[CSD]2009年1月25日号《ヘッドライン》

[CSD]2009年1月25日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
◎逆境に立つブラジル人教会——解雇で信徒ら帰国続出
★年始の祈りが日本を変えた——初週祈祷会に12教派500人が参加

 = 2 面 ニュース=
◎自らもケアされる真の牧会者へ——牧会塾プレスクール注目
★FEBCが特別番組「今日を問う」——自殺やカルト化題材に
★火災で逝った牧師夫人——陰で仕えた生涯を偲ぶ
★「宗教改革者の教会論と牧会」テーマに丸山忠孝氏が講演(2月2日東京・OCCで)
★<落ち穂>聖書と格闘した太宰

 = 3 面 =
★パレスチナ問題:敵非難より悔い改めを——和解運動ムサハラがガザ戦闘でアピール
★パレスチナ問題:狭間で砲火にさらされるガザ少数派キリスト者
★笑わせて難民支援——人権派議員・今野東さんが落語チャリティ寄席
★南アフリカ:コレラ拡大で教会が対応に協力
★<オピニオン>パレスチナ紛争 和解への視点 記・根田祥一

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★「破綻すると手のひら返した」——鬼無 律友さん[下](元コトデンそごう総務経理)
★<信仰の中の日本語>[7]あなたの父と母を敬え 記・尾崎 善光

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVIE:「ヘブンズ・ドア」男と少女が見つけた天国への扉(アスミック・エース配給、2月7日より全国公開)http://h-door.jp/
★BOOK:『グループスタディ マルコによる福音書』大澤秀夫著(日本キリスト教団出版局、1,050円税込)
★REVIEW:『傷ついた心を癒す旅』デビッド・L・トンプソンほか共著(日本聖化協力会、2,730円税込)評・飯塚俊雄

 = 6・7 面 教会教育特集 =
★御言葉は「心のごはん」——1週間の聖句を手作り小冊子に
★聖書同盟:「聖書研究シリーズ」CDで再版
★<書籍>『わたしの主 わたしの神 キリスト教入門』デルミン・ケルスティン著(伝道文書販売センター、1,050円税込)
★<書籍>『心に届けよう! バイブルメッセージ』錦織 寛/宮崎 誉共著(東宣社、1,050円税込)
★教案誌案内
★イベント案内

 = 8 面 全面広告 =
☆東京聖書学院 2009年度学生募集
願書締め切り:3月3日(火) ホームページhttp://www.jhc.or.jp/tbs/
 = 9 面 現場ルポ =
★「派遣に頼ってはいけない」——宣教師ら解雇されたブラジル人を手助け

 = 10 面 教会学校 =
★<教会学校の実情を探る>次世代への宣教こそリバイバルへの下地——韓国のムーブメントに顕現
★<CSもうひと味>『ジュニアの 祈りは聞かれる!』ストーミー・オマーティアン著(CS成長センター、1,050円税込)

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎新連載<痛みの中に生きる人たち>子育て編[1]東京YMCA「地域への発信」——虐待SOSに「子育ては楽しい」
★「ヨナさん」と行く聖書の世界——音楽と一人芝居「からし種シアター」
★ロシア:交通違反者に正教の司祭が「説教」で取締りに協力

 = 12 面 教会 =
★マラナタ待ち望む「主の宮」を——単立・マラナタキリスト教会

◎逆境に立つブラジル人教会−−解雇で信徒ら帰国続出=0901250101

[img align=right]http://jpnews.org/pc/uploads/img4973d09cf0b07.jpg[/img] 世界不況が、日本で働く外国人労働者を直撃した。ヤマハ、スズキ、ホンダなど自動車関連工場が集中する静岡県浜松市では昨年末、ブラジル人労働者の解雇が相次いだ。再就職のあてもなく、将来に不安を覚えながら新年を迎えた家族や、帰国を決心した家族も多い。地元のブラジル人教会も信徒の大半が職を失う、信徒が帰国する、ゆえに教会が経済的に苦しくなるなど、逆境に立たされている。地元のブラジル人教会を訪ね、話を聞いた。   市内にあるミニタリオ・フォンテ・リビータ(ウイリアム・ボルジェス・ケイロイス牧師)ではメンバー約60人のうち15人が解雇された。同教会は今年の計画をすべて中止。家庭訪問や食事の提供など、職を失った信徒をサポートしている。「職を失うとアパートも追い出される。今は住まいと食事が必要。再就職できないとアパート代も払えない」とケイロイス牧師。しかし、「礼拝では『景気は良くなる。必ず奇跡は起こる』とメッセージしている」と語った。  [img align=left]http://jpnews.org/pc/uploads/img4973d0af3494e.jpg[/img] バチスタ教会(リカルド・オオムラ牧師)を訪ねると、ちょうど帰国の途につく信徒と出会った。「解雇された人は11人ほど。うち7人が帰国する」とオオムラ牧師。日系ブラジル人のカネモト・ミチヨさんは、留まることを決意。「夫も解雇された。当分は雇用保険のお金と貯金で生活する」と言う。  同教会は昨年9月、集会場所を公民館から今の会堂に移したばかり。時間制限がなく自由に使えるが、家賃は毎月30万円だ。今後、ここで礼拝を続けられるか、不安が残る。しかし、「この状況を悲観ばかりしていない」とオオムラ牧師。「不景気だからこそ、神様から離れている人たちが群れに戻ってくることを祈っている」と語る。 帰国するジョセ・ルイスさんは言う。「解雇されたのはショックだったが、理解はしている。残る人、橋の下や路上で寝ているブラジル人もいっぱいいるので、そういう人たちのために祈り、助けてくれたらうれしい」 (写真上:解雇された信徒のために祈るミニタリオ・フォンテ・リビータのメンバー。写真下:帰国する日系ブラジル人信徒)

◎自らもケアされる真の牧会者へ−−牧会塾プレスクール注目=0901250201

 「私たち自身は、癒す者でも、和解をもたらす者でも、いのちを与える者でもありません。私たちは自分が世話をする人々と同じく、世話されることを必要とする罪深い、破綻した、傷つきやすい人間です。…真の主の務めは、相互的であらねばなりません。…そうでないなら、牧会の業はすぐに、他者に対して狡猾に権力を行使するようになり、権威主義的で独裁的な色を帯び始めるでしょう」
 ――4月から東京・お茶の水クリスチャン・センターを会場に開講する牧会塾のプレスクールが昨年12月9日、千代田区神田駿河台の同センターチャペルで開かれた。そこで牧会塾開設のいきさつ説明に引用された冒頭のヘンリ・ナーウェンの言葉(『イエスの御名で』より)が、「同じ課題を抱える牧会者同士が出会い、学び合い、慰めと励ましを得て、再び召命の場に出ていくプラットホームになることを目指す」という牧会塾の性格を端的に表した。小渕春夫さん(あめんどう代表)は「権威主義的なリーダーによって傷ついた人々がいて訴訟になっている。牧会塾を通して自らもケアを必要としている真の牧会者となる助けになれば」と願いを述べた。
 プレスクールには主催者の予想をはるかに超える130人以上の牧師や牧師夫人らが詰めかけ、牧会者自身の自己理解や霊的成長、メンタルケアを含めた学びと人格形成の場への関心の高さをうかがわせた。牧師の負担を案じ相互牧会に重荷をもつ信徒の参加もあった。
 プログラムは「静まりのとき」で始められ、教える者・教わる者の関係を超えて「パーソナルでフラットであること」を大切にする牧会塾の理念を体現し、誰をも「先生」と呼ばない約束で進められた。
 専任講師の坂野慧吉さん(浦和福音自由教会牧師)、堀肇さん(日本伝道福音教団鶴瀬めぐみキリスト教会牧師、ルーテル学院大学臨床心理学講師)、太田和功一さん(クリスチャン・ライフ成長研究会主事)と特別講師の生島陸伸さん綾子さん夫妻(カンバーランド長老教会牧師)が、それぞれの授業内容を紹介。「心の時代とこれからの牧会―苦悩する牧会者と共に―」を主題にパネルディスカッションをし、各自の苦悩の体験などを分かち合った。
 坂野クラスは「わたしの羊を養いなさい~牧会学的に学ぶ牧会者の姿」がテーマで、聖書を基盤としW・Eオーツ著『現代牧師論』を参考に前期は牧会学の基本、後期は牧会の実践における課題を学ぶ。堀クラスは前期が臨床牧会学で、「心の悩み」のケアについて魂の配慮の視点から、後期は発達心理学と信仰で、幼児期から老年期に至るライフサイクルにおける心理学的・霊的課題について、太田和クラスは前・後期を通して牧会者・伝道者とその配偶者の霊性(スピリチュアリティ)がテーマで、自分を丁寧に見てケアすることを体験する。夫婦での参加を奨励している。生島夫妻クラスは後期で、長年の牧会経験から教職者における夫婦や家族の問題を分かち合う。
 牧会者・伝道師・宣教師およびその配偶者対象のクラスと、信徒も参加できるクラスがある。募集は各クラス20人。奨学金制度あり。申し込み期限は3月31日。
 詳細は事務局L090・1701・3088(森直樹ディレクター)まで。URL http://www.pastors.jp 、Email: info@pastors.jp。

◎新連載<痛みの中に生きる人たち>子育て編[1]東京YMCA「地域への発信」−−虐待SOSに「子育て

 2005年12月30日、4歳の女児が死亡した。「冷蔵庫のものを勝手に食べた」ことに腹を立てた父親が両足をつかんで振り回し、タンスに頭をぶつけたことが死因だった。女児の体には多くの古い傷跡があった。
 06年2月7日、「目つきが気に入らない」と3歳の男児を両親が金属のモップの柄で交互に殴ったうえ、水風呂に正座させた。2時間放置し、男児は死亡した。
 06年7月5日、2歳の女児が死亡。母親は、「食事が遅い」と女児を空気銃で撃つ、熱湯をかけるなどの暴行を日常的に加えていたという…。
■  ■
 児童相談所に寄せられる児童虐待に関する相談は、96年から06年の10年間でおよそ9倍。幼児や児童虐待に関するニュースを見ない日はないというほど増え、社会問題となっている。
 財団法人東京YMCA(以下YMCA)では「今、このような社会状況の中で何を発信できるか」と会員部の中で話し合い、連続シンポジウムを開催することを決めた。広報室主任の小泉真由美さんは「教育、平和、国際などいくつか候補がありましたが、子育てに関するSOSを感じていて、教育シンポジウムを07年の5月に開催しました」と語る。
 YMCAの働きの一つに保育園や幼稚園がある。そこで聞かれる母親の悩みなどがここ数年とくに深刻になってきていることを感じていたという。「お母さんと子どもの関係だけでなく、お母さん同士の関係も『難しい』と悩んでいる方が多くいます」。その背景に、核家族化やマンション暮らしで近所付き合いが減っているのでは、と小泉さんは分析する。
■  ■
 08年11月末の第3回のシンポジウムは「我が子の評価基準?!~あなたは子育てを楽しんでいますか~」と題して行われた。地元の公立小学校の校長が講師に立ったものの、メインは参加者。事前に配られた「子育ては楽しいですか」、「どのような人間に育てたいですか」、「子どもの評価基準は何ですか」などの項目に沿って、グループで話し合った。
 A子さんは子どもが1人で共働きだ。「平日は忙しく、子どもとゆっくり過ごす時間もなく、これから先のことを考えると不安」と参加した。夫も誘ったが来なかった。「平日も子どもの将来を話す時間が取れないのに、休みの日も夫は自分のことばかり。それがとても不満」という。もう一つ、同年齢の子をもつ母親とのコミュニケーションも少なく、ちょっとした悩みを聞く人がいないことに不安を覚えている。「シンポジウムを通して自分の不満が思ったよりたまっていたことに気づいた。少しでも吐き出せてよかった」という。
 C子さんは小学3年の子をもつ。多動性障害を抱えており、悩むこともあるという。しかし「こういったシンポジウムに参加して、自分が少し客観的に考えられると楽になるから」と参加。子育てについては、「成長のかたちが違っていてもその日その日、お互いに楽しく過ごせるように心がけている」と語った。
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 ディスカッションには、学生中心のボランティアユースボランティアリーダーも参加。どんな展開になるか不安もあったが、参加者からは「子育ては、大人の意見ばかり参考にしがちだけれど、若者の意見から刺激を受けた」などの声が多くあったという。
 「義務に感じず子育ては楽しいと、自信をもってほしいという願いをもって取り組んでいる」同シンポジウム。参加者からは「元気をもらった」「また機会をつくって」「ここで話せて気持ちが軽くなり、また笑顔で子どもと向き合えそう」などの声も届いている。回を追うごとに内容も託児面のサービスも充実させている。「必要とされているテーマでもあり、継続させたい」と小泉さんは語る。