[CSD]2007年11月11日号《ヘッドライン》

[CSD]2007年11月11日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
★「和解と共生」願い記念劇——在日本韓国YMCA創立100周年
◎11月11、18日を迫害下の教会のための国際祈祷日に——WEAとJEAが共催

 = 2 面 ニュース=
★海外に広がる祈りの輪——横田早紀江さん囲む拡大祈祷会
★「信仰者の人間関係」ギャップに注目——聖学院大学シンポ超満員
★<教界ニュース>日本YWCA——沖縄戦「歴史歪曲」に抗議
★<落ち穂>聖書学者H・クレーマーの問題提起

 = 3 面 =
★<戦争を知らないあなたへ>[11]礼拝はいつも憲兵が監視——奥山 春江さん
★星野さんの詩に岩渕まことさんが作曲——富弘美術館でお披露目コンサート
★<オピニオン>「ひたむき」な心で直接向き合う 記・永井 敏夫

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★マイナス要素も原動力に——森宗 秀敏さん[下](広告代理店マネージャー)
★<更正の手がかり>[9]安易な安売りは先細りの道 記・梅津 善一(公認会計士)

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVIE:「君の涙 ドナウに流れ」——自由を求めた水球選手と女子学生
★CD:「ぺんぺん草のうた」岩渕まこと(ライフミュージック、2,940円)
★REVIEW:『STAND』大薮順子著(フォレストブックス、1,575円)評・奥山みどり

 = 6・7 面 全面広告 =
☆ムラサキスポーツ上野本店・旗艦店オープン 創業35周年
ホームページ http://www.murasaki.co.jp/
 = 8・9 面 高齢者特集 =
★定年後の人生設計「ライフデザイン」を提唱——星野隆三さん
★定年退職者には夢がない?——老いてなお使命抱き「カレブも会」
★CD「在宅礼拝道しるべ」高齢者も活用——地域の課題に向き合うバプ連盟・多摩ニュータウンバプテスト教会
★仕事に雑用はない、生き方が表れる——(社福)新生会・広岡信明

 = 10 面 教会学校 =
◎いのち軽視の日本社会——母と子を守る会講演会
★必要事項がこれ1冊で——2008年度版「CS祈りの手帳」
★<CS分級アイデア>ゲーム「ボンバーマン」——みどり野キリスト教会JFキッズ

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎性暴力被害者らが「立ち上がる時」——フォトジャーナリスト大薮順子写真展開催(11月12—18日)
★<私の子育て失敗談>[37]待つということ 記・斎藤 望

 = 12 面 教会 =
★日本人伝道に「隣人」が協力——カナダで日韓教会合同ゴスペルコンサート

◎11月11、18日を迫害下の教会のための国際祈祷日に−−WEAとJEAが共催=0711110102

 11月11、18日のいずれかの主日を「迫害下にある教会のための国際祈祷日2007」として、世界各地で迫害下にある教会のために祈ろうと世界福音同盟(WEA)信教の自由委員会と日本福音同盟(JEA)が呼びかけている。
 WEAでは毎年11月第2、第3主日を「迫害下にある教会のための国際祈祷日」とし、世界各地で迫害下にある教会の状況をパンフレットにまとめ、情報と祈祷課題を提供している。
 今年のパンフレットには迫害下にある31の国と地域の情報が掲載されている。その中で「厳しい迫害」とされるのが北朝鮮。北朝鮮では教会は主として労働キャンプにあるほか、地下教会、家の教会が存在する。祈祷課題はもっとも残虐な迫害を受けている信徒たちの命が守られ、聖霊の助けにより信仰と希望が強められるように。
 「状況の深刻な悪化」とされているのがインド、イラン、イラク、パレスチナ自治地区。インドでは好戦的なヒンズー教国家主義者たちの暴動や反キリスト教宣伝活動から守られるように、イランではクリスチャンたちの安全と彼らに彼ら自身を守る知恵が与えられるように、イラクでは不安定な情勢の中で生きる教会、牧師、伝道者、信徒たちがイスラム教徒からの攻撃や不法な暴力から守られるように、パレスチナではアラブ系キリスト者(教会・ビジネス・家・生活・家族)をアラブ国家主義者たちの攻撃から神が守ってくださるように、などの祈祷課題が出されている。
 また、今年になって状況が悪化した国と地域は、アフガニスタン、ベラルーシ、エジプト・アラブ共和国、マレーシア、ベトナム。
 問い合わせ/日本福音同盟Tel03・3295・1765、Fax03・3295・1933。

◎いのち軽視の日本社会−−母と子を守る会講演会=0711111001

 東京・千代田区の日基教団・富士見町教会で10月26日、「母と子を守る会」(倉橋康夫委員長)の秋季講演会が開催された。講師は、林義子氏(「いのちの電話」元ディレクター、カトリック援助修道会日本管区管区長)。「日本社会と子ども達を取り巻く環境~わたしたちに何ができるか~」と題して語った。

 林氏は、ボランティアによる電話相談「いのちの電話」に、1971年の創設以来91年までかかわり、退職後に渡仏。02年までパリで暮らした。「現在の日本は経済的に豊かになりましたが、時代の変化の中で私たちが気づかなかった、無視してきたことがたくさんあります」と林氏。「いのちの電話」での経験や、海外から日本がどのように見えるかなどを交え、「日本が今、どういうことを大切にしていかなければならないか」について語った。
 まず「いのちの電話」創設の経緯について、「70年代は日本がすごく元気だった時代。しかしその陰で、病気の人、高齢者など、忘れ去られていく存在がありました。弱さのうちにある人々の声を聞かなければ、キリスト者が何かできないか、との思いでいのちの電話は始まりました」と語る。中でも林氏は、特に子どもに関心をもって見ていた。当時、孤独がとても大きな問題で、「カギっ子」と呼ばれる、家に帰っても両親が共働きなどでいない子どもたちが「寂しい」と電話をかけてきた。「それらは、日本社会がつくり出した子どもの環境」と振り返るが、現在についても「生活環境は豊かになりましたが、子どもたちは幸せになるどころか状況は悪化しています」と指摘する。
 02年に帰国すると、「(渡仏時の)91年に懸念していた子どもを取り巻く環境が、もっとひどくなっていた」という。「いのちの電話は、孤独な人とかかわるために始まりましたが、今は孤独どころか、いのちそのものにかかわる問題があちこちで起こっています。社会全体がいのちについて真剣に考えていない」と林氏。その一因として「生活のゆとりのなさ」を挙げ、ゆとりを取り戻すためには、「自分の生き方を考えられるような場を設けていくことが大切」と語る。
 「子育てに関しても、日本は教育には力を入れますが、子どもを甘やかしてきた部分があります。フランスでは、社会全体で子どもに対してやってはいけないことを教えていました。親として、大人としてけじめをつけていかなければ」。また、「今、そのつけが回ってきているのでは」とも。
 「親が子どもに残せる財産は価値観。親が何を大切にして生きてきたか、子どもに伝えるのです。ルカ12・54の通り、社会のしるしを私たちがどう見分け、何を大切にしないといけないのかを。特にいのちを大切にすることを、いのちを与えられた者として、今キリスト者が伝えていかなければなりません。日本社会で子どもたちを守るためにも、信仰に立って生きることを神が望んでおられるのでは」と語った。

◎性暴力被害者らが「立ち上がる時」−−フォトジャーナリスト大薮順子写真展開催(11月12−18日)=

 アメリカで性暴力被害者の写真プロジェクトを展開するフォトジャーナリスト大薮順子さんの「大薮順子講演会&写真展 性暴力サバイバーの素顔」(主催=大阪YWCA、日本DE大薮順子写真展運営委員会)が、10月30日大阪市中央区のドーンセンターで開かれた。大薮さん自身もレイプの被害者。今秋、その体験から現在の活動に至るまでの心の軌跡を克明に綴った手記『STAND 立ち上がる選択』(いのちのことば社フォレストブックス発行=千575円税込み)を出版した。今回展示された写真の一部は、著書にも掲載されている。同じ痛みを知る大薮さんのカメラから、性暴力で傷つきながらも勇気をもって生きている被害者(サバイバー)たちが静かに語りかけてくる。撮る人も撮られる人も「あの経験があるから、今の自分がいる」と胸を張っている。

 ある女性のサバイバーのポートレートは胸をつかれる。孤児院から里親の元を転々とした女性だ。里親から性暴力を受け続けて妊娠し、その事実の隠蔽のために息子と結婚させられた。写真は、それぞれの体験にもっともふさわしいものを選んで展示している。顔だけでなく、自傷行為で傷ついた手を写したもの、雪原を黙々と歩く後ろ姿の遠景など。その女性の場合は、インド系の端正な顔のアップだ。大きな目がカメラを見つめる。一度も心から愛されたことのない、地獄を体験した人の赤むけになった魂が見えてくる。
 アメリカとカナダのサバイバーたちを撮り続けて、証言を聞いた。展示会と講演会を全米各地で行い、テレビのドキュメンタリー番組にも出演して、性暴力防止を訴えた。アメリカ国会議事堂での性犯罪防止会議のパネリストにもなった。現在、フリーのフォトジャーナリストとして活動しながら、全米性暴力調査センターの名誉理事と幼児虐待防止対策機関の役員を務める。家庭では2歳の長女の子育て真っ最中だ。
 「サバイバーを助ける仕事は、人それぞれいろんな形があります。カウンセラーとして働くことも、子どもを被害者に、また加害者にしないように育てることも、被害にあった友人として寄り添うことも。私の場合はオープンに現状を伝えることで、苦しみにあっているのは自分一人ではないと思ってもらえたら。いろんな人の体験を通して、立ち上がるきっかけをつかんでもらえたらと願っています」
 最悪の体験をここまで昇華させるのは容易ではなかった。8年前、自宅で就寝中に侵入者によってレイプされた。牧師家庭で育った、元気印の女の子。アメリカの新聞社の報道カメラマンとしてキャリアを積んでいた矢先だった。
 「神様がいるなら、なんでこんな目にあうの」。世界が崩壊した。自尊心も安心感も失い、恐怖にとらわれ、檻に入れられたようになった。犯人が捕まり、20年の刑期が決まった後も、大薮さんの受けた傷は痛み続けた。悪夢やフラッシュバックに苦しみ、うつ状態に陥った。教会に助けを求めても、大薮さんの苦しみを受け止めてくれる教会はなかった。
 「私は今すぐ助けてほしかったんです。何のジャッジメントもいらない。私は悪いことをしたわけではないのだから、恥ずかしがる必要もない。ただ聞いてほしかったんです」
 苦しむ人に本気で向き合う教会はないか。探し続けて導かれたのが、グレイス・アポストリック教会だった。教会のバーロー牧師との出会いが、大薮さんのスタンドアップを後押ししてくれる。犯人に手紙を書くことを勧めたのも牧師だった。これは大薮さんの「立ち上がる」きっかけになる。
 「あなたの行為によってどん底に落とされた私も、新しく歩み始める道があることが今やっとわかってきたのです。あなたにもいつかそんな日がくる事を願っています」こう書いて投函した直後、不思議なようにうつから解放されたという。 「レイプで人生は終わらない。被害は自分で選んだものではないけれど、その後の人生は自分の選択次第。哀れになるかパワフルになるか、憎しみを増すか、より良くなるか、それはあなたの選択によると、牧師は教えてくれました。自分のせいで起こったことではないのに哀れな人生は送りたくない。落ち込んで憎んでいるより幸せになりたいと、私は痛烈に思いました」
 写真プロジェクトを立ち上げて出会ったさまざまなサバイバーたちから人生を学んだ。自分も痛みを知っているから、人の苦しみが手に取るように理解できた。
 「深い意味で痛みを知る、それが私の中で宝になっています」
 今後、幼児売春や人身売買などアジアが抱える問題にも取り組んでいきたいという。被害者支援団体の横の連携の重要性も訴える。特に日本ではこれが必要だと感じている。伝道という視点からは「有効的な伝道は、生き方を通して神がいることを示していくこと」だと、考えている。
◆11月12~18日、とよなか男女共同参画推進センターすてっぷ(Tel:06・6331・5940)、11月15日、東京女子大学(Tel:03・5382・6291)で写真展を開催の予定。