(C)2016 Dear Rivers, LLC

余命宣告を受けて、限られた命を何のためにどのように用いて人生を生きるか。自分と同じ病気の患者のためになる生き方、そして生まれてくる我が子に自分が経験したことを分かち合える生き方をしたい。そう決断し、邁進する姿に与えられている人生だからこそ「白旗は掲げない!」。そのことの素晴らしさが沁みてくる。

【あらすじ】
スティーヴ・グリーソンは、身長が低すぎると言われ続けたが元NFLアメリカン・フットボール、ニューオリンズ・セインツのラインバーカーとしてスター選手だった。2005年のハリケーン“カトリーナ”によりホームのドームスタジアムも大被害を受け1年間地元でのホームゲームは開催できなかった。だが、翌年9月、グリーソンは最初のホームゲーム復帰戦で伝説的なパントブロックを決め、チームに劇的な勝利をもたらした特別なヒーローになった。08年、まだ自分探しの途中のような自由で明るい人柄のミシェル・ヴァリスコと結婚して引退、8年間の選手生活閉じた。

だが選手を引退して3年後、グリーソンは難病ASL(筋萎縮性側索硬化症)を宣告される。運動神経が侵され全身が麻痺し、やがて呼吸もできなくなり診断後の平均余命2~5年。ASLの宣告を受けたグリーソンは「かえって負けん気に火がついた」。同じ病気の患者のために妻と共にALS患者支援基金チーム・グリーソンを設立した。そしてもう一つ。妻ミシェルが妊娠したのを知り、生まれてくる子どもに自分が経験してきたことを分かち合えるようにビデオ・ダイヤリーを撮り続ける。自らASLであることをカミングアウトし、かつてのチームメイトらとともに「白旗は掲げない」とアピールするグリーソンに、家族親族はじめ幅広い協力が集まる…。

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【見どころ・エピソード】
アスリートのたくましい肉体が日々萎えていく姿は、見ていても辛い。録音した自分の声とパソコンの視線入力システムで打ったテキストを合成して会話を続けるグリーソン。常に寄り添う妻の介護との闘い。そうした闘病のリアルな姿だけでなく、グリーソンの心の中にわだかまっていた父親との関係の修復も隠さない。神兪の信仰を勧める父親に、グリーソンはそのことのプレッシャーととも父親とは異なる信じ方だが自らの信仰の確信を訴える姿には向き合うことの大切さに心を揺さぶられる。グリーソンが父親としてわが子に贈るビデオ・ダイヤリーだが、妻と夫、父親と息子それぞれの人生を敬愛することへの励ましの“ギフト”ともいえる。 【遠山清一】

監督クレイ・トゥイール 2016年/アメリカ/111分/ドキュメンタリー/映倫:G/原題:GLEASON/ 配給:トランスフォーマー 2017年8月19日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町&渋谷ほか全国順次ロードショー。
公式サイト http://transformer.co.jp/m/gift/
Facebook https://www.facebook.com/gift.gleason/

*AWARD*
2016年:サウス・バイ・サウスウエスト映画祭観客賞受賞。シアトル国際映画祭最優秀ドキュメンタリー賞受賞。ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞ドキュメンタリー映画トップ5.ノーステキサス映画評論家協会賞最優秀ドキュメンタリー賞受賞。その他多数受賞作品。