者の福井誠氏(バプ教会連合・玉川キリスト教会牧師)、東京基督教大学国際宣教センター(FCC)日本宣教リサーチ研究員で、『データブック2023 神の国の広がりと深化のために』編著者の柴田初男氏が立った。
目次
普遍的なメッセージと地域的な実践
ザーロ氏は講演の冒頭、インドの神学者ラルサンキマ・パチュアウの言葉「キリスト教は普遍的なメッセージと地域的な実践の間に存在している」を引用した。「キリスト教は確かに普遍的な主張を持っているが、その主張が実際に実生活でどのように実践されるかは大きく異なる可能性があるといったことがわかる」と語った。
ザーロ氏は、様々な観点での統計を随時更新している「世界クリスチャンデータベース」(WCD)、「世界宗教データベース」の編集も担う。自身は、世界のキリスト教形成における女性の役割についてもテーマにしており、著書も刊行。世界の宗教および非宗教の定量化に関する業績によって、2019年にBBCの「最も刺激的で影響力のある女性100人」に選出された。WCDや『世界キリスト教百科事典』のデータは、2024年の第4回ローザンヌ世界宣教会議における分析資料「大宣教命令の現状報告」の基本資料として使われた。
『世界キリスト教百科事典』のはじまり

『世界キリスト教百科事典』は、カトリック、正教会、プロテスタント、独立系、福音派系、ペンテコステ系などのデータが一冊の本になったものだ。ザーロ氏のもとで、すでに三版が2020年に完成している。1982年にこの初版を完成させたのは、英国国教会の宣教師、デービッド・バレットだ。
バレットは、航空宇宙エンジニアであり、第二次世界大戦後、英国の航空機関で働いていたが、爆弾の設計を断ったのを機に、陸軍のチャプレンとなった。1957年に宣教師としてケニアに派遣されると、アフリカのキリスト教がダイナミックな変化を遂げていることを知った。アフリカ人主導のクリスチャンの運動が展開し、独立教会を生んでいた。科学者のバレットは、まずアフリカでアフリカ人教会グループの統計を調べ始めた。この働きがやがて世界のキリスト教の調査に広がった。
ザーロ氏は「バレットは旅をしながら、いろんな種類の資料や方法、また仮説や技術などを駆使して、新しいグローバルな方法論を開拓した。宗教社会学者のピーター・バーガーは、1968年に、『21世紀までに宗教は、世俗文化に抵抗するために集まった、小さなセクトに過ぎなくなる』と言っていたが、バレットは、70年に『2000年までに、アフリカのクリスチャン人口は3億人になる』と言った。バレットが正しかった。バーガーは90年代に自説を撤回した」と話した。
1900年から 2075年のキリスト教の動態
今回の講演ではWCDのデータやグラフによって、1900年から 2075年のキリスト教の動態を紹介した・・・
(次のページで、キリスト教の動態、現代におけるキリスト教の普遍と実践の可能性、などについて約2700字)
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