[CSD]2007年9月2日号ヘッドライン

[CSD]2007年9月2日《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
★国内外への宣教ビジョン共有——同盟基督・世界宣教大会閉幕
★求められる発想の転換——第8回地方伝道を考えるシンポジウム

 = 2 面 ニュース =
◎東京キリスト教大学に来春「福祉コース」開設——多様な分野での奉仕者育成めざす
★「自主憲法」論の背景を議論——東京キリスト者「9条の会」8・13集会
★日の丸君が代強制に抗議——全国キリスト教学校人権教育研究協議会が声明
★<落ち穂>もてなしの優先順位

 = 3 面 教界ニュース =
★<戦争を知らないあなたへ>[2]沖縄戦を生き抜いて——山里宗健さん
★アフガニスタンでドイツ人救援事務所長を誘拐——翌日解放を確認
★サウジアラビア:旅行者から聖書など押収も
★エジプト:キリスト教ウェブ関係者を拘束
★<オピニオン>ブログ活用で問題意識の交流と共有 記・藤掛 明

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★神にゆだね経営が好転——坂本 旭さん[下](ミクニキカイ[株]代表取締役会長)
★<更正の手がかり>[6]お酒が飲めなくなりました 記・梅津 善一(公認会計士)

 = 5 面 牧会/神学/社会=
◎「自立と連帯」の課題探る——第8回地方伝道を考えるシンポジウム[上]
★教会は変われるか——エリヤ会が9月17日にシンポジウム開催
★<精神障害と教会>[10]「言葉の研究」で解消 記・向谷地 生良

 = 6・7 面 全面広告=
☆国際キリスト教福祉学科・キリスト教福祉学専攻 開設予定説明会
11月3日・2008年1月26日 東京キリスト教学園
ホームページ http://www.tci.ac.jp/
 = 8 面 教界ニュース=
★50年解放を待つ信徒がいる——北朝鮮地下教会の信徒の状況をリポート
★「死は無駄に終わらない」——アフガン韓国人拉致事件

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「しあわせを運べるように」森 祐理(モリユリ音楽事務所、1,575円税込)
★BOOK:『喪失が希望に終わるとき』聖書と精神医療研究会編(いのちのことば社、1,260円税込)
★CD:「REAL」サムエル(ライフ企画、1,680円税込)
★REVIEW:『ユタ州とブリガム・ヤング アメリカ西部開拓史における暴力・性・宗教』高橋 弘著(新教出版社、2,415円税込) 評・ウィリアム・ウッド

 = 10 面 関西だより =
★ソウルで日本人伝道開始——在韓日本人宣教師・ダニエル朴氏
★教会協力で祭典大盛況——滋賀「ジーザス・フェスティバル2007」
★4年ぶりの来日コンサート——レーナ・マリアさん10月12日から

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎教会とおして良いものを子どもに——お母さんと子どもの「絵本と音楽の会」
★アジアを視野に「日韓共存」——イタリア・ミラノで「ヨーロッパ・キリスト者の集い」
★結成20周年を記念して——ユーオーディア音楽祭Tokyo2007

 = 12 面 ひと=
★あなたは一人じゃないんだ——サムエルさん(シンガーソングライター)

◎東京基督教大学に来春「福祉コース」開設予定−−多様な分野での奉仕者育成めざす=0709020201

  福音主義に立ち、「正統的な神学に基礎づけられた教職者および奉仕者を育成する」ことを建学の精神として掲げる学校法人東京キリスト教学園・東京基督教大学が8月11日、新たに開設予定の「福祉学専攻 開設予定説明会」を行った。これまでの学生定員160人を変えない形で、神学部の中に福祉学専攻を設置する予定。文部科学省への届出はすでに受理されており、現在、厚生労働省に申請中だ。   近年、将来構想の課題の1つとして「福祉方面の人材養成プログラム」の具体化に向けた計画を進めてきた同大学は、一昨年10月に教会向けアンケート調査を行った。その中で、「当学園に福祉コースを設置することに意義があるか」という質問に対して「そう思う」80%、「そう思わない」12%、「分からない」8%と、設置することに前向きな回答が得られた。また、「設置したら入学を推薦するか」という質問に対して、「すると思う」72%、「しないと思う」8%、「分からない」20%との回答があった(いずれもアンケート500枚発送中回答率33%)。
 同大学福祉専攻開設準備室長の稲垣久和教授は「アンケートに加え、これまでの卒業生の中でも福祉の道を選んだ者が多数いるという実績や、キリスト教精神で施設運営をしているキングス・ガーデンなどの施設からの期待を考慮し、昨年4月に教員・職員の中から福祉コース開設準備室を構成。いくつかのチームに分かれて準備を進めてきました」と語る。
 在学中の4年間をかけて「じっくり人格教育」を行い、同時に介護福祉士の資格が取れるコースとなっている。これまでの「国際キリスト教学科」20人の定員を2つに分け、10人を福祉専攻コースとする予定だ。
  同大学は、開校以来ローザンヌ誓約(74年、スイス・ローザンヌでの世界伝道会議で発表された誓約)に基づいて「み言葉を直接に宣べ伝える人材を養成(伝道)」すると同時に、「国内外の奉仕を多様な分野で行う人材を養成(社会的責任)」することを二本柱に据えている。「私たちは、福音的なベースの上にできた学園として、み言葉の受肉としての福祉とはどのようなものかを考え、この二本柱を大切にしていきたい。公共の場にキリスト者が出ていくことを考えた時、福祉の分野は大きな役割を果たせるのではと期待しています。スピリチュアル・ブームなど、異教的幸せ追求のニーズが高まる中にあって、イエス・キリストの教える隣人愛を目に見える形で実践していくことが、日本宣教全体の拡大にもつながるはず」と稲垣教授は語る。
 毎年行っている秋学期・お茶の水エクステンションも今回は、キリスト教福祉の意義と実践について学ぶ「なぜ今、キリスト教福祉か?─キリスト教福祉学序説─」をテーマとした。9月15日から10月13日までの各土曜日、東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで開講する。
 単位取得希望者は、レポート課題提出の上、L1(大学学部レベル)、またはL2(神学校レベル)2単位の取得が可能だ。受講料は全10講義2万3千円(1講義2千300円)、申し込み締め切りは9月11日。
 東京キリスト教学園・東京基督教大学=〒270-1347千葉県印西市内野3ノ301ノ5。TEL:0476・31・5520、FAX:0476・46・1405。

◎「自立と連帯」の課題探る−−第8回地方伝道を考えるシンポジウム[上]=0709020501

 前回に続いて「自立と連帯」をテーマにした第8回「地方伝道を考える」シンポジウム。都市教会と地方教会の格差を問題意識とし、疲弊する地方教会をどう支えるかが論議されてきた。今回はそれに加えて、地方教会の在り方そのものをも見直す機会となった(1面参照)。筆者も「教会過疎問題をどうするのか」の題で発題の一端を担い、取材者としてだけでなく参加者として論議に加わったので、他の発題や主題講演から得たこと、感じたことを受け止める形で報告する。【本紙編集顧問・根田祥一】  本紙発行『クリスチャン情報ブック』の調査データによると、00年から06年に教会数は増えているがその増加は大都市圏に集中しており、東北などの過疎地では減少している。教会分布の粗密を表す指標である「1教会当たり人口」で見ると、全国平均1万5千869人を大きく上回る2万5千人以上の教会過疎市町が東北全体で19、教会がない市は4、さらに行政区分を超えて面で見ると、人口3万人~8万人に教会がない空白地帯が散在する。これは、通える範囲に教会がないために福音を聞く機会から閉ざされている人々が多いことを示している。
 だが、そのような地域に教会を設立することは容易ではない。それを打ち破る可能性として筆者は、伝道団体が教派を超えた地域諸教会と協力して空白地帯に教会開拓を試みている長崎県の例、無牧や困窮教会などに伝道団体が協力して必要な人材を派遣する新たな試み、フィリピンで国内の約5万の全集落に教会を設置するビジョンを、広く諸教派の協力により25年で達成した例(今年6月に日本福音同盟総会で福田崇・国際ウィクリフ聖書翻訳協会アジア大洋州地区総主事が報告)などを挙げ、諸教会および伝道団体がそれぞれの機能を生かし協力するネットワーキングとパートナーシップがカギではないかと提言した。そして、そのためには1教会1牧師という発想の殻を破り、牧師と信徒の役割イメージの変革と再構築、牧師に頼らない自立した信徒の育成と動機づけが必要だと指摘した。
 その点、全体講演で「自立と連帯」について、シンポジウム発題で「1牧師複数教会は日本で機能するのか」について語った若井啓治氏(盛岡西聖書教会牧師、岩手郡滝沢村)の報告は、まさにその実践だと感じられた。
 山形県の新庄教会で14年間、岩手県の盛岡教会で27年間、伝道・牧会してきた若井氏は、それぞれで数か所の開拓的地区集会を立ち上げてきた。その中のあるものは複数牧師の協力を得て牧師が着任したが、あるものは閉鎖する結果となった。
 その間、盛岡教会と並行して、宣教師の異動や牧師の辞任で残された3教会の顧問を担わざるを得ない事情に直面したという。顧問教会では月1回、説教や礼典の執行、役員会がある。盛岡教会では牧師不在の時、役員が説教奉仕を担当した。
 その経験を若井氏は前向きに受け止め、こう語る。「牧師に頼りきりになるより、無牧の不便を体験したほうが信徒も自立する。牧師の権威に依存しがちだが、牧師は様々な状況に対応して、イエス様ならどうするかを示すのが役割なのです」      (つづく)

◎教会とおして良いものを子どもに−−お母さんと子どもの「絵本と音楽の会」=0709021101

 子育ての先輩にアドバイスをもらったり、母親同士の交流の場にもなると、「育児サークル」や「ナーサリー」が、若い母親を中心に人気を集めている。JBBF・幕張聖書バプテスト教会(上山要牧師、千葉市花見川区)を会場に、月に1度開かれている「絵本と音楽の会(ののはな)」も、そんな母親と子どもたちのための集まりだ。  「絵本と音楽の会」のスタートは2年前。当時、上山牧師の妻泰子さんと娘の結ちゃんは、地域の公民館が主催する、母親と子どもの集まりに参加していた。0歳児のクラス、1歳児のクラスと2年間通ったが、2歳児のクラスは教会の集会と曜日が同じで通えず、「それなら教会でお母さんたちのための会を開こう」ということに。公民館からも了承を得、早速アピールを始めた。月に1度と無理なく通えるため、教会と公民館、両方に参加する母親が増え、参加者は親子50組以上にまでふくらんだ。
 現在は結ちゃんが幼稚園に通うようになり、土曜日に開催日を変えた。参加者は減ったが、それでも親子30人ほどが訪れる。「親たちは、良いものを子どもに与えたいという熱心さをもっています。しかし、土曜日にはお父さんが家にいる家庭が多いので、来られる方はどうしても減ってしまいます」と上山牧師。しかし「土曜日に開くことで、次の日の日曜礼拝や教会学校に足を運びやすくなるのでは」とも。「『絵本と音楽の会』は、教会ではなく個人の働きということでやっています。会を通して教会につながる人が増えることで、教会の重荷としても広がっていけば」と期待する。
 「絵本と音楽の会」は、「音楽の部」と「絵本の読み聞かせの部」で一つ。「音楽の部」は、同教会に集う福音歌手の上山三津子さんが、「絵本の読み聞かせの部」は、JBBF・船橋聖書バプテスト教会員の杉山幸子さんが担当。杉山さんは、上山牧師が以前園長を務めていた幼稚園で、教師として46年もの読み聞かせ経験をもつベテラン。幼い頃から子どもを良い音楽や本に触れさせることで、感受性や想像力を養うことができるという。
 8月4日に開かれた「絵本と音楽の会」に参加した親子は6組ほど。夏休みということもあり人数は少な目だが、子どもたちは元気いっぱいだ。当日は不在の三津子さんに代わり、この4月から新たにプログラムに加わった同教会の宣教師夫人スミス・エイミーさんによる「英語で遊ぼうの部」。大きめのTシャツと帽子を順番に脱ぎ着し競争する「着替えゲーム」には、大人も子どもも盛り上がった。
 その後の休憩では、泰子さんが子育ての話を中心に信仰について少し触れる。この日の話題は、「この時期(8月)に、ぜひ平和について考える時をもってほしい」というもの。結ちゃんは、2歳の時に見た広島の原爆に関するドラマが印象に残り、「戦争はいけない」という思いがずっとあるという。「どうして戦争がいけないのかなどを幼い頃に体験すると、それがずっと心に残るようです。『怖いものは見せない』ではなく、怖いことがあるということを知っておくことも大切では」と語った。
 「絵本の読み聞かせの部」では、3冊の絵本の後、杉山さんが絵本を使わずに語り聞かせる「すばなし」を一つ。「この会を通して、子どもたちは絵本がなくても耳を傾けられるようになりました。人の話を聞く力が養われているんだと思います」と杉山さんは語る。
    ◇
 「絵本と音楽の会」では今春、上山牧師の父・雄治氏(元JBBF・東京聖書バプテスト教会牧師)の召天10周年を兼ね、「絵本と音楽の会」親子コンサートを開催した。当日は親子連れを含め200人ほどが訪れ、ゲストの福音歌手森祐理さんの歌に耳を傾けた。雄治氏は、教会に付属幼稚園があったこともあり、幼児教育に重荷をもっていたという。その幼稚園の園長だった上山牧師が経験をいかして始めた「絵本と音楽の会」。母親が安心でき、子どもたちは楽しんで学べる、そんな場所として用いられている。