壁画アートで被災地を明るく 能登壁画プロジェクト
壁画アートを通じて、能登半島地震の被災地を明るくしたいと、シンガーソングライターの来島エルさん(日基教団・東調布教会員)と、友人でイラストレーターのKOTOKOさんが、石川県羽咋市内にある元民宿で、現在はボランティアのみなさんの宿場兼支援拠点となっている「能登復興支援センター陽だまり891」(責任者・趙泳相)の壁を、アートで彩った。10月26日には同所で「壁画完成‼ おひろめイベント」を開催。KOTOKOの似顔絵屋、来島エルのウクレレライブなど、様々なイベントを行った。来島さんのレポートを届ける。
天候にも恵まれたイベント当日、KOTOKOと私の高校の同級生のKくんが島根から助っ人に来てくれ、イベント会場の設営、飾り付け、司会進行など準備を始めようとしていたら、「陽だまり891」の大家さんのTさんが、早朝から会場を使いやすいように、掃除をしていた。Tさんは「必ずたくさんの人が来て良いイベントになるよ」と激励してくれました。その時、「人が来ないんじゃないか?」といった後ろ向きの思いはなくなり、地元の方が必ず集まると確信して、12個ぐらいの椅子を集めてセッティングしました。
午後1時開始。でも、10分前になっても人は来ず、少し不安になりました。通りがかった住民お一人一人に「友達と来てください」とお願いしました。いよいよ来ないと思って、一軒一軒呼び鈴を押そうと道路に出たら、続々と人が集まって来ました!
イベントでは、壁画の前がステージとなりました。まずは私たちの自己紹介、目玉であるKOTOKOの壁画紹介、来島エルのライブと続き、その後「陽だまり891」前の「みんなギャラリー」に入って板に絵を描くワークショップ。KOTOKOの似顔絵屋は大盛況。人見知りを抑えて一人一人と向き合うKOTOKOの姿が印象的でした。私たちの忙しさを見かね、地域の方々の協力でお茶会兼団らんをしました。Kくんは司会進行、裏方、地域の方との交流と、忙しいでした。彼は昭和イケメン顔なので大人気でした。イベントは30人ほどが押し寄せ、お風呂場の椅子も急きょ追加。椅子は埋まり、立ち見でライブを聴く方もたくさんいました。
私たちは、参加者一人ひとりと話をしました。「この前バイトの面接に落ちた」などと話したら、「私もだよ」って手を握ってくれたり、「大丈夫だよ」って励ましてくれたり。いろんな人とハグして、手をつないで、ずっとうれしくて…。そして、みんなで必死に明るく生きる姿に涙があふれました。2週間、羽咋で生活していましたが、地震でガタガタの道をいつも歩いていた私にとって、震災はもう他人事じゃないのです。「一人で頑張って生きるのではなく、もっと手をつないで、みんなで支え合って生きたいよ」と、伝えることができました。地域の方々はKOTOKO壁画の大きさとユニークさ、そして羽咋らしさに驚き、笑顔が絶えませんでした。「ここが観光スポットになってほしい」とも言っていました。「あぁ、私は素晴らしいアーティストをアシスタントできて幸せだな」と感じました。
このイベントに携わった人達の年齢層は0歳から90代くらいまでで、クリスチャン、無宗教、他宗教、国籍も考え方もバラバラで多種多様! それがとってもユニークで、自由で楽しい、誰もが主人公のイベントのあり方なのかなと私は思いました。願いは、支援してくれた方、能登で会った方、絵を見た方、これから報告で会う皆さんの心に良い影響が、幸せがいっぱいあることです。
イベント開催前の10月26日には、日基教団・輪島教会(新藤豪牧師)を訪れ、KOTOKOが描き上げたメッセージと猫の絵を、教会の掲示板に貼らせていただきました。猫のモデルは新藤牧師の飼い猫「バルにゃん」です。礼拝後、パティシエの友だちの協賛でもらった焼き菓子と一緒に渡させていただきました。するとバルにゃんが現れ、奇跡の一枚が撮れました。新藤牧師も教会員も喜んでいました。
「アートは人の心を和ませる力がある!」、そう確信しました。