[CSD]2008年6月15日号《ヘッドライン》

[CSD]2008年6月15日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
◎夫を私の信仰で偲ばせて——自衛官合祀拒否訴訟最高裁判決から20年
★JEA創立40周年総会——聖書翻訳準備委が最終報告

 = 2 面 ニュース=
◎JEA:第5回日本伝道会議——事前のプロジェクト開始
★新聖書団体へ組織整う——一般社団法人設立へ
◎四川、ミャンマー被災地支援:物資、医療など多岐に急がれる支援
★08年度やより賞の公募開始——
★<落ち穂>注目される中国「愛徳基金会」の救援活動

 = 3 面 =
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[13]金銭・経済問題に閉塞感顕著——牧師・信徒間に経済的「みえないしがらみ」
★<教会の実情を知る:集計データから>[17]閉塞感打破に「教会協力」必要か——「閉塞感ある」の8割が「必要」
★<オピニオン>危機の時代を希望の時代にするために 記・岡山英雄

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★交換留学生でモスクワ大学へ——重松 和英さん[中]([株]近鉄エクスプレス)
★<つながりのデザイン>[3]自分にできることを——ハチドリ・クリキンディの伝説 記・小川 巧記

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVIE:「へレンケラーを知っていますか」6月29日横浜市健康総合センター(シネマ・フレンズ主催、当日券:1,500円、要申し込みMail:syutoken@ffiij4u.or.jp)
★REVIEW:『祭壇の火は燃え続けさせよ』遠藤嘉信著(いのちのことば社、1,470円税込)評・石黒則年

 = 6・7 面 キリスト教主義学校特集 =
★キリスト教精神宿る新校舎——女子聖学院中学校・高等学校
★福祉事業者のケアを——聖学院大学人間福祉学科
★教会とのつながりを大切に——梅花中学・高等学校

★世界基準の教育を——国際基督教大学
★まず当事者の「声」聴いて——夏に全国キリスト教学校人権教育セミナー

 = 8 面 特集/ブライダル =
★神学校の礼拝堂でウェディング——日本聖書神学校
★変わらぬ「結婚の意義」伝えたい——ベルブライダル[株]

 = 9 面 全面広告 =
☆第58回日本ホーリネス教団夏季聖会 7月21日(月)—23日(水)
問い合わせ先 Tel.03-3593-0321

 = 10 面 教会学校 =
★日本の教会学校はいま——1割強が教会学校休止
★<CS分級アイデア>「オニ」が突然出現 大興奮——くじオニ みどり野キリスト教会「JFキッズ」

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★若い世代に語り継ぐ平和の願い——中谷康子さん「合祀いやです」の心を語る
★礼拝にも押し寄せるファン——ビヨンセ、教会通いを断念
★<弱い私の自慢ばなし>[5]痛みの経験から生まれたこと? 記・斎藤 望

 = 12 面 教会 =
★障がい者と環境に配慮した新会堂——埼玉県:片柳福音自由教会

◎夫を私の信仰で偲ばせて−−自衛官合祀拒否訴訟最高裁判決から20年=0806150101

 公務中の交通事故で殉職した自衛官の夫が、クリスチャンの妻の意向を無視して勝手に山口県護国神社に合祀された。妻中谷康子さんが国を相手取って自衛隊山口地方連絡部と県隊友会が共同して行った合祀手続きの取り消しなどを求めた自衛官合祀拒否訴訟(中谷訴訟)は一審二審が、親しい者の死について他人から干渉を受けない静謐の中で宗教上の感情と思考を巡らせる「宗教上の人格権」を認定し注目を集めた。だが最高裁は一転、88年6月1日、中谷さんに不快感を「受忍すべき寛容さ」を求め、原判決を破棄し取り消した。
 それから20年目の6月1日と翌2日、支援者や全国の靖国訴訟関係者が山口市に集まり、第20回自衛官合祀拒否訴訟最高裁不当判決抗議集会・第21回政教分離訴訟全国集会を開いた。同裁判代理人の一人で政教分離の会常任幹事の小池健治弁護士(日基教団・百人町坂教会員)が「中谷訴訟とその今日的意義」を基調講演。中谷さんは3千289筆の賛同署名を添え「夫の合祀は遺族であるわたしの信仰に沿うものではありません」と護国神社に合祀取り下げを要望した。
 夫・孝文さんの事故死から4年後の72年春、自衛隊山口地連は中谷さんに殉職証明書の提出を要求し位記・勲等を尋ねた。夫の合祀申請のためと知った中谷さんは即座に、自分はクリスチャンで夫の遺骨は教会の納骨堂に収め召天者記念礼拝で偲んでいることを告げ、「合祀はいやです」と拒否した。だが3か月後に合祀通知が届く。中谷さんは抗議したが、地連は「自衛官は自分のために死んだのではなく国のために死んだのであり、現職自衛官に誇りをもたせるために遺族の宗教に関係なく合祀した」と回答。そうした経緯で翌年提訴。中谷さんが属する日本基督教団は中国教区を挙げて裁判を支援した。
 基調講演で小池弁護士は、69年以降靖国神社国営化法案が毎年国会に上程され、中谷さんも教会で靖国問題を学んでいた当時の時代背景と、その後の裁判を説明した。最高裁判決以後「宗教的人格権」を認めた判決はないが、愛媛玉串料訴訟、岩手靖国訴訟、小泉首相靖国参拝違憲訴訟など多くの政教分離裁判で違憲判決が出た。そして現在、仏教やキリスト教の台湾原住民遺族、韓国人遺族、沖縄県の遺族らが靖国神社や国に合祀取り消しや霊璽簿抹消を求め、06年以降3件の裁判を起こしている。小池弁護士は、中谷さんの宗教上の人格権に基づく叫びがそれら新靖国訴訟に引き継がれていると指摘。「自衛隊の軍事力が増強し、自衛隊イラク派遣違憲判決に空幕長が『そんなの関係ねえ』と発言、イージス艦事故でも自衛隊はわがもの顔の一方、自衛官の自殺が多発している。士気の鼓舞と死に誇りをもたせる必要が高まっている今、『合祀いやです』という叫びの意義は大きい」と述べた。

◎JEA:第5回日本伝道会議−−事前のプロジェクト開始=0806150201

 6月2~4日に開かれた第23回日本福音同盟(JEA)総会では、第5回日本伝道会議(JCE5)や新しい聖書翻訳事業など関連の動きが報告された。
 JCE5は09年9月21日から24日、札幌市コンベンションセンターを主会場に開かれる。2日間の祝日を含み信徒の参加も促す日程で、2千500人規模が参加可能。「危機の時代における宣教協力」をテーマに、山口陽一氏(東京キリスト神学校校長)が宣教150周年にちなんで、竿代照夫氏(イムマヌエル綜合伝道団理事長)が宣教協力の理念と実践について主題講演。聖書講解にインド・フリーメソジスト教会監督のナレンドラ・ジョン氏を迎える。
 企画推進プログラム委員長の竿代氏は、中2日午前中の「プロジェクト」が目玉と説明。JEA各専門委員会がかかわり、(1)宣言文起草(2)プロテスタント宣教150年(3)日本宣教(4)地方伝道(5)地域的宣教協力(6)教会・教団間協力(7)信徒伝道(8)世界宣教ディアスポラ(9)環境(10)社会/平和(11)共生(12)こども(13)家族/女性(14)青年の14テーマのプロジェクトが今春から開始されている。各プロジェクトリーダーがそれぞれの構想を報告した。
 開催地委員長の八尋勝氏(北海道聖書学院長)は、北海道伝道会議などを重ねてきた北海道宣教懇談会を受け皿に道内6地区でプレ大会を計画していることを述べた。
 このほか会議では、「アイヌ民族の文化と福音」などをテーマとしたシンポジウムや青年大会、分科会、聖会、宣教大会なども予定されている。今年9月8日、9日には、埼玉県嵐山町のヌエック国立女性教育会館で1年前大会として、各プロジェクトメンバーに一般参加者を加え、第3回宣教フォーラムを開催する。
 閉会礼拝でJEA副理事長・JCE5実行委員長の原田憲夫氏は、JCE5のテーマに触れ、「危機の時代だからこそ本気で宣教協力をやろうとしているのかが問われている。JEAはいつでも聖書の土台の上に宣教協力を模索してきた。それぞれの教会に与えられた賜物が一つに結集していく働き」と語った。

◎四川、ミャンマー被災地支援:物資、医療など多岐に急がれる支援=0806150203

■アジアボランティアセンター
 特定非営利活動法人アジアボランティアセンター(AVC)=平田哲代表=は、現地提携団体「チャーチ・ワールド・サービス」(CWS)の支援要請を受け、緊急支援を開始した。CWSは被害がもっとも大きいイラワジ川デルタ地帯で、同支部組織とともに安全な水の確保、緊急医療、避難所の開設や生活物資供給など長期的な支援を進めていくといい、AVCも支援に加わる。義援金の振込先は、郵便振替=00930・1・119782、銀行口座=三菱東京UFJ銀行阪急梅田支店普通口座5371964、アジアボランティアセンター代表平田哲(通信欄に「ビルマ(ミャンマー)義援金」と明記)。Tel06・6376・3545。

■日本国際飢餓対策機構
 日本国際飢餓対策機構(JIFH)=堀内顕理事長=は、四川大地震で被災した人たちの復興支援を進めるため、清家弘久総主事(緊急援助担当)らスタッフ2人を6月4日から1週間、被災地の中国・四川省に派遣した。現地では、すでに医療支援などの活動を進める国際飢餓対策機構・韓国の緊急支援チームの活動状況を確認すると共に、今後求められる復興支援の必要、活動を進めていくための人的協力体制、資材調達および輸送ルートの確保を行う。
 現在、求められている資材とそのための費用は、▽医療器具(移動式超音波診断装置、移動式エックス線装置、移動式手術台、人工股関節、歩行器、破傷風ワクチン)など=成都・リハビリテーション病院からの要請、▽被災者用テント。これらの調達費用に500万円が求められている。募金窓口は、郵便振替00170・9・68590、日本国際飢餓対策機構(記入欄に「四川省大地震」と明記)。問い合わせはTel0729・920・2225(広報・鶴浦)まで。

■救世軍
 5月28日付の救世軍万国本営サイトによると、サイクロンの被害を受けたミャンマーの被災者に対し、救世軍は必要物資の配布を継続しており、各員のビザが入手可能になり次第、さらに大きな支援を計画している。支援活動が始まって以来、6千キロの米と3千キロ以上の麺類、その他の食品が配布されてきた。
 通信は困難な状態だが、国際緊急サービス課のマイク・キャッフル少佐により、現地の救世軍も被災者を直接的に支援しているとの情報が確認されている。同少佐は現在被害状況を調査中で、「すべてをなくして取り残されている多くの人々を助けるために、自身を自己犠牲的にささげているミャンマーの救世軍の仲間たちを、世界の救世軍は誇りに思うべきです。彼らがやろうとすることを、私たちが支援することが必要であり、経験豊かなチームの派遣がかなうように願っています」と語る。
 5月20日付けの救世軍香港及びマカオ軍区サイトによると、救世軍の災害調査チームは四川省の成都に到着。彭州市紅岩鎮の被災した3つの村に入り、被災者に対しビスケットと飲料水を配布した。被災者には浄水用の薬剤、手術用のマスク、ビニール手袋、軍手などの物資、安全な水、医療衛生用品などが必要とされている。
 香港・マカオ軍区の総指揮官、マーヴ・ロウランド大佐補は、救世軍は300~400万香港ドルを送金し、救援物資を購入すると発表した。5月20日現在、救世軍は一般からの寄付金約1千100万香港ドルを受けており、支援活動のために香港特別行政府救災基金への申請も出す予定だ。申請する補助金の額は、現地調査の実施を受けて定める。

■アジア・アウトリーチ
 アジア・アウトリーチ(フランシス・ツイ総裁)からの情報によると、同団体では「God's Trio Partners for Mission」(GTP)と協力して救援を進めている。GTPはヤンゴンにある教会開拓宣教団体で、「人々が神の愛を知ることができるよう、神が機会を与えてくださったと信じています。今は非常に重大な時であり、ミャンマー変革のために全力を尽くして主と前進していきます」としている。
 四川大地震支援に対しては、アジア・アウトリーチは家の教会の指導者たちと協力し、地震後24時間以内に活動を始めた。現在は、国内の主要都市にある都市型教会の指導者たちが救援活動のために結成した「中国クリスチャン・アクション・ラブ」(CCAL)とともに支援に当たっている。CCALの活動は中国政府にも認められており、「今こそ中国で主の光を輝かせる時だ」とCCALは支援に取り組んでいる。